紙の本
「天使のナイフ」が楽しかったので、読みました。
2014/10/24 21:58
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投稿者:shingo - この投稿者のレビュー一覧を見る
犯罪被害者の追跡調査の話。短編仕立てです。加害者を赦すことが出来るのか、というテーマで重いです。救いはありませんが、そこから逃げていません。心に響きます。
紙の本
赦せるか
2016/03/29 15:41
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投稿者:端ノ上ぬりこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
佐伯修一はホープ探偵社の探偵。所長の小暮ともども元警察官。事務の染谷の3人で細々と営業している。佐伯15歳の時、姉のゆかりがレイプされたうえ殺された。ずっとその時の悔しさや悲しさ憤り等の暗い心を持ちながら生きてきた。ひょんなことから、犯罪加害者の追跡調査も請け負うと、ホームページに載せたことで佐伯の気が進まない調査がぽつりぽつりと来ることに。所長の小暮はパチンコに行くばかりで、仕事はもっぱら佐伯がする。調査の合間を縫ってゆかり殺しの田所を追跡する。冬美に過去を話したばかりに危険な目に合わせることに。寺田、榎本の今を知り、果たして佐伯は赦すことが出来るのか、赦せるはずは無いが、見つけて何をするというのか・・・・
重くつらいテーマで、ラストで救われたが、薬丸氏の本はいつも読んでいて苦しい。普段の自分には関係ないとは言えない問題提起が幾つもあり、考えさせられる。
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探偵稼業に身をやつす元警官の主人公、佐伯。
彼には十五年前に姉を暴行殺人で少年たちに殺されたという過去があって…
【感想】
探偵(推理ではなくハードボイルドのほうの)もののオムニバス。
ではあるが、全体を通して主人公の葛藤が描かれている。
話としてはこれといって派手なことはないし、予想も裏切ることもなく、まぁそうなるだろうなというところで落ち着く。
登場人物たちもさほどくどくなくて読みやすい。
小暮はズルい。
ハードボイルドとしてはまったりめだが、ついつい先を読みたくなった。
書き方がうまいのかもしれない、とにかく読みやすい。
以後、この作者さんの作品は買っていこうと思う。
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恋愛を交えると苦手分野になるのか?いまいち、進まず、また完全に話には引き込まれなかった。
冬美のような、一途で純粋な女性はいないと一言いいたい。
男性の希望的創造物にしても、ふた昔くらい前の印象を受ける。
酷評に聞こえるが、最後の榎本を看取るシーンは圧巻で、息を飲み、レコーダーを再生してほしい、いやでもしないほうがいいのでは、とどきどきした。
最後に救いのある設定なので、少し安心した。
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2012/9/29 Amazonより届く。
2018/8/16〜8/20
薬丸作品の通奏低音である犯罪被害者側からの視線が、本作では新しい形で提示されている。犯罪加害者のその後を追う探偵ときたか。薬丸作品を読むといつも問われるのは、自分がこの立場になったらどうするか、ということ。現在の加害者の権利を過剰に守り、被害者の個人情報を垂れ流しにするマスコミ報道。色々考えさせられる作品であった。
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薬丸岳『悪党』(角川文庫)読了。
結末が知りたくて読み終わったのが午前3時。
研究書ならすぐに挫折するのに。(苦笑)
連作で、章ごとに独立した話ながら最後にはそれらが結び付くという、よくある手法だが、探偵による「犯罪加害者の追跡調査」という視点が面白い。一気に読んでしまわないと登場人物のつながりが分からなくなる。今野敏ほどおどろおどろしくないが、結構えぐい内容だった。
ただちに『死命』に着手。
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探偵事務所に勤める佐伯。「犯罪加害者の追跡調査」という稀な調査を謳い文句にした為に様々な被害者と加害者に関わることに。 佐伯自身も姉を殺されたという被害者の一人。被害者達の持って行きようのない憎しみや悲しみに共感しつつも佐伯自身も加害者への憎しみをどう昇華すればいいのか苦しむ。加害者には犯した罪は一生かかって償え!と言えばそれまでだけど 「社会復帰してどんな風になっていれば被害者たちは赦してくれるのか?」という坂上の言葉が印象的。とても交わることのない被害者と加害者の想いを巧く描いていたと思う。
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赦すとか、赦さないとか・・・難しい。
赦せればいいんだろうけど、たぶん、赦せない、だろうな。
忘れる、こともできないけど、薄れる、の、かな。
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主人公は姉をレイプ殺害された過去を持つ探偵。類は友を呼ぶらしく、彼への依頼人は家族が犯罪に巻き込まれている者ばかり。登場人物がそろいもそろって犯罪関係者の家族という都合の良いストーリーなのには閉口するが、家族を殺された遺族は加害者を赦すことができるのか、という答えの出そうもないテーマに挑んだ連作短編ミステリー小説。
結局、赦せるか、赦せないかには結論が出ず。主人公も姉を殺された犯人に対して、それなりの復讐はできたが、満足感はない。
