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いつまでも素直な気持ちを忘れずに生きようよ!”ということを教えてくれる青春小説の決定版!
2006/02/06 00:31
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今までの伊坂作品は本作と比べて読者を選ぶ節があったような気がする。
実際、私の周囲の人に貸しても面白かったと素直に喜んでいただける方7割と、少し斜に構えてるいるんじゃない(理屈っぽいという意味合いだと思われます)という意見の方3割ぐらいで、後者の方には残念な気持ちで一杯だったのである。
現在、面白い小説を紹介してくれと言われたら迷わずにこの作品を紹介したいと思っている。
伊坂さんだけじゃなく他の作家のどの作品よりも・・・
なぜなら本作は伊坂さんの鮮やかさが前面に出た非の打ち所のない作品に仕上がっているからだ。
過去のどの作品よりも全体の構成・読後感の暖かさ・テーマの大きさがレベルアップしているように感じられるのである。
伊坂さんって青春小説というイメージと少しかけ離れていたのであるが、まるで水を得た魚のように本作で披露した語り口の滑らかさには驚いた次第である。
この作品の素晴らしさは、“必ず読まれた方がもう一度大学生に戻りたい”と思えることだと思う。
現在進行形で学生生活を送っている方には“一日一日悔いのないよう”に過ごして欲しいという大いなるメッセージ作品だと言えそうだ。
本作の主人公・クールな北村を含めて男女大学生5人衆。
伊坂作品の最大の特徴である個性的キャラクターと軽妙洒脱な会話が読者を酔わせるのである。
より磨きが掛かったと言える本作、理由は明確である。
そう、読まれた誰もが度肝を抜かれた“西嶋”の存在である。
西嶋の登場=伊坂さんの大きな成長のあとが窺えると言えそうだ。
個性的でユニークな西嶋、かつて伊坂作品で彼のようなボケ役でありながら共感出来る人物の存在ってあっただろうか?
読者の方が西嶋に共感→調和できるのである。
過去に『チルドレン』で登場した陣内が最強の人物だったと思っていたが、本作の西嶋のように“生き方に賛同できる”レベルにはいたっていないような気がするのである。
作中で何度か麻雀シーンが登場する。
たとえば麻雀を知らない方が本作を読まれたとしよう。
少しわかりづらい点があるのは間違いのないところであるが、少なくともちょっとでも麻雀を知っていたらもっと楽しめたのにとか、あるいは麻雀を覚えてみようと思われた方が大半であろうと推測できるのである。
いわば読者も本作の麻雀ゲームに参加しているかのような気分になることが出来る。
言い換えればまさしく本に没頭している証拠であると言えよう。
最後に別れの時期がやってくる。
寂しさを感じた。
ああ、青春っていいなあ・・・
ユーモアだけじゃなくほろずっぱさも味わえる。
青春小説とミステリーと人生テーマの結合。
なんと贅沢な作品なんだ、本作は。
単に面白かっただけじゃなく、読んでよかったなと思える作品に邂逅した喜び。
繰り返すが今までの伊坂作品では味わえなかったのも事実である。
登場人物と同じ世代の方が読まれる以上に(『砂漠未経験者』)、過去を振り返り懐かしめる方(『砂漠経験者』)が読まれた方がより一層楽しめる作品だと言えそうだ。
なぜなら砂漠経験者の方が下記の作中の言葉をより共感できるからだ。
『人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである。』
私は今、ネット上でこの感想を書いている。
最後の方で伊坂さんに心地よく騙され、心地よく本を閉じれた(笑)
作中で胸をなでおろして喜んだ気持ちはまるで大学生に戻った気分、いや6人目の仲間に入った気分である。
伊坂さんの今までの作品群はどちらかと言えば個性派作家としてのもの。
本作を持って国民的作家への道のりを歩みだしたと断言したいと思う。
これからも小説の魅力を余すところなく伝えて欲しい。
ファンのひとりとしてのの強い希望である。
活字中毒日記
★五つでもいいかな、とは思うんですが、どうも主人公たちの馬鹿さ加減がいやですね。そのてん、女性陣は立派
2006/02/24 23:00
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んだ高二長女が開口一番に言ったのが「私も学園物語、書こうかな」でした。ま、学園モノっていうのとはちょっと違うんではありますが、彼女のいいたいことはよく分ります。「あれって、東北大学だよね」なんどと、そろそろ受験に向けてスタートを切り始めた娘はのたまいもします。前から伊坂は東北大学って言ってだろが・・・
装幀・写真/大塚充朗、装画/清 伊吹とあります。装画が結構インパクト与えてくれます。
巻頭言は
僕は砂漠についてすでに多くを語った。
ところで、これ以上砂漠を語るに先立って、
ある一つのオアシスについて語りたいと思う。
『人間の土地』 サン=テグジュペリ
装幀・写真とある写真のほうは、各章の扉に小さなものが載っています。順番に紹介しておくと「春」には蝸牛の写真です。続く「夏」には建物の間から見上げた空、「秋」は、これって外灯?それともスタンド?「冬」はキャンパスでしょうか、並木道の向こうに多分朝日が昇るのが見えます。そして再び「春」で、透湿性のある舗石ブロックをアップした歩道の写真です。
舞台ですが、仙台にある国立大学とありますから、繰り返しますが東北大学、伊坂の、そして佐藤賢一の出身校です。主人公は一応、僕、北村としておきましょう。大学一年生で、第一部は春ですからこれから学園生活を始めるところです。性格は、読んでいるうちに苛々してくるくらいの優柔不断、事なかれ主義、立ち回るのが上手でと、まあ世の中にザラにいるタイプ。魅力、ネエー!
