紙の本
この創造力に脱帽
2018/08/20 19:35
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
めっちゃ面白かったです。ミステリーとしてすごい訳でもなく、特段意外性のある結末でもなかったのですか、嗅覚を利用して犯人を追い詰めていくという過程が新鮮で、最後まで飽きさせない展開でよかったです。こんな誰も経験したことのないことを自分か経験してきたかのように、すごくもっともらしく、リアリティ溢れる表現でストーリーを作る井上夢人に脱帽!
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
この方の作品本当に全部好き。
あらすじだけ見ると、
そんなことありえないよね?
って設定なんですが、、
井上さんが書くと全部ありえそうなんですよね。
今この時代にそんな人いそう。
そんな病気ありそう。
信じ込ませたまま話が進んでいくから
本当に面白いです。
自分がまるでその世界にいるみたい!
紙の本
匂いが目で見えるようになったら?
2010/03/29 15:18
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間のいわゆる五感の中で、ともすれば一番意識の薄くなりがちな嗅覚。少なくとも視覚や聴覚に比べれば、その存在意義は低いと言わざるを得ない。しかし不思議な事も多く、匂いを感じるシステム自体、詳しい事はまだまだ研究中だと言う。その嗅覚をテーマにしたのが本作である。読み始めは、なるほどさすがに面白い所に着眼したなと思ったのだけど。
姉を猟奇的連続殺人犯に殺されてしまった主人公ミノル。自らもその現場に居合わせ、犯人に後ろから頭を殴られ意識不明の重体となってしまう。何とか一命を取りとめ、一ヵ月後に意識を取り戻したミノルの目の前には、不思議な世界が広がっていた。色々な色や形の結晶が渦を巻くように集合して、まるでクラゲのように自分の周りを漂っているのだった。次第にそれは「匂い」である事が分かってきた。殴られた事で感覚野に何らかの変化を来たし、嗅覚を視覚で捕らえる事が出来るようになっていたのだ。元来ぼんやりとした世界であるはずの嗅覚が視覚化される事で、何とミノルは犬さえも及ばぬ、人間の数億倍にも達する嗅覚を得ることになった。匂いを嗅ぎ分けることで、全ての個人を特定する事が出来るばかりか、その人間が歩いた後に残る匂いで、その人間を追跡する事も出来る。これで姉を殺した犯人を突き止めることが出来るのではないか・・・。ミノルはマスメディアの力を借り、同時に疾走した友人の美喜男の捜索も併せて始めたのだが・・・。
何せ嗅覚が視覚化された世界、という想像すら難しい設定。その世界を説明する、創り上げるのにこだわり過ぎたような感じ。目で見える匂いはどんな形をしていてどんな風に見えて、一般人の感覚とどう違うのか。それを提議するのに約600ページある上巻ばかりか、下巻に入っても大学教授との研究等で続いている。その間、肝心の姉の殺人事件と友人の失踪はほとんど棚置き状態。面白い世界感ではあるので飽きはしないけれど、さすがにここまでこだわる事はなかったのではなかろうかと思う。犯人にも一ひねりあるかと思いきやそうでも無かったし、失踪した友人美喜男もまぁ当たり前の結末を迎えてしまった。人間の感覚器における不思議な現象の予測、研究書としては面白いけれど、ミステリーとして読むには正直あまり面白くなかった。
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テレビ局や警察と連携して徐々に犯人を追い詰めていく主人公。
最後の犯人の抵抗にどう対処するのか。。
下巻はサスペンス色が強くなっています。
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臭いが見えたらどうなるか?そんな世界を井上夢人が描きます。ストーリー展開、臭いが視覚化していく描写、全てが有機的に絡み合い、素晴らしい物語世界を紡ぎ出しています。お奨め!
