紙の本
人間の生と性と苦悩。
2007/10/11 10:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
石田さんは時折、こういった前衛芸術のような作品を書かれる。
読み口はプラスチックのように冷たく現代的なんだけど、
その奥底に熱い炎が燃え上がっている。
その炎の中で揺らめいているのは、人間の生と性と苦悩。
巨大ゲーム企業が天才ゲーム作家にしかけた罠を表立った物語として、
「人が人に惹かれる事」を描いた作品であると感じた。
人間の「意志」だけではどうにもならない、本能で惹かれあうという事。
そうして惹かれあった物同士が触れ合うと、何が起きるのか。
そういった事を多少のSF的な物を絡め、よりリアルに表現されていた。
「触れ合う」というのは、性的な意味も含まれる。
「娼年」など、石田作品には詳細な性描写が含まれる物がある。
本作品にも、多少アブノーマルなものも含め、性的な描写がある。
でもそれは忌避すべきものではなく当然そこにある営みであって、
そこから目を背けず描ききる事で、人間の業とか生業とか本能とか、
そういった物をよりクリアに分かり易く、表現しているように感じた。
これを三流作家に書かせれば、ただのエログロになりかねない。
それを前衛芸術のようにプラスチックに書き上げる事で、
表面上はエログロとは全く一線を画した「営み」として、
でもその奥底に燃え上がる、人間の生と性を描ききっている。
「1ポンドの悲しみ」のようなハートウォームな作品も素晴らしいけれど、
本作も「池袋ウェストゲートパーク」の流れを汲むような、
善くも悪くも「人間」を描いた、石田さんらしいと感じた作品だった。
紙の本
主人公アウト。
2018/05/18 18:25
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投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
石田作品にしては主人公が心底どうしようもない一作。
というか登場人物に魅力的なキャラがいない。珍しい。(?)
帯の煽りは『この街では、恋だってとがってる。』ですが「とがってる」かー?と思いました。
東京である必要性もさほど感じられず。(表紙の写真は好き)
「天才クリエイター」=「都会的」みたいなことなのかな?
廣永にきっちり痛手を負わされるところまで描けばもっと面白かったのでは・・・
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アキハバラ@DEEPという作品の土台となった作品な気がする
同じというわけではないが、どこか共感覚を持ってしまう作品。
まぁ、ネタ的には同じだと思う。ヒロインといい主人公といい。終わり方といい・・・。
一応これも前期の作品に入るらしいがもう一回読もうと思うほどの本じゃなかった。
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お台場や天王洲アイルの、東京の街が見えるところが楽しい。(表紙の写真が好き。)現代資本主義社会の「いま」を舞台に恋愛が描き出されていて、真実の愛みたい。とてもいい味出してる。
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情景の表現力はいわずもがな圧巻。
その割に内容は読みやすい。というかあっさりしすぎていて、読後感はなんだかもの足りない。
というよりすっきりしない。
恋愛を見つめなおしたい人にはおススメかも。
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テレビとか新聞の連載で最近よく観る人なんで読んでみた。
話は嫌いじゃないけど、めっちゃ好き〜っていうほどにもならなかった。
機械的な感じ。
田舎者にはわかりづらいところも(笑)
でも、人間は結局全てを割り切るのは難しいんでしょう。
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すらすらと読めました。ヨリほんまに可愛いんやろうな〜★えっちな場面が多かった気がします。笑
07/09/30
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リアルなものは、リアルに
バーチャルなものは、バーチャルに
ってことが書かれてあるけど、この物語はリアルにもバーチャルにもとれないなぁ。
その狭間にある感じがいいんだけれども。
石田衣良さんの表現や描写は、すぐそこに、手に触れているように感じられていいですね。
最後は少し尻切れトンボな感じがします。
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少女の羽が一人の男を魅了します。激しい恋の物語。翼の持った人形は、いずれ自分の力で羽ばたく・・・。惹き込まれました。
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うーん、「石田衣良らしい」ストーリーだった。
最後の結末には、納得いかない。
無理やりハッピーエンドなんて。大人じゃない。
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ピグマリオニズム(自分で作った人形に恋してしまうこと)を衣良さん仕立てに描いた作品。コンセプトは面白かったが内容は盛り上がりに欠けた。
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読みやすく軽い文体が持ち味の作家だったが、今回はそれが裏目に出た作品。お洒落な東京、ハイソな生活をスタイリッシュに書いてるつもりなんだろうけど、中身が無い上にオチもイマイチな作品。
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うーん。。石田さんって池袋ウエストゲートパークは好きなんだけどなぁ。。
石田さんの作品特有の疾走感みたいのもあんまないし、何だか先の展開が気になるような進み方でもないし。。
何だか登場人物も人間像がしっかり見えてこないというか。。
ちょっと残念な1冊でした
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マスター・オブ・ゲーム=MGと呼ばれる天才ゲームソフト制作者・相良は、新作のモデルに翼のタトゥを背負った少女・ヨリを選ぶ。映像モデルとして完璧な「人形」ぶりを発揮するヨリに、MGの孤独は癒されていく。だが、彼女には愛する男の不幸が見えるという異能があった。東京の今を描いた長編恋愛小説。最後はやっぱりそうなるんだと思った。婚約までしていた裕香は気の毒だな…
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石田衣良さんらしく、最後は丸く収まって読後感が良い話。でも途中からはイタシテばかり。ま、あっさりさっぱりで読み易かったデス。