紙の本
演劇入門
2023/11/10 12:54
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
演劇の入門書として、興味深く読むことができました。詳しく解説されていて、演技と演出の基本が、身につきそうです。
紙の本
著者コメント
2004/06/21 15:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:平田オリザ - この投稿者のレビュー一覧を見る
フィクションであるはずの、演技や演劇作品そのものを、人がリアルに感じる(あるいは感じない)のは、何に起因するのでしょうか?
本書は、演劇の問題を、演じる側の問題だけではなく、作品を観る側との関係から解き明かすことを目指したものです。
演劇に関心のない方でも、コミュニケーションや言語に関心のある方に、ぜひ読んでいただきたいと思います。
——平田オリザ
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とりあえず演劇始めてみたんだけどイマイチ演技とかよくわかんないっす、という人に読んで欲しい一冊。僕は読みながら「そうそう、そういうことなんだよ!」と一人で何度も頷いてしまいました。わかりやすくてとってもいい本です。まずは一度立ち読みでもしてみてください。
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何に、はっとしたかと言えば、『コミュニケーションの出発点は、「人それぞれ、言葉から受けるイメージが違う」という点にあると考えています。』というくだりだ。最近そのことばかりを考えていたから。自分が勝手に定義している言葉と、相手が考えている言葉は全く違うものであるから。それを「摺り合わせる」ためだけに、コミュニケーションをしているといっても過言ではないだろう。だからこそ、何をすると、どうなる、というイメージをあらかじめ共有していることは、虚構を本物に見せやすい。言葉にはそして、必ずコンテクストがついてくる。見えないコンテクストを見えるようにして、ことばにくっつけてやると、そこにシチュエーションが生まれる。ということらしい。
また、部分にわけるのではなく、複雑なものを複雑なまま記憶すること、の重要性について触れられていることにもびっくりした。まさに頭のよい子が育つ家は、これを狙っているから。人間というのは、細かい理屈で動いているのではなく、複雑なモノを無意識に同時並行に動かしたとき、いいものが生まれてくるようだ。これはつまり、理屈の通りが良い人が必ずしも、センスがいいわけではない、ということに通ずるのだろう。
いずれにしても、平田オリザという人が、これだけ自分の暗黙知を言葉にできることに驚いた。本当に。逆に言えば、普段からこれだけのことを意識的にはっきりと自覚しながら演出を行っているという事だろう。そういう人がいる、という現実に本当に驚いた。
自分の人生を演出する必要がある全ての人間に必読の一冊。
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緊張感や喜びが観ている人にも伝わって、結果としてそこに本当にはない縄が見えるようになるのが、演劇を支えているメカニズム。演出家は、このメカニズムを駆使して、虚構を本物らしく見せる。
イメージの共有のしやすいものから入っていって、イメージの共有のしにくいものへとたどり着く。
演出家の仕事は、この関係のイメージ、コンテクストを明瞭に示していくことであり、俳優の仕事は、そのイメージを的確に掴んで他者との関係を織り上げていくことにあります。
「間」を観客の想像力を見積もって、その範囲内で取ることが重要。ただし、想像力を閉じる作業も必要。どこで、観客の想像力が開き、どこで閉じていくのかを考えるのが、演出家の仕事
あたかも観客が自分で気付いたかのように仕向けるのが、演出の仕事。そのためには、どうしても、一度観客の想像力が大きく開く瞬間を作らなければならない。観客の脳の中に、無意識にいくつも選択肢を作っておいて、その中のひとつを、観客があたかも自分で選んだかのように誘導していかなくてはならない。
観客はわがまま。「分からない」と言っては怒り、「分かりやすすぎる」と言っては、また不満を言う。
観客の想像力の幅を意識して、その範囲内で作品を創ること。
社会的会話ー人間的会話の2つの会話スタイルを、バランスよく構成する
社会的なテーマを扱う作品ほど、人間的な側面を掘り下げて書かなくてはならない。人間的なテーマを扱う作品ほど、その社会的な背景をきちんと描かなくてはならない ex. 障害者のテーマ→恋愛の問題、東京物語 家族、親孝行のテーマ→都市への人口流入の問題→普遍性
俳優の演技においても同様 社会的な役柄、社会的な台詞の多い役柄を演じる時ほど、その人が、暑がりなのか寒がりなのか、紅茶が好きなのかコーヒーが好きなのかを考えなくてはならない。人間的な役割を演じる時ほど、その人の社会的な背景を考えなくてはならない。
ex. 科学者に見えるのなら標準的な科学者像から最も遠いところを探さなくてはならない 「最も遠いリアル」
いかにも科学者らしい姿を見せつけられても、観客は退屈するだけ。誰も思いつかない、しかし、形をして提示すれば「うーん、言われてみれば、たしかにそんな科学者もいるな」と思わせるそんな人間造形こそ、追求しなければならない。
喜劇、演劇的な笑いは、人間的なものが、社会的なものに浸食してきた時に起こる。 ex. タキシードを着た紳士がバナナの皮で滑る
社会的な構造を壊す、バナナの皮にあたるものを見つければ、演劇的な構造を作ることが出来る。そのために、実験を繰り返す。
作家の主題を的確に観客に伝える事を第一義とした近代演劇→世界の混沌を混沌のまま描こうとするのが、現代演劇
スタニスラフスキー メソード演技
ブレヒト 異化効果 観客が常に冷静に物語を観察し、社会への批判能力を高めるようにというのがブレヒトの「叙事演劇」
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日本では俳優の社会的な地位はまだ低いと言わざるをえない。それは俳優の仕事に対する社会的認識が低いと言ってもよい。自分が俳優にどんな条件を要求しているのかを、きちんと説明できない演出家とは付き合わない方がよい。
