- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
14 件中 1 件~ 14 件を表示 |
電子書籍
本作屈指の名エピソード、大陸を股にかけた経済戦!
2017/10/15 13:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
最年少将軍となりつつも、力不足によって降格されてしまっていたマフムート。ようやく将軍に戻れた彼の初仕事が描かれるのが本巻です。マフムートはピタゴラスイッチのような計略で国際情勢を変え、帝国の危険さを央海諸国にしらしめることに成功します。
さかのぼってみればザガノスも、ヒサールの町を犠牲にすることで帝国の危険さをトルキエ国内に広めようとしていました。マフムートはそれを世界規模で、しかしほとんど犠牲を出さずに成功させたわけです。マフムートがザガノスの優れた点に学びつつ、自分らしいやり方で作戦を成功させているところに彼の成長が見えます。
この巻が面白いのは、チェスが得意なマフムートらしく相手の心理、考え方を織り込んだ上での計略が描かれていること。これまでの巻で、様々な人々に会ってきたからこそできることです。
マフムートの敵、帝国のルイ大臣は地図マニアで、地図によって情勢を考えながら様々な謀略を仕掛けてきます。そのルイ大臣がその足で各地をまわっているマフムートにしてやられるのはなかなか小気味良いものです。
以前は歯牙にもかけられなかったヴェネディックを、その考えを理解した上で動かしてみた手腕にも成長が見えました。そのことで、今までヴェネディック公認スパイのような立場だったアビリガさんとの微妙な関係にも変化が生じます。マフムート・キュロス・アビリガの主従の信頼関係が改めて深まる大事な巻です。
その他、マフムートの裏を見抜きつつも、あえて見逃したワン老師や商人たちの、それぞれの目論見がきっちり描かれているのも見ごたえがありました。敵方ながら、ロゥ提督の地に足付いた判断にも惹きつけられます。
そして、マフムートのビジネスパートナーになるニキちゃんも本当にかわいい!どこをとっても充実していて、『将国のアルタイル』の中でも特におすすめの巻です!
紙の本
戦記モノの名作
2011/01/31 00:42
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エリック@ - この投稿者のレビュー一覧を見る
月刊シリウスで連載中のファンタジー戦記作品。
作者は第5回シリウス新人賞受賞者カトウコトノ。
舞台は中世の後半の文明水準の世界であり、(実世界で言えば)中東圏国家の若き将軍である。
主人公の少年将軍マフムートが、同国内での権力争いや国家間の戦争など、政略にまつわる戦いを繰り広げるという作品。
第一巻以降、主人公は将軍職を失い各国を放浪することになるが、前巻において戦闘に勝利したことをきっかけに将軍職に復帰している。
本巻については、放浪を経た主人公マフムートの成長が見て取れる内容となっており、特に巻中の後半部分の謀略については、読んでいて爽快感すら抱く。
本作は現在も連載中の作品であるため、本巻(第8巻)をもっての評というよりも、作品全体を読み通しての評ということになるが、全編通して新人作家の筆とは思えない力強さを感じる。
美麗なイラストはもとより、月刊作品の宿命(弱点)とも言える、物語の展開の速さ(ページ数が少ないため、詰め込まなければならない)についても、描写を掘り下げるにはページ数の都合で大きな制約があるにもかかわらず、一コマでみせる登場人物の表情や、さりげなく発せられるセリフの一つ一つを丁寧に使い、上手く伏線を張るなど、作品水準としてはほぼ少年誌の限界点に達していると言える。
雑誌カラーによるものか、戦記モノにありがちなエログロ要素は、相当に薄められているものの、超人的な主人公等による「ご都合主義」は殆どなく、逆に「ご都合主義」がまかり通っている昨今の戦記モノの中にあっては、コレでもかというくらいに主人公が苛め倒されており(笑)、物語後半以降の主人公の成長と物語の展開に対し、相当に期待の出来る流れとなっている。
中世欧州を舞台にした作品が跋扈する中で、主人公を非欧州国家とするファンタジー作品は珍しく、しかも、ここまでしっかりと設定や人物を作りこんだ作品となると皆無であろう。
(新書ファンタジーであげれば、世界観として「アルスラーン戦記」がやや近いか)
惜しむべくは掲載誌がメジャー出版社である講談社の中においても、かなりのマイナー誌であることだろう。
昨今、別冊マガジン誌より奇跡的な大ヒットを遂げた「進撃の巨人」の例もあるが、日の目を見るには、掲載誌の不利があるように思う。シリウスという月刊誌が、講談社の雑誌であることを知っている人間は、比較的少数ではないか。
実際の中国春秋戦国時代を舞台にした「キングダム(週刊ヤングジャンプ)」等がジワジワ人気に火をつけつつある中で、個人的には、本作の方が漫画として読み応えがあると感じているだけに、現状は不遇であると感じている。
同じくマイナー調の「ヴィンランド・サガ」ですら、掲載紙の関係で一定以上の知名度を得ているため、圧倒的な知名度のなさが弱点といえば弱点か。
ともあれ、かつて、超マイナー雑誌で書店の片隅にすら置かれていなかった隔週誌ヤングアニマルを、一躍有名にした怪物作品「ベルセルク」の例もある。本作は、それら掲載上の不遇をものともしなかった作品たちの仲間入りをしうる作品であると、個人的には考えている。
繰り返しになるが、少年誌掲載のファンタジー戦記ものではぴか一の作品であることは間違いない。
手にとって損はない。是非一読を。
14 件中 1 件~ 14 件を表示 |