それよりも犯罪者本人は塀の中で守られ、その家族が犠牲になってしまう世の中は変えなければいけないと思う。
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探偵事務所で働いている佐伯修一は、老夫婦から「息子を殺し、少年院を出て社会復帰した男を追跡調査してほしい」という依頼を受ける。
依頼に後ろ向きだった佐伯だが、所長の木暮の命令で調査を開始する。実は佐伯も姉を殺された犯罪被害者遺族だった。その後、「犯罪加害者の追跡調査」を幾つも手がけることに。
加害者と被害者遺族に対面する中で、佐伯は姉を殺した犯人を追うことを決意する。
薬丸先生は、犯罪被害者や、犯罪加害者の心理を描写させたら右に出るものは居ないんじゃないか??ってくらい、リアリティを感じる。
被害者も加害者も、どちらの苦しみもひしひしと伝わってくる。
短編で繋がる物語。物語の先に大きな幸せなどあり得ないはずなのに、それでもちゃんと細やかな幸せに辿り着くところが、薬丸先生の優しさなのかなぁ。。。
読みやすく、没頭してしまう作品だった。
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姉を殺された過去を持つ探偵、佐伯がさまざまな犯罪加害者の追跡調査を行ううちに、自らの過去の事件と向かい合う様子も描いた連作長編。
今まで読んできた薬丸さんの作品と比べると、犯人探しや、どんでん返しなどミステリ要素は少し控えめな印象でしたが、犯罪をめぐってのドラマチックな展開はやはり薬丸さんらしい心の深いところに問いかけてくる重厚な作品ばかりでした。
印象的なのは『復讐』
育児放棄により弟を殺され、自らも餓死寸前まで追い込まれた兄の依頼の話。
この兄が母の行方を知ってからどんな行動をとるのか、ドキドキしながら読んでいったのですが、ラストは思わずうならされました。
『形見』は余命わずかの母の願いで殺人を犯した弟を探してほしいという姉の依頼の話。
母の決意と姉の最後の言葉に胸が打たれる思いでした。罪とは加害者だけでなくその周りの人までを取り込んでしまう、ということに改めて気づかされる一言でもありました。
連作後半部分からは徐々に佐伯自身の事件に迫っていきます。
大事な場面で何度もやり取りをすることとなる坂上や、登場はわずかながら印象的な佐伯の父親など、佐伯の決意にかかわってくる人たちとのやり取りも秀逸なものが多く、最後の佐伯の葛藤と決断まで予断を許さない展開でした!
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『天使のナイフ』、『闇の底』、『虚夢』に続く第4段。
慟哭の社会派ミステリーです。
元警察官の佐伯修一は、小さな探偵事務所で働いていた。
ある日、老夫婦から、息子を殺し、今は社会復帰している男の所在を調査して欲しい、との依頼を受ける。
更に、その男の今の暮らしを見て、赦せる状況か否か判断して欲しい、との追跡調査を依頼される。そして、それに対する佐伯の調査結果が、大きな波紋を呼ぶ。
更に、所長の指示で、犯罪被害者から、加害者の所在調査を複数引き受けることに...
いくつもの事件を調査するうちに、彼の中に芽生えてきたのは、ある想いであった。
なんと、彼の姉は、小さい頃理不尽にも命を奪われ、彼自身も犯罪被害者であった(警察官を辞めたのもその一因)。
そして、彼は、姉を死に追いやった3人を探すことに...
全体を通して重いテーマですが、あっという間に読み進めました。最後に、重い病で自ら死を迎える加害者のそばで、彼は何を想い、何をするのか。
最後のエピローグで、彼の今後に希望が生まれ、良いエンディングではないかと思いました。
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2013.2.22~26 読了
少年犯罪者が次から次へと出てくる。「少年譜」の後に読んだので気分が悪くなる最悪の印象、はるか(冬美)の存在が救いにはなっているが・・・。被害者遺族の心情には共感を覚える。少年犯罪への量刑が軽すぎる問題、殺人の場合は最初は終身刑で社会奉仕活動ポイントが積み上がれば減刑してゆく、というのが理に適っていると思う。しかし昔はヤンチャなワルは山ほどいたが、少子化で草食系が増えている今は絶対数がかなり減ってるんじゃないかなぁ~。超高齢化社会じゃ作品テーマにもなり得なくなる・・・
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うろ覚えだが
何年も前に読んだ加害者側視点の本に
「罪を償っても、その罪は
一生背負って生きなければいけない
それほど、ひどいことをしたんだ」
みたいなことを、
加害者家族に話すシーンがあったこと。
それに、「罪をつぐなってもか、、」
と、ひどく驚いたことを思い出した。
人は、良くも悪くも、自分を守ろうとするから
自分たちの生活圏に「異物」があれば
排除しようとする、、
だが、被害者側に視点を変え
自分の大切な人が殺められたとしたら
更生したからと言って、許せるだろうか。
いや、更生して幸せに暮らしている加害者を見たら
よけい怒りがたぎる気がしてくる。
死んでいい人なんていない。
被害者遺族は
どうやって罪と向き合うのか。
遺族まで、明日を失ってはいけない。
この表紙、
手に取るのを躊躇するほど、嫌な予感がしたんだ。
予感的中で、重さを引きずってしまった、、
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シリアスな題材に正面から切り込む、
さすがの薬丸作品。
加害者は逮捕、収監されることによって、保護され、
被害者家族はドンドン追い込まれていく…
わかるなんて簡単に言ってはいけないのだ。