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紙の本
堂場瞬一氏による人気の「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズの一冊です!
2020/07/27 10:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「刑事・鳴沢了」シリーズ、「真崎薫」シリーズ、「警視庁追跡捜査係」シリーズなど数々の刑事小説シリーズで名声を馳せている堂場瞬一氏の作品です。同書も、同じく人気の刑事小説シリーズ「警視庁失踪課・高城賢吾」の一冊です。内容は、大学理事長が失踪したと捜索願が出されたことからこのストーリーが始まります。しかし、捜査を始めると母親の態度は一変し、非協力的になっていきます。大学関係者も言を左右し、状況は遅々として掴めないままです。一方、女性の遺体が仙台で見つかり、法月の担当していた大学職員の失踪者だと判明します。胸に爆弾を抱えながら、自分を苛めるように捜査する法月を気遣う高城だが、一体、何がどなっているのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。
紙の本
前作を読んだ時の興奮が感じられないのは、なんていうか話が肝心のところをすり抜けてただシリーズとして長くなるためだけになってきてるからではないでしょうか。それにヒステリー気味の弁護士と身勝手な父親、なんていうか映画の原作になっちゃったみたい・・・
2010/02/13 20:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作、『相剋』から読み始めた警視庁失踪課・高城賢吾ですが、この作品も頁数があって、どっぷりその世界に浸ることができるのが嬉しいもの。とはいえ、全然関係ない話ナンですが堂場瞬一っていう名前、私の中では堂場瞬一=(新堂冬樹+童門冬二+真藤順丈)÷3となってしまっていてグチャグチャ。早い門勝ちではないですが、もうちっといいペンネーム考えたほうがいいかな? って。
お話の内容はカバー後の文章を借ります。
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大学理事長が失踪したと捜索願が出された。
しかし捜査を始めると母親の態度は一変、非
協力的に。大学関係者も言を左右し、状況は
遅々として掴めない。一方、女性の遺体が仙
台で見つかり、法月の担当していた大学職員
の失踪者だと判明した。胸に爆弾を抱えなが
ら、自分を苛めるように捜査する法月を気遣
う高城だが……。 書き下ろし長編
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カバー写真は、 are image gallery/amanaimages、カバーデザイン 松田行正+相場敬徳。ちなみに、松田行正がデザインする文庫、って案外レアな気がするのですが、どうでしょう。警察ものの雰囲気は前回同様大変よく出ていて、目新しさは感じませんが手堅くまとめていて、文句のつけようはあまりないなあ、というものです。
私としては高城と上司の阿比留真弓の関係が前回から気になって仕方がないのですが、どうも堂場は軌道修正をしたようです。ま、『相剋』以外の巻を読んでいないので、確かなことは言えませんが、このシリーズには核になる謎が二つある気がします。ひとつは当然ですが高城の娘は実際、どうなっているのか? です。
もう一つが阿比留室長の抱える秘密、というか家庭がどうなっているか、というものです。この二つが大きな意味を持ちそうだ、と思わせたのが『相剋』だったわけで、私はそこから入ってきましたから、当然その後に続く今回のお話も延長線上にある、と思ったわけです。ところがです、迷走です。
私としては「肝心」だと思った二つを置き去りにして物語は展開します。正直、娘のことはもういいの? 仲間に対しても秘密ばかり作り、部下の醍醐のことなど無視に近く、その一方で、女のことばかり考えている。正直、行動に一貫性がなく、胡散臭い。ただの中年親父じゃん、と私は共感を覚えませんでした。
捜査にしても、自分からは相手に何も与えず、一方的に情報を得ようとする姿勢は正に警察権力の傲慢さの体現で、これが『相剋』の高城と同一人物なのか、と目を疑います。しかも法月大智の身勝手な行動ときたら、これはもう犯罪ものでしょう。他人の忠告に耳を傾けず、上司の命令にも逆らうという頑迷なジジイとしか言いようがなく、はっきり言って、職場で最も嫌われるタイプの人間です。
この親にしてこの娘あり、と思わせるのが法月さやか。さやかは大智の27歳になる娘で、駆け出しの弁護士ですが、父親の身体を気遣うあまり、父親の上司である高城に対し、「訴える」を口癖のように言います。ったく、ダチョウ倶楽部の上島じゃあるまいし、はたしてこれで弁護士といえるのか、暴力的な性向もですが言動についても疑問が残ります。
ちなみに、この高城賢吾、法月大智、法月さやかが警察側の身勝手三羽カラスとすれば、それに対する港学園大の人間というのが法学部教授・三浦尚志でしょう。マイペース人間で、他人の都合を考えないところは完全に同類です。彼らに比べれば捜査に協力的でない大学関係者が可愛く思えます。
総じて、前作でいい味を出した失踪人捜査課三方面分室の面々、3人の子持ちで、間もなく4人目が生まれるという体育会系の、返事は決まって、「オス」という刑事・醍醐塁も、合コン大好きのお嬢様で、夕方になればデートのことで頭が一杯という感じの六条舞も、年下なのか彼女にいいように使われる森田淳一も、年齢ゆえか存在感のあった小杉公子も全く活躍しません。端役というよりエキストラ。
むしろ、え、こんな人、出てました? と言いたくなるほど影が薄い存在だった失踪人捜査課課長・石垣徹が、今回はポイントで極めて重要な役割を果たすのが意外といえば意外です。それと明神愛美です。失踪人捜査課に配属されたことに不満を持っていて、高城に厳しく当たっていたのが、最近、漸く打ち解けるようになってきているあたりは、常道ではあっても違和感はありません。
ミステリとしては前作同様平均的なレベルだと思いますが、むしろこのお話では、本来活躍すべき人々や、追及されるべき壮大な? テーマがなおざりにされ、なんていうか外伝ふうになってしまっている、これをどうみるかで評価が分かれると思います。私としてはレジナルド・ヒルの新作『死は万病を癒す薬』と読み比べて彼我のレベル差を目の当たりにした、と書くだけに留めます。