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紙の本
ホラー系もスプラッタ系も苦手ですが、このシリーズは何故か大丈夫なのです。
2008/11/10 14:58
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紅葉雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
法医学教室を舞台にした、鬼籍通覧シリーズ第6弾。
今回は、凄惨な修羅場を目のあたりにしてきている法医学者たちですら絶句するほどの、異様な状態で殺された、人気料理研究家の事件。
法医学者として遺体につけられた傷の謎を追うことになる法医学教室大学院生・伊月崇、法医学者・伏野ミチル。さらに伊月の幼馴染みで刑事の筧兼継の三人は、相変わらずいい味を出している。
お馴染みのメンバーも健在だ。
猪突猛進の部下二人に対し、絶妙な手綱さばきをみせる都筑教授。法医学教室の面々と兵庫県監察医の龍村。さらに少々(?)風変わりな鑑識員も登場し、ますます面白みが増してきた。
このシリーズは大ファンで以前から読んでいるが、実は自分でも不思議なのだ。
なぜなら自分は、「ホラー系? …自分には読めません」「スプラッタっぽい? とんでもない、以下同文」という、大の怖がりだから。
法医学教室が舞台だけに解剖シーンは山ほど。さらに作者が現役の法医学者だけあって、「ご遺体」の描写やら解剖シーンが妙にリアルで、時折クラクラしてしまう…となれば、たとえ好きなミステリーでも、本来なら逃げ腰になってしまうところだ。
しかも。
このシリーズをミステリーかと問われると、実は微妙なところである。
この亡羊の嘆はミステリー色が強いが、何しろシリーズの中には、ホラーのようなゾッとする(実際鳥肌がたった)話もあった。
……尚更距離を置きたくなる筈、なのだが。
それでも、新刊が出ると購入してしまう不思議な魅力がある。
それはきっと、「死」と直面している登場人物一人一人が、真剣に「死と生」や「失われた命と残された命」と向き合い、己の中で一つ一つ答えを導き出そうとしているからだと思う。当然それは、他ならぬ作者の姿勢でもあるのだろうと。
そして悩み迷いながらも、他者を思いやりつつ、柔らかい雰囲気を作り上げているその人間関係が、読んでいる自分にとって心地よく、何か温かいものを感じるのだ。
このシリーズを読んで、法医学者がどれほど厳しい立場にいるのか、始めて知った事は多い。捜査権が全く無く、警察からの情報だけを元に解剖をすすめ、あくまでも自分たちが解剖によって得た「事実」だけで死因を決めなければならない。さらに今回の「亡羊の嘆」のあとがきで作者が言っているように、今まで法医学者たちが「警察にも遺族にも与しない、純然たる中立機関である」ことを貫いてきた事など。
ネタばれにならないよう、亡羊の嘆の内容をこれ以上書くことは控えるが。
読み終わって、ふと考えてしまった事がある。
「信じられない」事件が現実に起きるようになっている昨今、今回の話のような「犯行の動機」や「犯人像」による事件も、いずれ現実世界で起こってもおかしくない……。
タイトルの「亡羊の嘆」という言葉が、深く身に染みた。
最後に。
この鬼籍通覧シリーズは、第6弾まで講談社ノベルズから出ているが、第1弾「暁天の星」から第5弾「禅定の弓」までが、ティーンズ向けの講談社X文庫ホワイトハートでも文庫化されている。そちらは山田ユギさんのイラスト付き。
さらに今年、第1弾「暁天の星」が講談社文庫で文庫化された。さらに第2弾「無明の闇」も11月に発売の予定。
興味を持った方は、ぜひ一度手に取ってもらえればと思う。
ただ、自分と同じ「怖がり」「スプラッタ系、駄目」という方には、一度中身を確認してからの方が……と付け加えたい。
電子書籍
ちょっと物足りない
2016/10/22 17:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の法医学の厳しい現状などは面白いと思ったが、ミステリーとしては、ちょっと物足りないです。淡々としすぎてる。