紙の本
デビュー作はこうであってほしい。真梨幸子、突き抜けたデビュー作。
2012/04/09 14:27
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
真梨作品はこれで二度目まして。
初めて手に取ったのは『殺人鬼フジコの衝動』。
衝撃的なタイトルに惹かれたのだ。
だが、『殺人鬼フジコの衝動』は描きすぎていた。
悲惨さを強調しようと描き、
その裏にある因果応報、血の業のようなものを
浮かび上がらせようとしていたのだけれど、
わたしにはまるでコメディのように映ってしまった。
しかし、その描かんとしているテーマ性が気になった。
というわけで読んでみた本作。
著者のデビュー作である。
タイトルにある「孤虫症」とは実在する病である。
どういう症状か――は先に知ると面白さが半減するので
説明しないでおく。
ただ、「実在する」という情報を頭の片隅に置いておくと、
「ある意味」で本書が数段楽しくなるかもしれない。
さて本書は3章で構成されている。
1章は麻美という主婦による「私」視点で展開する。
2章も「私」による独白型での展開だ。
しかし1章と大きく異なり、
ストーリーテラーの「私」は、麻美の妹、奈未である。
この章では、1章で一度描かれた出来事が
別の角度から再度、描き出される。
そして真相が読者の前に露呈する…はずだったのだけれど、
その「ほんと」の真相がわかるのは、3章でのこと。
この3章構成、すごく練られているな、という印象。
デビュー作はこういう「アツイ」ところがあるから好きだ(著者によるけれど)。
物語の冒頭で登場する麻美という主婦。
はっきりいっていけすかない。
夫と娘とマンションで「そこそこ」の暮らしをしているのにも拘わらず、
別にもったマンションで週に三度の不倫セックス。
しかも曜日を決めて、毎曜日違う男と、だ。
そんな不貞の妻を襲った突然の性感染症。
しかしそれだけで収まらず、
不倫相手が次々に亡くなるという事態にまで陥ってしまう。
「ま、自業自得だよな」と思いつつ読み進めると、
事態は思わぬ方向に進んでいくのだが、
それは読んだひとだけのお楽しみ。
感想はひとこと、おもしろかった―――――!!!!
文章は雑だし、構成はぐちゃぐちゃ。
ところどころ何がなんだかわからないところもあるのだけれど、
「書きたい」何かがすごく伝わってくる。
『殺人鬼フジコの衝動』のように
凄惨さ、残酷さの描写に頼ることなく、
内面の「いっちゃってる」具合をどこまでも追い求め、
突き抜けるくらいまで描こうとしている。
こういうアグレッシブな姿勢がすごく好きだ―――――!!!!
無難なものより、書きたいものを書く、
批判されようとも書きたいから書く、
デビュー作にはそういう情熱が欲しい。
その点、真梨氏は完璧だ。
解説を担当している豊崎由美氏も、
著者のこの姿勢を絶賛していた。
わたしは豊崎氏の文章も文体は、
たった140字以内のつぶやきでさえも好きではないが、
この点は、氏に100%同意する。
後味は確かに良くない。
しかし本書は後味の良さを提供するための作品ではない。
だから、後味が悪くて「良い」のだ。
うんうん。
真梨さん、面白い(興味深い)ぞ。
本書は「どろどろ三部作」の第一弾だそうなので、
他の二作も読んでみることにしよう。
楽しみっ!!!
投稿元:
レビューを見る
一番怖かったのは、本当にこんな奇病があるという点。
それ以外は必然性のない殺人、結論の見えない前振り、中途半端な結論。
まったく楽しめませんでした。残念。
投稿元:
レビューを見る
こちらに書きました。
http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2009-04-22
投稿元:
レビューを見る
怖ーい!気持ち悪ーい!後味最悪ー!
でも一気読み!
今年上半期のべスト5に入る位、のめり込めたわっ!
投稿元:
レビューを見る
期待してたほどではなかったかな?
