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さくっと読めてしまった1冊。転生」がよかったので著者の別の作品を読みたくて、ふと手に取ったのがこれだった。もともとは別の作品があって、それを書き直してあるらしい。少し手を加えたのではなく、話自体が別のものとなっているのだそうで、そちらは未読なのだけれど・・・。ある日突然置手紙を残して妻が失踪する。妻といっても事実婚で、よくよく考えてみると妻のことは何も知らないことに気づく主人公迫水が、わずかな手がかりをヒントに妻を探すというストーリー。この迫水という主人公はリストラされて無職。抜けているというかよく言えばおっとりタイプの冴えない人なので、よくあるミステリの探偵役とは違って読んでいて「しっかりしろ!」っとハッパをかけたくなる。ストーリーはそんなのありえないんじゃ?という意外な方向へどんどん進んで行くので読んでいる間はなかなか気持ちよいです。
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しばらく読み進んだ時点で、以前に一度読んだことがあると思い、やめようかと思ったが、『烙印』をもとにして書き下ろされたものだと知り、再び読み始めた。
話題の基になる絢子は投身自殺ではなく失踪しており、主人公の迫水は頼りなくだらしない中年男として描かれている。
頼りなさ過ぎなのにもかかわらず、純粋に絢子を探し続ける姿が、『烙印』よりも共感できるのではないだろうか。
そして今回、後東の出番は『烙印』よりも少なかったが、大事な役回りであったことは変わらず、やはり殺されてしまったのは残念である。
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リストラされて無職の、元サラリーマンが主人公。
この主人公、妻に逃げられてしまふのだが、納得がゆかずに妻のゆくへを搜してゐる。
作者のタッチも、後半に入るまではいかにも情けない男として描いてゐる。
でもハードボイルドなのである。
妻のゆくへを追ひかけてゐくうちに、お約束の如く、ヤクザの抗爭に卷き込まれてゐく。
主人公の囘想シーンで妻のひとがらがわかるやうな構成になつていて、こんな美人でやさしい女性はこんな主人公にはもつたいないぢやないか、などと思ふやうになつたら、作者の思ふ壺である。
情けない男がわづかの日にちで雄々しくなれる。
それがハードボイルドの魔術なのだらう。
2003年6月5日讀了
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文体、登場人物のキャラ、ヤマ場の描き方など問題なし。非常に私好みの作品でした。斬新なデビュー作『慟哭』とはまた違った貫井が楽しめるはず。しかしラストがちょっと…だったもんで減点。
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『「慟哭」次はコレ!』という帯に騙されて買ってしまいました。貫井作品の中では、かなりの駄作です。失敗した〜。時間を返せ。
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"あなたとはやっていけなくなりました。ごめんなさい。私を捜さないでください"
突然、置き手紙を残して姿を消した絢子。
決定的な理由が思い当たらず、呆然とする迫水。
どうしても、諦める事が出来ず、絢子を捜し始めるのだが、その行く手には、何故か暴力団の存在が…。
絢子は一体何者なのか? そして、迫水は絢子と再会出来るのか?
"『慟哭』の次は、これを読め!"
書店(…というか、出版社?)に乗せられているような気がしますが、素直に買ってしまいました。
『不夜城』はたまた『新宿鮫』か!?
…てな感じですが、私は別に嫌いじゃ有りませんよ?
