紙の本
タイトル回収はラストで
2019/09/28 17:05
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公白銀力也は貧しい生活をしている。母はニコニコ教信者で、幼少期は様々な苦労をしていた。実父は女遊びをたくさんしてきた合馬邦人であったが、取材をするまでは会ったことなどなかった。しかし過去の清算をする旅行にライターとして同行する。芸能人時代のマネージャー、愛人の息子、経営者時代の部下、幼馴染。特に最後の幼馴染はなぜに恨みなどもたずに感謝しているのか。そういったレベルであった。
文体は読みやすい。すらすらと読める。本書は所謂いい話である。ラストに2人でキャッチボールをして別れるシーンはジーンとくるものがあるだろう。最後にタイトル回収をしてクライマックスを設けるのは素晴らしいと感じる。
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【ネタバレ】フリーライターの男が一度も会った事のない元俳優の父親の依頼で父親と共に彼の知り合い4人を訪ねて歩くというお話。「いい話」と言うよりも、良すぎてあり得ない感じ。実際は「昔しでかした事のお詫びに一千万受け取ってくれ」と言われたらほとんどの人が受け取るんじゃなかろうか。少なくとも、俺は受け取るな。
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どれを読んでも平均点以上には面白い山本甲士。著作のほとんどをまとめて買いしましたが、ハズレだったものはありません。そんななか、これはあまりに毒がなさ過ぎてつまらない。文庫書き下ろしというのがイマイチな出来だというのは往々にしてあることですが、これも残念ながら例に漏れず。
フリーライターの白銀力也は、しっかり者の妻と生まれてまもない男児に囲まれ、決して裕福ではないが幸せな毎日を送っている。出版社の要請があればどこへでも飛んで行って仕事をこなしていたところ、やくざ映画の主演俳優として鳴らした合馬邦人が、取材に力也を指名してくる。邦人はじつは力也の実父。お互いにそのことを知ってはいたが、会うのは初めて。邦人はいったいどういうつもりで力也に会おうとしているのか。
バハマで余生を過ごそうとしている邦人が、心残りをなくすために、かつて迷惑をかけた人たちを訪ねる旅に力也を同行させたいとのことでした。金ならうなるほど持っている邦人は、あちこちを回って数千万円ずつを渡したいというのですが、全員信じられないほどけがれのない心を持ち、あっさり申し出を断ります。
いい話ではあるのですが、あまりにいい話すぎるうえに、それぞれの人の魅力が伝わってきません。いちばん面白そうなキャラの力也の妻をもっと登場させてもよかったのでは。いつもの著者のように大阪弁でガンガンこられるほうがテンポもよくなりそうです。過去に読んだ著者の作品では最下位かも。
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山本甲士さんの作品は全部読了したと思ってましたが、未読作品が残ってるのに気づき、読み終えました。「再会キャッチボール」、2011.6発行です。読み応えがありました。ラストは涙を誘います・・・。