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第一章では鬼や河童などの代表的な、第二章では江戸時代の怪談や黄表紙、第三章では絵本百物語、第四章では琉球、第五章では蝦夷。
この本ではこれらのもののけの成立過程や正体が考察されています。
絵本百物語などの章は時代背景なども絡めて面白く読めたのですが、鬼など代表的なもののけになるとその成立も諸説あり、定説に否定的な作者の考えにすんなり納得出来ませんでした。
しかし蝦夷や琉球などあまり馴染みのないもののけの話も興味深かったです。
豆腐小僧の豆腐を食べるとカビると私も思っていたので、そのイメージが水木しげる先生の創作であったことに驚きました。
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もののけを生んだ社会・世相を分析し、当時というか人々が何故もののけを作り出した(生みだした)かを探っている。
鬼や河童、天狗の成立の歴史的背景
様々な妖怪本のもののけ達の歴史
沖縄・アイヌ…とこれらを題材に
日本の文化を考える事が出来た・
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4章、5章の沖縄とアイヌの妖怪の解説は新鮮だった。
妖怪とは、人間が原初から恐れる自然現象などを妖怪と置き換え、恐怖から逃れる装置である。
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鬼とか天狗とか河童の起源や江戸時代の「妖怪図鑑」など面白かった。
さらっと現代のアニメネタに言及するあたりにオタク集団と学会の人らしさなど。
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面白かった。特に琉球と蝦夷の妖怪の解説。ここにはもうちょっと紙幅を割いてくれたらよかったかも。
文化装置として、社会においてもののけがどういう役割を持っていて、どういうふうに作られたのかという視点で語られてる。妖怪がいるから怖いのではなく、怖いから妖怪が作られる。理解を越えたもの、とりあえずなんか良く分からないけど怖いものに、妖怪やもののけといった「理由」をつける。昔の人の知恵だったんだろう。
・発生した経緯がはっきり分からない豆腐小僧
・UMA的なものは江戸時代すでにいた。磯撫、波山など。
・過去の伝説、歴史、民話と、信仰や現象や世相が反映されてもののけとなる。
・琉球では異神が登場。蝦夷ではもののけの登場する英雄譚がある。
・かっぱの方言は地方によって多種多様。
・からくり技術と不気味の谷の心理に絡んで、人形のもののけも存在した。
・もののけは恐れられ、人間の醜さを代行させられる一方、愛嬌あるものとして親しまれもした。
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鬼・天狗・河童などの定番から、琉球やアイヌのちょっとマイナーな妖怪まで、さまざまな“もののけ”を紹介し、その成立過程を分析した本。
中にはちょっとこじつけじゃないかと思うような説もあったけど、全体におもしろく読めました。
女性差別ともののけを結びつけた説はなかなか新鮮でした。
個人的には化け物の親玉は見越し入道だという思いがあって、どうして『ぬらりひょんの孫』なんだろう?と疑問に思っていたんだけど、ぬらりひょんが化け物の親玉に成り上がった理由がわかってよかったです。
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怪談の歴史を紐解きながら、時代背景と怪談の成立順序から、もののけがいかにして生まれたか。日本人に愛されてきたか。を民俗学的視点で、説く一冊。(愛されるというのは、怖がられたり、教育に使われたり、日本人の生活に必要とされて、受け入れられてきたことを指す。)「鬼」「河童」「天狗」など代表的なものから、「寝肥り」「二つ口」などマイナーでもよく知られていもの、アイヌや沖縄のもののけなど、幅広く紹介している。民俗学的見地から怪談の歴史が、「うる星やつら」「ゲゲゲの鬼太郎」など現代文化に繋がるところが特に面白い。
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鬼や天狗はどこから来たのか怪談とはこうして生まれたのだと民俗学に近い本ですが妖怪が沢山出てくるし本自体もそんなに厚くはないので軽く読むのに最適です。
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●:引用 →:感想
●(前略)怪談映画や怪談本の中の幽霊、特撮映画やテレビの中の怪獣、ゲームの中の幻獣、ファンタジーの妖精なども、彼らの同類とみなすこともできるだろう。
→妖怪は怪獣などとは違い、創造されたものではないと思っていたが、実は同類のようである。
●江戸時代の人々もまた、作り物のもののけを見て、大いに楽しんでいたわけである。そうした作品の中にはしばしば、もののけは見る人の心の産物といった意味の表現がでてくる。つまりは現代人とさほど変わらないもののけとのつきあい方もあったわけだ。また、妖怪の創造に女性差別が存在してなど考えたことも無かった。
●人間はとらえどころのない恐怖に仮の名や姿を与え、それを克服しようとした。恐怖の対象をいったんキャラクター化してしまえば、それを退治したり追い払ったりすることが(たとえ、まねごとだけであっても)可能だからだ。(略)いわば、もののけは恐れられるものであるとともに、人間が過剰な恐怖に捉われるのを防ぎ、恐怖をコントロールするためにも役立っていたのである。
●現代においてもののけを考えてみると、1960年代以来、幾度も繰り返されてきた妖怪ブームもまた、現代人が反省の意味をこめて、もののけたちに新たな意味を与えようとした試みだったといえよう。(中略)つまりはその作品が描かれた時期の人にとってもっとも身近な恐怖を妖怪として形象化し、さらにその妖怪が引き起こす事件が解決される様を示すことで過剰な恐怖から読者・視聴者を解放する役を果たしていたわけだ。
妖怪と女性差別
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日本の「もののけ」(妖怪)の姿やあり方を、江戸期のもののけの様相を中心として考察・解説した本。「鬼」・「天狗」・「河童」などメジャーなものから、「累」・「化け猫」・「豆腐小僧」と言った江戸期の活躍したもの、更には琉球・蝦夷地のものまで幅広く紹介している。
個人的に参考になったのは、第三章「『百物語』のもののけたち」である。この章では『絵本百物語』に登場するよう妖怪(の一部)を解説しており、特に「舞首」の起源に関する説は大変興味深かった。また第四章・第五章で取り上げられた琉球・蝦夷地の妖怪に関する解説も初めて知る事が多かった。
ただ、いくつかの記述に間違いがあったほか、妖怪の解釈について疑問のあるものもあった(『付喪神絵巻』のテーマなど)。
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日本の夏といえば怪談。怪談といえば妖怪や幽霊などの「もののけ」達の出番です。お岩さんに河童に豆腐小僧と、日本にはたくさんの種類のもののけがいます。本書ではそんなもののけ達について、くわしく紹介しています。暑い夏を、ヒヤッとするお話で乗り切るのはいかがでしょうか。
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もののけ、妖怪の類をなぜ発生して、どのように日本文化に落とし込まれ、民衆の間で機能していたのかについてを有名な妖怪をメインに扱いながら読みやすい文章で示してくれている。宗教にしろ、精霊にしろ、妖怪にしろ、あらゆる物事にはそれが発生する所以があり、それが長い時を経て文化にさえもなることを教えてくれる。読み応えがあった。
手軽に読めるもののけの構造分解書入門として良いと思う。京極夏彦作にも同じようなものがあるが、雲泥の差で読みやすい。京極著はまじで素人を粉砕してくる笑