紙の本
黒まめコンビが文庫に登場!
2003/10/12 15:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:piyota - この投稿者のレビュー一覧を見る
黒川氏のハードボイルドはかなり好きです。
産廃処理場建設にからむ暗部を描ききった「疫病神」ですっかり黒川氏
のファンになったPiyotaは、氏のデビュー作である警察小説コレクション
シリーズが文庫になって非常にうれしいです。黒川氏の小説は犯罪小説に近い
と思います。
銀行強盗→発砲事件→身代金誘拐事件と展開していくスピーティなストーリイを
靴をすり減らしながら追いかけるしかない、大阪府警の刑事「黒豆」コンビ。
本格推理といっても過言ではない、論理構成も事件の展開もおもしろい犯罪
小説があったら「誰かきっと真似するに違いない」と思うでしょうなあ。
事実、この小説は初版はグリコ森永事件当時に出版されており、作者黒川氏
は兵庫と大阪府警から事情をきかれたとのこと(と後書きにありました)。
それはある意味、警察界からのミステリに対する最大の賛辞かもしれません。
皆さんは決してまねしないように。
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結末の付け方には多少不満が無いでもないんだけど全体的にはかなり楽しめた。語り口は極めて軽く、ユーモアに溢れてて楽しい。それでいて警察内部のこともしっかりと書き込まれている点すごいと思う。また誘拐ミステリとしてもトリッキーで捻りが効いてて驚いた。さりげない伏線が誘拐計画のキモになってるあたり巧いと思う。意外な真相もあってこれだけ楽しめたら文句なし。
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黒川博行の作品を讀むのは、これが初めて。
この作品は、1983年の第1囘サントリーミステリー大賞で佳作となつたさうである。
大賞を逃した理由として、「刑事コンビに華がない」といふことがあげられたさうだ。
さて、この作品、讀んでみて面白かつた。
ストーリーとしては、銀行強盜事件とそれに引續く人質誘拐事件を搜査するといふことになるが、面白さの一つには、主人公の刑事コンビの會話がある。
主人公は大阪府警搜査一課の黒田憲造とそのコンビの龜田淳也、通稱マメちやん。
此の二人を稱して「黒マメコンビ」といふ。
黒田の視點で描かれてゐるので一人稱小説だが、マメちやんとの大阪弁の輕妙な會話が樂しい。
しかもその大阪弁のナチュラルなこと。
ふだんはアホなことを話してゐる二人だが、マメちやんの芯の強さには感心する。
事件を解決に導くのは、こちらのマメちやんである。
樂しく讀める警察小説だ。
2004年2月7日讀了
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四月一日午前十一時半、三協銀行新大阪支店に強盗が侵入。四百万円を奪い、客の一人をピストルで撃った後、彼を人質にして逃走した。大阪府警捜査一課は即刻捜査を開始するが、強奪金額に不服な犯人は人質の身代金として一億円を要求、かくして犯人と捜査陣の知恵比べが始まる。
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黒川博行氏の処女作となるのでしょうか。人質をとった銀行強盗が身代金を要求する話ですがミステリー要素も含まれてます。しかし爽やかなオチを期待していたことと、他のシリーズとの比較で評価は低め。
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2007/3/5読了。黒川博行のデビュー作です。大阪弁の物語はとてもなじみやすく楽しく読めました。ラストは少残念な形でしたが・・・。黒マメコンビの活躍は楽しみです。
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昭和59年、1984年刊行当時であれば、かなり面白く読めたのではないかと思う。残念ながら今となってはちょっとメイントリックが古い。だが身代金強奪のトリックは今でも使えそうだし、そのプロセスの描写も確かなもの。長編になりがちな誘拐事件を扱った作品だが、中編ぐらいの分量にしたおかげで、凝縮された感があり、充分楽しめる。
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大阪府警シリーズの第一冊目。
お話としては、大阪の銀行で銀行強盗が発生。
その場に居合わせた男性客が犯人を取り押さえようとしたが犯人に撃たれ負傷、そのまま連れ去られ犯人からは身代金の要求が。
大阪府警捜査一課が犯人逮捕に当たるが、最初は行き当たりばったりでの誘拐かと思われたが、犯人は意外に巧妙な交渉を持ちかけてくる。
事件の真相自体はある程度事件が進展した時点で何となく思っていた通りでしたが、エンディングの持って行き方は新鮮でした。
あと書かれたのが80年代前半なので携帯電話も登場せず電話ボックスが犯人からの連絡に頻繁に使用されるのが懐かしかった。
この小説は登場人物のキャラが一人一人個性的で、こんな奴ら本当に居るんだろうな・・・と思わせる。
大阪府警が舞台と言うことで会話はすべて大阪弁、特に主人公の黒田と亀田の会話は軽妙で楽しく読むことができた。
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銀行強盗が客の一人を人質にして逃走、そして身代金の要求。
この事件を大阪府警捜査一課の黒マメコンビが解決に奔走するが・・・
黒マメコンビにとどまらず、大阪弁の会話が心地よい。
(関西人以外は読みにくい?)