ストーリーのつながりが???って感じだったし~
殺人鬼フジコの衝動がおもしろすぎたか。
投稿元:
レビューを見る
最近の大人たちはパラサイトが多いんじゃないかと思うときがあります。だれかに寄生しながら生きている。もしくは物質に。それはそれでもいいけれど、せっかく自分の足が2本付いているんだから自立しなくちゃ。
投稿元:
レビューを見る
やっと念願のデビュー作を読むことができた。
デビュー作でこの勢い。このねっとり絡み付く不快感。
読み終わるまで安心できない展開に寝不足になることは間違いがないでしょう。
投稿元:
レビューを見る
あらすじ省略、というかいろいろ書き辛い。
点数は55点。
私が読んだ中で『殺人鬼フジコの衝動』『更年期少女』に続き3冊目、そして著者のデビュー作にして第32回メフィスト賞受賞作。
著者の持ち味である中年女性を主人公にしたセクシャルでかつドロドロとした描写はこのあたりから既に描かれている。またこの作品に限ってはそれだけじゃなく、寄生虫関連に関しても非常に気持ち悪く、はっきり言えばあまり好かないタイプの小説です。(特に寄生虫関連に関しては苦手)
小説は3章構成で1章は主婦麻美の一人称で延々と描かれていて、娘を喪ったことなどにより最終的に彼女が精神的に発狂するようなシーンで幕を閉じる。
2章になると麻美の妹の奈央の一人称で語られ、姉麻美の失踪の真相を確かめつつ自身の周りで起こる様々な出来事が描かれていく。そしてラストではやはり精神的に追い詰められていく様が描写される。
3章では引き続き奈央の一人称で事件の真相を追いかけつつ実は…と言うスタイル。
で褒めたくなる部分が実は少ない。内面のドロドロした描写や病的な精神状態での周りの描写は非常に上手いけれども、話の構成が無駄に凝りすぎていることと、真相そのものとその見せ方がどうにも魅力に欠ける。
先に他の著作を読んでいることもありますが、この作品を読むのなら『殺人鬼フジコの衝動』を読んだ方が良いですよと言いたくなってしまいます。
さて関係ないけれど、巻末の豊崎由美の解説がなかなか楽しい。特にこの人について詳しいわけではないけれど、昨年あたりに聞いた『KAGEROU』の批評を聴き比べると、どういうのが好きなのか良くわかります。
ちなみにこの小説、メフィスト以外からはなかなか出版されないんじゃないのと言う点で、メフィスト賞らしい作品ではありました。
投稿元:
レビューを見る
ついつい一気読みしました。
夜中に読んでて吐き気がしそうなこともあり、微妙。
虫、嫌い~。
でも読み物としては個人的にはマル。
一気読みしたくらいだから。
最後のどんでん返し?
私的には、イマイチ。
これで少し評価落ち。
投稿元:
レビューを見る
殺人鬼フジコとバーターで借りてきて読んだんだけど、個人的にはこちらのほうが面白かった。
面白かったといっても、気持ち悪いのだけれど・・・
実際に存在する寄生虫をモチーフにしたもので、グロいのがダメな人は読んじゃダメ。
投稿元:
レビューを見る
殺人鬼フジコが面白かったので、この作者のデビュー作を読んだら すっごいぶっ飛んだ内容に一気読みでした。エロ・グロ・ナンセンスとありとあらゆるものを詰め込み尚且つ最後は供述ミステリーで強引に締めくくるなんてなかなかまともな作家なら出来ません。きっとこんな本は批評家の方からは無視されちゃうんだと思うけど、自分はすごく好きです。ただ沼田まほかるとかこの作者とか最近売れてる本の内容が後味悪いのは世相に反映されてるのでしょうか?
投稿元:
レビューを見る
第1章はとにかく気持ち悪い気持ち悪い。
虫が・・・・・・・・・・
第2章に入ると語り手の視点が変わって少しトーンが変わるので
マシにはなりますが、だんだん女の怖さも混じってきてもう大変です。
解説の豊崎由美さん曰く、『読んで後悔するかもしれませんが、後悔というほど強い感情を喚起させる小説などそれほど多くはない』とのこと。
確かに、私も次々本を読みますが残念ながらよほどの印象がないと割とすぐに内容を忘れてしまうんですよね~。
その点、真梨幸子さんの作品はものすごいインパクトで中々忘れ
られません。
いつも不快な読後感を残す作家さんですが、どうやら中毒になりつつあるようで、また他のも読みたいと思います。
投稿元:
レビューを見る
久々の真梨幸子。読みながら、あぁこういう作品を書く作家だったと再確認。エログロまっしぐらで、体中がムズムズしてくるんだけれど、先が気になって仕方ないから本を閉じることができない。ものすごい個性を感じる一冊。
http://mylovelybooks.jugem.jp/?eid=435
投稿元:
レビューを見る
移動中に時間が出来たので、集中して何冊か文庫本を読む。
一気に読んでしまったのが、フジコで衝撃を受けた真梨幸子の「孤虫症」。
これが女史のデビュー作ということなのだけど、まぁ最初から凄いこと凄いこと。
フジコ程の圧倒的なグロさは無いが、とにかく人間の暗黒面の描写が秀逸。
若干ネタバレを覚悟で言うと、落としどころはタイトルの孤虫症という寄生性疾患。
これがキーワードになり、多数の人間の精神がメチャクチャになっていく様は圧巻。
ドロドロ系に抵抗が無い人ならまず間違い無くハマれる。
正直、ここまでの中毒症状が出てきてしまう作家だとは思わなかった(^^;)。
これも著作コンプリートしてしまいそうだなぁ・・・。
投稿元:
レビューを見る
真梨氏のデビュー作。
一気に読んだ。
グロさ、気持ち悪さ、野蛮さは抜群です。
が、しかし「更年期少女」もそうだったけど結末が・・・
最後までグロさを貫いて欲しいわ~
'11.12.30読書完了