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四年前くらいに読んだ。
『演劇入門』を読んでから読むのがオススメ。
芝居をはじめたばかりの人には非常に勉強になる。
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私は
人が生きることそのものが
ある意味で「演劇」だと考えています。
配役から脚本から、演出から監督まですべてを自分が決めて演じていく演劇だと。
もしかしたら、その点では平田オリザさんと同じ方向を向いているのかもしれません。
素敵なコトバを紹介します。
「・・・・
演劇は、一生をかけるに値する、すばらしい仕事ですが、
しかしそれは、
身体や精神を病んでまでやるほどのことではない。
その一歩手前で踏みとどまれるかどうかに、
君たちの成功の鍵があります」
そうなんです。
人生は、
自分が演じかつ演出する、その2つのミカタを持っていることがとても大事なのです。
ぐんとのめりこみ、パッと全体を見通すバランス力が必要なのです。
自分だけが演じるドラマではなく、そのドラマを観る自分がいること。
一人何役もこなすドラマなのです。
また、平田さんはこういっています。
「・・・・おそらく、
すぐれた演出家ほど、
構成のチカラと、それを実践する演技指導の2つのバランス感覚を
しっかりと持っているのです。・・・」
そうなのです。
人生の中にある仕事もまた、
この演出家のように
構成し届けるべき人にその作品の「何たるか?」を届けると同時に、
その構成に沿ってその作品を仲間と「どう創るのか?」を考え行動する2つのミカタが必要なのです。
題材は、演劇に関することですが、
人とともに何かしらのカタチを創り上げることについて
考え方とその手法を手にする新しい視点からのヒントを得ることが出来るのではないでしょうか?
わかりやすく面白い一冊です。
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これはいい本だと思う。特に、演出とはどういう事かを考えるとき、この本に書いてあるようなことを前提にしていかないと、理性的に語ることはむずかしいのではないのだろうか、とさえ思う。少なくとも僕にとっては、今までうすうすと感じていた様様なことが明確に提示され、ごちゃごちゃになった部屋がすっきりと片づけられたような快感を感じた。
具体的には平田氏が行っているワークショップを追いかける形で、ノウハウとそのねらいを丁寧に説明しているような形態だ。それ自体が非常に示唆に富んでいて刺激的である。といっても、奇をてらっているわけではなく、詠めば詠むほど当たり前のことを書いているような気がしてきて、どうしてこの本を読むまでこんな簡単なことを自覚し整理することができなかったのだろうと腹が立つほどだ。
演技についての考え方なども含めて、少しでもきちんと演劇をやろうとする人は、確実に読んだ方がいい本だと思う。
2007/1/3
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[ 内容 ]
優秀な俳優の条件とは。
演出家はなぜ必要なのか。
演劇的な感動をどう起こすか。
芝居づくりの基本が誰でもわかる画期的な入門書。
[ 目次 ]
序章 演技とは何か?演出とは何か?
第1章 イメージを共有する
第2章 意識を分散する
第3章 コンテクストを摺り合わせる
第4章 観客の想像力を誘導する
第5章 実験を繰り返す
第6章 演出とは何か?
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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広報に役立てばといいなっと思い読んだ本。結果最高に役に立つ。
「個々の作品が名作となるかは二項対立の逆のテーマ(社会的or人間的)をきちんと描いているかどうかにかかってきます。」これは広報にも経営にも全ての演出で言えるなっと思った1番印象的な一文。
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これは演劇に関係ない人(俺だ)もおもしろいと思う。演技とか演出という時に何が起こっているか。現実に似ているように見える演技に何があり、何がないか。
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演出家が書く演技と演出について。
そもそもプレゼンとかコミュニケーションに役立つような何か知見がないもんかと手に取った本だが、期待以上に面白くて。
名作の条件とは「社会的テーマ」と「人間的テーマ」の両極がしっかり描けているかどうか。刑事ものでカツ丼が出るのは、刑事とか容疑者という社会的な人物がいる場面で「食べる」というきわめて人間的な行為を挟むことで、よりその人物たちの人間的な存在を強調するんだって。
最近みたフジテレビの「それでも、生きていく」なんかはまさにこれを象徴してて、被害者家族と加害者家族という究極な社会的テーマに、家族愛や人間の尊厳を掘り下げて描いていた。少し笑いの要素なども添えて。
俳優陣の演技力に加えて、こうした演出効果がうまかったんだなあと今更感心。今後映画やドラマを見る目がちょっと変わるかも。
演劇ってのは時間の流れの中の芸術だが、絵画にしてもこの本に書いてある様々な演出のさじ加減を意識することで、伝えたいものの幅が広がるような気がする。ビジネスにも通ずるところはある。
新しい気づきが多かったため星5つ!
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(講談社現代新書 1723)
[内容]
現代演劇の旗手が公開する芝居のメカニズム台詞を自然体で話すコツとは?俳優陣と演出家がイメージを共有する方法とは?演劇的な感動はどうやって起きるか?世界に広まる平田メソッドをわかりやすく説く。
[目次]
序章 演技とは何か?演出とは何か?;第1章 イメージを共有する;第2章 意識を分散する;第3章 コンテクストを摺り合わせる;第4章 観客の想像力を誘導する;第5章 実験を繰り返す;第6章 演出とは何か?
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演技と演出について、芝居を作るとき無意識に曖昧にやっていることが言葉で書き表されていて、なるほどと思う。