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今年一番衝撃をうけた作品、ある意味において
2017/07/23 00:16
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
花葬三作の淫靡な美しさに酔いしれ、その余韻を残しつつ「陽だまり課事件簿」に突入したときのあり得ない衝撃。六助さんの××さに立ちくらむ。滑稽ミステリーで、今までお目にかかった連城氏の作風と全然違う面白さはわかるんだけれど、とにかく六助がもう気持ち悪くて。リアル鳥肌が立ってしまった。三話目でなんとか全うな六助になっていったから少し安心したけれど、辛かった。そんなこんなでしっとりとした美しい世界観を有する花葬三作への私の想いはすっとび遥か彼方へ。どうして、花葬の後に持ってきたのさ。せめて逆でしょ。嗚呼、無慈悲。
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『戻り川心中』に続いて、
花をテーマにした短編「花葬シリーズ」をまとめたもの。
これもどんでん返しもののミステリですが、物語全体を覆う花のイメージがうつくしいです。
客観的に見ると、酷い真相ばかりなのですが、
重ねられる花の印象が強く、どこか物哀しい後味を残すものばかりです。
最初に収録されている「花緋文字」が一番好きです。
どこまでも救いようがない暗い物語と、
読後に残る美しい過ぎる花の幻影の対比が、印象に深かったです。
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「花緋文字」「菊の塵」
ひきこまれてあっというまに読んだ。
読みごたえがあっておもしろい。
特に「花緋文字」。
夏目漱石「こころ」の、先生の独白のような語り口調で
妹の名前が三津というのが、遠藤周作「わたしが・棄てた・女」の
森田ミツ (←学生の時に、ミツの名は罪(ツミ)を逆さにしたもので、主人公吉岡の罪を背負って死ぬ意味が含まれていると聞いた) をも彷彿とさせた。
タイトルの根本の意味を知りたくて「緋文字 (講談社)」「緋文字 (岩波)」「緋文字 (ハヤカワ)」も読む事に。
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<花葬>シリーズとユーモア・ミステリを併録した意図が謎。<花葬>シリーズは、一冊にまとめてほしかった。
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カバーを見ての通り恋愛(?)ミステリー。つまり私の芸風には合わない。4作品のうち、3作品がこのパターンなんだが、最後のどたばた喜劇っぽい「陽だまり課事件簿」がとても楽しい。シリーズものとして十分に成立する出来だと思う。
連城作品は、あっと驚く真犯人が最高の売りだが、前半で淡々とストーリーを並べ、公判で犯人視点からのストーリー再生する話法もまた素晴らしい。次の作品(もちろん次に私が手にするという意味であり最新作という意味ではない)も楽しみだ。
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なんとも深い心情を書く方と思ってたけど、
ミステリーになったらとたんに大衆っぽくなった気がして残念。
陽だまり課事件簿はもっと残念で読むのやめちゃった。
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ミステリ短編集。やはり耽美でロマンチックな印象が強いです。だけど案外とどろどろして邪悪な真相……それでも美しい雰囲気は壊されていないので、やっぱり素敵だなあ。
お気に入りは「花緋文字」。この真相はある意味とんでもなくショックでした。まさかそんなこと、思いもしなかった……。
「陽だまり課事件簿」も面白かった。前半の作品とうって変わってスラップスティックな感じが意外でした。
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「花緋文字」が取り分けて面白かった 事件の真相が明らかになり、それまでの認識が反転する場面 その転換の鮮やかさと露になった犯人の思惑にゾッとするような気持ちにさえさせられた 花葬シリーズと雰囲気がガラリと変わる陽だまり課事件簿の連作は、事件の進展とともに陽だまり課のメンバーが個々に抱える問題が解決されていく三話目が特に良かった
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〈花葬〉シリーズの男女の情感の縺れと、「陽だまり課事件簿」の軽妙ながらもハードボイルドを思わせる台詞回しのカッコ良さ。
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連城作品はどれも素晴らしいが、
やっぱり花葬シリーズのクオリティは
頭一つ抜けてる。
美しい筆致と引き込まれる物語。
おまけに予想外のオチまで
用意されている。
ずっと読み続けていたい作品だった。
残念ながらこの3編で花葬シリーズは
全て読み終えた事になる。残念。
取って付けたように余白を埋めた
陽だまり課事件簿という連作短編は、
前の3編とあまりに雰囲気が異なり、
一冊に収録されるのは
ちょっと無理があるように感じた。
この連作短編もユーモラスで
面白いのは間違いないのだけど。
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花葬三作の淫靡な美しさに酔いしれ、その余韻を残しつつ「陽だまり課事件簿」に突入したときのあり得ない衝撃。六助さんの××さに立ちくらむ。滑稽ミステリーで、今までお目にかかった連城氏の作風と全然違う面白さはわかるんだけれど、とにかく六助がもう気持ち悪くて。リアル鳥肌が立ってしまった。三話目でなんとか全うな六助になっていったから少し安心したけれど、辛かった。そんなこんなでしっとりとした美しい世界観を有する花葬三作への私の想いはすっとび遥か彼方へ。どうして、花葬の後に持ってきたのさ。せめて逆でしょ。嗚呼、無慈悲。
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内容(「BOOK」データベースより)
時は明治末期。政府重鎮の妻君・但馬夕とその家の書生・御萩慎之介との情死事件は起きた。現世では成就できない愛を来世に託した二人の行為を、世人は「夕萩心中」ともて囃したが、その裏には驚くべき真実が隠されていた…。日本ミステリ史を美しく彩る“花葬”シリーズ三作品に、ユーモア・ミステリの傑作連作「陽だまり課事件簿」を併録。流麗なる連城“世界”に酔う。
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『戻り川心中』に続く花葬シリーズ三作。明治大正の情緒ある背景に女の気迫や美しさがよく映え、息を潜めて眺めていたくなる。特に表題作は哀切に満ち、儚く花びらを散らすように生きた女の愛と執念を感じた。最期のとき、夕はどんな気持ちだったのだろうと思いを馳せる。
後半に収録のユーモアミステリ連作はガラッと作風が違い驚くのだが、陽だまり課の連中のキャラクターが良く微笑ましく読んだ。
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表題作を含む<花葬>シリーズの三篇に連作短編<陽だまり課事件簿>を併録した復刻版。同じシリーズとはいえ「戻り川心中」に収録された五篇とは少々毛色が異なる印象。この三篇が収録されなかった理由もその辺りにありそうだ。私怨の政治的利用という表題作の傾向は長編作の「敗北への凱旋」に受け継がれているが、歴史や国家といった大義的な飛躍をすると、個人の人間ドラマが置き去りになってしまうので、私はあまり好きになれない。物語のスケール感が小さかろうが、連城氏の艶やかでしっとりした文体は【個の情念】にこそ適している気がする。
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“花葬”シリーズの三作品は読者をうっちゃることに精魂を傾けたような出来で、そのためのネタ振りでしかない、前段部分の完成度が異様に高すぎることに、もはや笑ってしまう。結局ネタばらし部分で底が抜けてしまうだけの話を、よくもまあここまで彫琢できるものだ。職人芸の世界だけれど、オチの仕掛けそのものは多少強引な感じが否めないようにも思う。多分、オチの鮮やかさは二の次なんでしょうね。