で、基本的には語り手=傍観者である北村に対して、この小説にとって鍵となる同級生たちがいます。実家がお金持ちで大学時代は思いっきり遊び、社会に出てからは家庭を顧みないで仕事に明け暮れるスーパーサラリーマンとなる、と宣言する鳥井がその一人です。男性陣からはもう一人、コンパに遅れてきながら延々と演説を始めて皆から顰蹙を買う、自己中、っていうか視野狭窄というか不器用なパンクオタクの西嶋がいます。
これに対する女性陣ですが、まず優柔不断な北村には、早々に恋人となるブティックの店員の鳩麦さんがいます。ともかく常識人ですが、その足許がいかにも年上の人らしくしっかりしていて、女性ですら惹かれる、そういう女性です。軽薄に近い鳥井には、関西人というものの実は中学時代は東京の練馬で鳥井と同級生だったことをコンパの席で確認しあうことができたホンワカムードの超能力者の南さんがいます。で、最後が仙台生まれで美女、姿勢もよくて大学中の注目を浴びながら声を掛けてくる男たちを無視しつづけ意外な男に心惹かれる東堂さんです。
ついでに目立つ人物を二人、主人公たちのグループとは違う連中とつるんでいるくせに、東堂は自分のものだと思い込む仕切りやの莞爾がいます。よくいます、このてのバカが。えてしてこの世ではそこそこ出世しますね。そして主人公たちの合コンの相手の一人で、後の彼らの人生に大きな影響を与えることになる長谷川さんがいます。
小道具として麻雀、超能力、合コン、ボーリングなどが出てきますが、話の核の一つが仙台市内に出没する連続強盗犯の事件です。中年親爺を見つけて「大統領か」って訊ねて、殴って、金を奪っていく謎の犯人です。西嶋は彼を「プレジデントマン」と名づけます。これらをくっつけると、どこか苦くて、それでいて我が家の高二娘が「こんな学園モノを書きたい!」といいたくなるお話になります。うーん、伊坂って偉いです。
青春ドラマ小説
2007/07/12 15:37
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:leafmoon - この投稿者のレビュー一覧を見る
設定だけを取り出してみるとありがちなキャラクタばかりが登場して作られた話のようだが、読んでみるとそんな印象はまったくない。
伊坂マジックなのか、それぞれのキャラにとても魅力があって、楽しく読めた。
主人公の北村は目立たず発奮せず、しかししっかり自我を持った話し方で、いかにも伊坂的なキャラクタ。
「砂漠に雪を降らせる」、トリックスターの西嶋も、その異端児ぶりがとても良いと思った。
伊坂版青春小説
2006/10/06 18:15
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊坂幸太郎が大学生の青春小説を書くとこうなるのか〜。
論理的で鳥瞰型の北村。
スーパーサラリーマンになったらできないから、学生時代は恋と麻雀とでたらめな読書をやるという鳥井。
アメリカを糾弾し戦争を止めようと時と場所を選ばず訴える、パンクロックな西嶋。
おとなしいが、スプーン曲げや軽い物体を異動させることのできる南。
誰も見惚れる美貌を持つのに恐ろしく無表情な東堂。
この5人の友情と恋の物語。
こんな普通な青春小説を書いちゃうわけ? といぶかりました。
練馬の中学で同級生だった南と鳥井は、鳥井が横浜に越してしまい、疎遠になっていた。その二人が大学で再会。
よくあることなのでは? しかし伊坂幸太郎なのだから場所は言わなくても仙台なのだ。ああ、そうだ。小説を読むときに、勝手に場所を東京に設定している、自分の固定観念をグラリと揺らす。
そこからは一気に伊坂ワールドに突入。洒脱な言い回しに「クスリ」。「売れる小説」の条件はまるで自虐。不可解な大人(古賀さん)は名刺さえ侮れない、大きな存在感。信じられない能力を「あれくらいなら」と軽々やってしまう南(彼女がつくる麻雀の役も芸術的)。
学生生活で漠然と感じている、「楽しいのは今だけ」「卒業したらレールのない選択が待ち受けている」「そこから先は砂漠でのサバイバル」「だからムリヤリ思い出作り」といった不安感と焦燥感を描き出します。
やや弱いながらも、伏線で読者をだますのも健在。固定観念はいかんな。
「春」
鳥井がセッティングした合コンで短大生の長谷川と知り合う。彼女たちと遊ぶうちに、ホスト礼一と鳥井はボウリングで賭けをすることに。
「夏」
西嶋は市内に現れ「大統領か?」と聞いてくる連続強盗に興味を示し、勝手に「プレジデントマン」と名づける。長谷川の友人が襲われ、その男が逃げこんだ家を、北村、鳥井、西嶋は見張ることに。
「秋」
学祭で超能力反対論学者麻生と、超能力少年として有名だった、今は中年になった鷲尾が対談することになる。西嶋は鷲尾と組んで麻生の鼻を明かしてやることに。
「冬」
北村がプレジデントマンに襲われ、素性不明の古賀さんの名刺で切りつける。意外にもプレジデントマンの左手を傷つけることに。
大学生活1度切り
2018/12/12 15:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょうど春から大学生になり、等身大なので読んでみました。彼らの話を読んでいると、1度きりの大学生活を青春しようと思えます。 砂漠に雪を降らそう!