『慟哭』よりはインパクトに欠けますが、これはこれで良し。
『烙印』の全面改稿らしいですが、『烙印』の方は、残念ながら読んでません。
最後は、予想外の展開でした。
あれほど逢いたいと思って捜した絢子より、後藤の命の方が重かったというのが、意外といえば意外。
少なくとも、絢子の自殺を止める位の事はすると思ったんだけどなぁ…。
んー、まぁ、最後の選択がどうあれ、自分もどうせ…(以下省略)。
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貫井作品としては、かなり物足りなさを感じる一作。解説でも指摘されている通りに、テーマの斬新さはないし、トリッキーな叙述でもない。貫井作品の一つの特徴はそのハードさだと思ってきたんだけど、それもなかった。結末も、なんというか、インパクトに欠ける。「なんだ、そういうことか」みたいな感じ。登場人物の魅力も、他作品と比べると一段以上落ちる気がする。
と、散々に酷評していますが、一方で貫井徳郎という作家が、必ずしもハードボイルドでトリッキーな文章だけを書くわけではなく、他の側面も持っていることを知る、という意味では意味のある作品だったのではないかな。全然おもしろくなかったわけではなく、それなりには楽しませてもらったし。
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ミステリー長編。
主人公は最近会社を馘首されたものの、優しく愛らしい妻との夫婦生活は円満で、幸せに暮らしていた。しかしある日突然妻は『探さないでください』という旨の置き手紙を残して忽然と姿を消した。一体妻に何があったのか!?妻を愛する主人公は、妻探しに奔走する。その仮定で、知られざる妻の真実が分かり始める・・・。
今回も普通でした。相変わらず、読ませるんですがどうもオチが・・・。途中まではぐい×2読んでいくですが、ラストに肩透かし感。
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【2005.06.04.Sat】
失業中の迫水の元から突然、愛する妻絢子が消えた。置手紙だけを残して。情けない自分に愛想でも尽きたのか…と思うものの諦めがつかず、絢子を捜し始める迫水。暴力団の影に怯えながらも、彼は絢子の本当の姿を知ることになる。悲しいミステリーである。迫水の情けなさが人間味溢れている分、感情移入しやすい。彼と共に怯え、傷つき、驚き…。そんなふうに手に汗握り、ラストまで読み終えた。暴力団の抗争のの中で2人の愛は強くなり、そして引き離された。いつもはトリックの裏に隠されてしまうような愛が前面に押し出されたような作品だった。
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「慟哭」が素晴らしかった分、多少物足りなさを感じてしまう一冊。でも登場人物のキャラクターや感情の描写が実に豊かで、「慟哭」とはまた違った点で楽しめました。
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わからんわからんわからんわからん・・・!! うちのお頭では、第三十章の存在と、結末に理解が至りません。まぁあの結末自体は、あまり好きじゃなかったけれどいいとして、三十章の存在だけは、気になって仕方がない。落丁かと思って焦ったら、どうやらそうでもないらしいんで!!結末に絡んでくるトリック?深い意味はないんですかね?そもそもミステリとして捉えていることからして根本的な間違い?これは『烙印』っていう彼の本を徹底的に書き入れて改めて刊行したっていう本なんですけど、『烙印』も読んだほうが面白くなりそう。
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リストラされた男の妻が置手紙を残して突然失踪する。
男が妻を捜すうちに,次々と明らかになる事実。
妻はなぜ失踪したのか…。そして,妻の正体は…。
他の作品と比べて,トリックではなく,話の展開が中心。
万人受けしそうな話を意図しているように感じた。
その分,展開が読みやすくなってしまっている。
ラストは悲しいが,しっくりくるものであった。
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ダチョウって危険が迫ると頭を砂に埋めて自分の視界を塞ぐの?
そればっか気になってました。
それはいいとして、貫井さん3冊目。
なんだか初期の作品のような感じがしたのは私だけでしょうか?
『慟哭』の方が色々リアルだったような。
からくりはおもしろかったけど
人物描写がやや雑な感じがしてあんまり魅力的じゃない。
それでも最後の絢子の話はややほろりときました。
その後、主人公の兄はどのように始末されたのだろうと
それが気になる。
マル暴の兄を持つ主人公が妻に突然逃げられ妻の真相を知るという話。
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『烙印』を元に書き下ろされた話だったようで、そっちを先に読めばよかったかなぁと思いました。
元の話に作者が納得がいかず書き直したということだったので、どれくらい良くなっているのか気になるところです。
読み進めるにつれ、話がどんどんでかくなっていきますが、わりとうまくまとめてあるかな。
救いがないのは相変わらずですが・・・。
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慟哭」後、第二弾として刊行された「烙印」を、文庫化するに当たり全面改定して題名も変えて出されたもの。
そんなこと全然知らずに読み始めたんですが、いままでの貫井作品とは全然違う雰囲気。
ユーモアたっぷりで、主人公がヘタレでとても魅力的なんです。
ところが読み進めるうち、ストーリーがとても複雑で、
ヒントがあちこちにちりばめられているにも関わらず、なかなかつなげることができない。
そのうちハードボイルド色も出てきて、何度も今までを確認しないとトラップに引っかかってしまうのです。
そのために、普通サイズの文庫本にも関わらず、読むのに結構時間がかかってしまいました。
さすが貫井徳郎。ミステリーを存分に味わうことができました。
「烙印」は前作の評判にものすごいプレッシャーを感じて、
無理してつじつま合わせをして失敗したと自分の日記で反省をしていたそうす。
そのため、リベンジとして「烙印」をもとにして全く違うものを書くことにしたのだそうです。
惜しむらくは題名で損をしていること。
ちょっと意味が分かりにくいですよね。でも、読み終わったら納得の題名でした。