最後はちょっとガッカリする終わり方で不満が残りますが、楽しく読めました。
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大阪府警、黒マメコンビ第一作。作者の処女作。
前半でトリックが読めたが25年前の作品だと思うと斬新なのかも。
黒マメコンビ含め、登場人物に魅力が薄い。
それに大阪府警のまさかのアホっぷりににイライラする。
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黒マメコンビシリーズの第1弾で、黒川博行さんのデビュー作(1984年)。銀行強盗が人質を連れて逃げ、身代金を要求。その犯人を追う警察のお話。
第3弾から先に読みはじめてしまったからなのか、黒マメコンビのテンポが、まだ確立されていなくて、すこし肩すかしを喰った感じ。新しいミステリーをいろいろ読んでしまった後だったからなのかもしれないけれど、途中から筋書きが読めてしまったのも残念。そして、2003年の文庫の解説でも書かれていたけれど、結末がちょっと不満。
とはいえ、大阪弁での刑事物。テンポよく読み進むことができて、悪くなかった。黒マメコンビシリーズ、第3弾→第1弾と読んだから、次は第2弾を読まなくちゃ。
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銀行強盗に来た男が銀行の客を誘拐・逃亡し身代金を要求する。
誘拐されたのは倒産寸前の鉄工所経営者。
「黒マメコンビシリーズ」の第一弾。
事件は解決せずに3年後に犯人から告白されるが、なんとなくすっきりしない終わり方だった。
シリーズの続きがどうなるのかが楽しみ。
『サントリーミステリー大賞』第1回(1983年)佳作賞
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テーマは面白かったけど、いまいち。奥さんとかの描写がもっとあったらだまされた感ももっとあがったのになぁ。
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創元推理文庫から出版された作品。
古本屋でタイトルだけに惹かれて買ったので、読み始めてからこれが1980年代の作品であることと、推理小説というよりも犯人と警察との攻防を描いている、推理小説というよりも警察小説というジャンル(そういうジャンルがあれば、という前提で)なんだと気付きました。
謎解きをするというよりは、知能犯である犯人に警察が翻弄されまくる、という感じの作品。トリックの明かされ方も含めて、全面的に「警察の負け」という感が出ているので、読了してもスッキリ感は得られなかった。
スッキリ感が得られないもう一つの理由として、個人的には「主人公たちの上司に愛されるべきポイントが無い」というところを挙げたい。あとがきには「主人公たる刑事コンビに華がない」という批評がなされたとの作者のコメントがあるが、それよりもむしろ、彼らを取り巻く環境に美しさと希望が無い、というところが、イマイチ楽しめなかった理由じゃないかと思う。
ホームズにはレストレード警部、ポアロにはジャップ警部と、有名な海外の推理小説には必ず、愛されるべき警察に勤める人々が登場する訳ですが、時代や国の違いはあるものの、彼らは主役たる私立探偵たちと協力し、分からない時には素直に教えを請い、読者と一緒になって謎解きに驚きつつ、最後には警察の威信とプライドを持って犯人逮捕に当たる「準主役」として生き生きと描かれています。
そんな、推理小説における警察像を固定観念として良くも悪くも植え付けられてしまっている身としては、この小説に出てくるような「管理職で、保身しか考えない、嫌われる上司としての要素をほとんど持ち合わせている」刑事像は醜く、楽しく読み進めるのを妨げる存在になっています。
まぁ実際問題、そういう上司が大半を占めるというのが現実なんでしょうけど、何も小説の世界にまで、そんな汚いリアルを追及してほしくない、というのが、自分なりの考え方です。
細かいトリックをここで書く訳にもいかないけど、国内外の推理小説の主だったところをだいたい読んでる人なら、中盤で「恐らくこういうことだろう」ぐらいの推測はつくと思います。ただ、作者は日本のミステリー小説家としては一定のポジションを築いた方でもあるので、そういう方のデビュー作を味わう、という趣向で手を出すのはアリだと思います。
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タイトルから、シリアスものと思っていたが、読んでみると違い、会話がとても軽くて面白い。エンディングがよかった。