紙の本
出版社からのオススメ
2004/10/20 03:15
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投稿者:横手 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2006年、日本の総人口はピークを打ち、本格的な高齢化社会に突入します。必然的に高コスト体質になる日本が従来のようなモノ作りに軸足を置いたままでは、国力の維持は難しい。このため、いままでに築き上げた無形資産である「知的財産」をどう生かすか、そして付加価値を生む新たな知財の創造・創作活動をいかに刺激するかが、日本の将来にとって極めて重要な課題として浮上してきました。
小泉政権が「知財立国」を標榜し、知財戦略が企業の収益に決定的な影響を及ぼすようになった今、我々の普段の生活も知的財産と切り離して考えることは難しくなっています。こうした現実を踏まえ、本書では日本の知財政策の問題点、世界各国の知財政策、専門人材や裁判制度などの知財インフラの現状、知財関連の主な法律などを出来るだけコンパクトに解説し、「知財の現状は、とりあえずこれ一冊読めば分かる」ことを目指して、編集に工夫を施しました。知財本の決定版だと自負しております。
特に力を入れたのは、「闘争の現場」を描くことです。日米の対立を生んだ遺伝子産業スパイ事件、企業と従業員の関係を根本的に問うた青色発光ダイオード裁判、中国のニセモノ商品作りと日本企業の対応、医療の進歩と開業医の利害が対立する医療技術特許、権利保護のあり方が議論を呼んでいるネット上の音楽などの違法コピー問題、漫画喫茶やレンタル・ブック店の存在……。こうした対立の現場には一筋縄ではいかない問題が先鋭的に現われており、知財の今後を考える上で格好のテキストを提供しているからです。
筆者の三宅伸吾氏は、一貫して知財分野の取材を手がけてきたジャーナリストです。企業経営、司法、競争政策、自民党など関連分野の取材経験も豊富で、現在は日経新聞の編集委員(政治部兼生活経済部)として活躍中です。
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日本にからむ、知財に関する事件などを、世界の動きや政治の動きも交えつつ解説している。「さまざまな格差も認めて、競争力のある日本を」というのが根底にあり、日経を読んでるみたい(著者は日経の記者)。
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この本の内容は、?日本における知的財産の紛争や海外(主にに米国)の紛争?特許制度について(特許庁の機能や特許裁判の流れ)に尽きると思います。
?の日本における紛争では、日亜科学工業の青色発光ダイオードや漫画喫茶とブックオフ等について触れており、日頃ニュースで見かけることが詳しく書かれています。
海外の紛争は、米国や中国といった海外諸国の紛争と、その経緯を経て誕生した知財政策について述べられています。さらに、米国の特許制度は他の先進諸国より進んでいるという理由もあり各章で登場します。
?ついては、日本の特許庁についての危機感と打開策、特許裁判の困難性とそれについての打開策が書かれています。
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相変わらず知財に対する興味が尽きない。この本も、その流れで購入し、一気に読みきってしまった。結論から言うと、既に古くなってしまった情報が多かった。日本の知財戦略は、小泉政権の「知的財産国」宣言に端を発する変革の最中にある。その分、知財に関する書籍は価値が減じられるスパンが短いのだ。
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ビジネスにおける知的財産をめぐる企業間の攻防をまとめたもの。
知識としては少々薄いが、電車の中の読み物としては面白い。
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[ 内容 ]
青色発光ダイオード、医療技術特許、CGアニメ、「浜崎あゆみ」…。
特許や著作権などの知的財産権は、うまく活用すれば莫大な富を生み出す。
先進国のビジネスはもはや、知的財産権を抜きにしては語れなくなった。
知財ビジネス、知財振興政策の大競争時代に、世界はどう動き、日本はどう対応しようとしているのだろうか―。
「見えない戦争」の最前線をレポートする。
[ 目次 ]
プロローグ 知財に泣き、知財に笑った男
第1章 遺伝子スパイ事件―さらけ出された「無防備な日本」
第2章 闘争の現場
第3章 世界の知財政策
第4章 発明者vs.企業
第5章 思い出の事件を裁く最高裁
第6章 知財を担う人々
第7章 「知財立国・日本」への壁
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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『知財に関する国際紛争の解決拠点として、国内に頼り甲斐のある裁判所をもつことは、国際化する日本企業にとっての生命線となりうる。』
代表的な知財訴訟とそれを取り巻く世界情勢を横断的に紹介し、今後の知財業界の展望としての問題に繋げている。事件の内容としては、特許3、著作権6、その他1といった感じの内分け。単に判旨と解説を列挙するに留まらず、各国の知財政策に取り組む姿勢を絡ませている点が、結構勉強になった。
結局、技術立国の再興のためには、技術者や知財人だけでなく、政府や経済界等も巻き込んだ複合的な視野が必要になる。どうも、論点がずれているような気がしないでもないが、それだけ難しい問題なのだろう。
ところで、本書の締めくくりとして、次のような記載がある。「日本国は、2016年には中国にGDPを追い抜かれるだろうという予測がある。これを防ぐ切り札となるのが知的財産戦略ではないだろうか。」と。ちなみに本書の発行年は2004年。事態は思ったより深刻なようだ。
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知財関連の裁判事例や
知財高裁について書かれている。
もちろん日亜の事も書かれているが、
若干、中村寄りであることが鼻につく。
面白いという程の本ではないが、
多少、過去・現在の特許の問題について
整理させてくれる点では良かったかも知れない。
私としては、
現在の特許制度が、
科学技術の進歩を妨げ、
消費者の利便性をないがしろにし、
費用の増大と
発明とはおよそ呼べないような
稚拙な屁理屈を公にする
不公平な制度についての批判や提言を期待したが
実際のところ肩透かしであった。
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理研の産業スパイ事件、日亜青色ダイオードの発明の対価など、マスコミを騒がせた事件を描き、日本の知財保護制度の遅れについて論じている。ただ、2004年で少し古い感じがするのと、(個人的に問題と思っている)複製コストが大幅に下がっていることについても考察がほしかった。日本企業の特許出願数はやはり大すぎで、IBMなどの巨額な特許収入に比べ、申請や維持にかけるコストの方が大きい。著作権法の基幹は75年だったのが、2003年に20年延長された。1928年生まれのミッキーマウスのための改正と言われている。映画の保護期間も50年から70年に延ばされ、七人の侍の権利も2004年から2024年に延長された。
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知的財産権に纏わる様々な出来事をインタビューを交えて紹介している.論点の軸はアメリカは進んでいるが日本は遅れているという事.
基本的にアメリカ企業にコンテンツを売る際に日本の弁護士が遅れていたとしてもたいした問題ではなく,相手の企業と同等のアメリカ人の弁護士を雇えば良いだけ.日本市場で特許が成立しなくても,市場または生産国で特許が成立すれば良いだけ.
日本または日本人対アメリカまたはアメリカ人を対比するだけでは本質は見えない.内に篭った議論ではなく,市場または生産国視点で議論を展開したほう方が建設的と思う.
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・初心者向けなのか総花的なところも?
・なぜ日本の知財収入が低いのかは、もう少し具体的なデータを
調べてみたいところ。
・技術者と企業が入社時に成功報酬学を予め決めておく、
という提案は良い方法だと思う。
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知財について知識を深めようと思って購入。
しかし、知財全般に関する話を期待していたが、
内容はとても具体的で、難しいというか、
あまり興味の湧かない事例が多く微妙だった。
また、知財関連トピックが幅広く出てくるが、
この本が発刊された少し古い時代のトピックのため、
あまり参考にならなかった。
ただ、普段あまり見聞きしない内容であり、
裁判のこととか法律関連の話に触れられたのはよかった。
特許に対する報酬問題は言い尽くされている感があるが、
特許出願されないノウハウ(企業秘密)に対する報酬問題なんかは
とても興味深い問題だなと思った。
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日本の知的財産権を巡る2004年当時の状態をレポートした本。
タイトルに"戦争"とある割に、記述のスタイルは新聞のそれであり、良く言えば平静、悪く言えば平坦である。全体を貫く強いテーマ性も特に感じられず、日経の記者である著者が日頃仕事をする過程で集まった時事ネタを、あまり脈略もなく繋げた、まさに「レポート」、といった印象。
ただし、イェーリング著「権利のための闘争」を引用し、2000年代初頭の知財ブームを巡る国内の狂騒を、既得権益層と新興勢力による「闘争」と捉え、「闘争の現場」を巡る旅へ読者を招待すると(文中で間接的に)宣言しているので、個々の時事的な「紛争」を第三者視点でつらつらと記述していくことこそが、本書の意図だと言える。
その意味では、出版から10年弱立っており情報として相当に古い面は否めないものの、当時における知財の在りようが、癖なく要領よくまとまっており、小一時間で読める優良なレポートに仕上がっている。従って、☆3つ。
P.S.
ただ1点、著者の主観があまり見られない本書のなかで、ほぼ唯一といって例外が「ライセンス料をもっと稼げ」という主張であるが、パテント・トロールや個人発明家は別として、ライセンス料を目的として特許を取得するのは、得策ではない。ライセンスは、あくまで自社の弱みを補う際の交渉材料として用いるのが良い。詳しくは、丸島儀一著「知的財産戦略」に詳しい。
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2004年出版で情報が古いのが残念だった。
GDPがどんどん他国に追い抜かれている中、技術立国の日本が知的財産を武器にしなければ、世界と戦えないと思った。
日本は小さな土俵でしか物を見ていないし、柔軟じゃない。
企業、大学、政界、法曹界、協力すべきなのに、縄張り争いばかりで、知的財産を守るためのしくみが不完全。空回りしている。
もっと積極的に知的財産を守るべき。
理系出身の弁護士が必要だと思った。