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新規購入ではなく、積読状態だったもの。
2011/12/3~12/4
下巻は畳み掛けるような展開で一気に読ませる。ただ、メインストーリーに集中するのは良いのだか、脇役達の登場場面があまりにも少なくなってしまい、どうなったのか気になってしまった。が、そんなことは置いておいて名作である。解説で映像化されたと書いてあったが、不覚にも知らなかった。是非見てみたいなあ。
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犯人についての記述がほとんど無かったのが印象的です。犯行の動機や心理などが全く描かれておらず、犯人はただの犯人で、それ以上でも以下でもない、といった感じ。謎を解く場面も一応あることにはあるのですが、主人公のミノルは物理的な手がかりではなく、匂いだけを頼りに犯人を追う。たったそれだけなのに、ここまで面白く読ませるのはさすがですね。ミノルが自分の嗅覚に徐々に馴染んで行く様子も読んでいて楽しかったです。
ラストも爽やかで心地良かったです。ミノルとマミには幸せになって欲しいです。もちろん、これから生まれて来る子供にも。
そして上下巻を読み終えて一番に思ったことは、美しい物語だな、ということ。ミノルが見ている“匂いの世界”が本当にとても美しい。私も一度で良いから見てみたいです。
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昼間に自分のバンドの曲が入った、完成したCDを聞かせようと訪れた結婚してた姉の家。呼んだのだが、誰も出ない。玄関は、鍵がかかって無く扉を開けると奥からうめき声が・・。うめき声を追って二階の寝室に行くと姉が全裸でベットに縛られてた。助けようとしたのだが、突然後ろから殴られ意識を失う・・。
意識が戻ったのは、病院の病室。聞いてみると脳内に大量の出血をしていて、血を抜く手術をしたと言う。意識を取り戻すのに一ヵ月。そして、目の前の光景が変わってた。匂いが見えるのだ。匂いは、クラゲのように漂っていて美しい光景に魅了される。
姉は、あの後血を抜かれ殺された。バンドの仲間も行方不明だと言う。
自分に起こった事に戸惑いながら、犬以上の嗅覚を使い姉の死・仲間の行方不明の事件を追い求める・・。自分の嗅覚を調べながら、事件の真相にせまる。彼が辿り着いた真相とは・・。
井上夢人が送る、不思議な世界です。このミステリーが凄い(2001年)第4位の作品です。これは、面白いですねもし、読んでなければ、読むのもいいかもです井上夢人の世界に浸かってみませんか?
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井上夢人、真骨頂。「クラインの壺」や「ダレカガナカニイル」などシックス・センス的なストーリーは流石、うまいですね。ちょっと勿体ないのが犯人との対決があっさりとしていて、犯人キャラも中途半端な感が否めないこと。ところどころに犯人との対決へと向けた伏線らしきものがあるのだけれど、生かし切れず。主人公の特異性と同じくらい、犯人の異常性を際だたせてもよかったと思う。
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本筋を伝えるのに不可欠ではない描写や説明も多く、面白いことは面白いんだけど…、とほんの少しの退屈も感じていた特に上巻だが、下巻に入る頃から印象は一変。
劇的に動き出すストーリーが決して興醒めさせるようなものではなく、素直に読者の興奮を誘い、ドキドキ感を煽る。
ひょっとすると、荒唐無稽でナンセンスなマンガに終わりかねない危うい設定でもあると思うが、そこらへんは井上夢人氏のことだから、心配するだけ無駄だった、ということかな。
ただ、やっぱりちょっと全体的には拡散しすぎていて、冗長な部分もあることは否めない作品。
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厚さを感じさせない面白さである。
『funny』では無く『interesting』な面白さである。
殺人犯に頭部を殴打され、昏睡から目覚めてみるとイヌ並の嗅覚を獲得していた主人公・片桐。今作は類稀な嗅覚を持つに至った彼が、その能力を生かして姉を殺した殺人鬼を追い詰めるミステリィなのである。
匂いが「見える」程の嗅覚である。
「パンの匂いが分かる」のではなく「パンを構成する匂いを解読出来る」のである。
まるで宝石の様な輝きを見せる嗅覚の世界の描写は本当に美しい。私も風を見てみたいものである。
ミステリィとしてはかなり変則的である。
常人を超えた能力を持つ主人公だから作法あれこれを論じても仕方が無いだろう。しかしながら、本の中の「ルール」の説得力が格別である。
『嗅覚探偵』に何が出来て、何が出来ないのかを分かりやすい比喩とともにスラリと解説してくれる。ルールが明確だからこそ、ミステリィとしては一見ありふれた設定の事件を一気に読ませる勢いを生むのである。
また、登場人物が非常に魅力的。
片桐とその彼女マミの関係性がかなり好きなのである。青春の終わりの素敵な恋愛なのである。
片桐と世界を共有する事が出来なかくなってしまったマミが最後に漏らす一言が、どこか破滅的な印象漂う物語に爽やかな救いを齎してくれた様に私は感じたのである。
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姉を殺害した犯人に襲撃された後遺症から、イヌ並みの嗅覚をもつことになった主人公。嗅覚を頼りに犯人を見つけ出そうというお話。匂いの視覚化って設定は非常におもしろい。ただ、ちょっと間延び感が否めないような。どうせ長くなるんなら、犯人像もきっちりとさせてミステリーとして書き上げてほしかった。
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上巻に比べるとテンポアップされて読みやすくなったけれど
やはり『策に溺れる』感ぬぐえず。
嗅覚の描写にばかり熱心で
人物描写や背景がほったらかし。
動機はまだしも特異な殺害方法に対する説明も無しってのはいかがなものか・・。
【図書館・初読・5/31読了】
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(上下あわせての感想)
単純に面白かった。異常な嗅覚を持つ主人公が姉の殺害、友人の失踪から犯人を追い詰めていく。この本の面白いのは、特殊能力に頼るだけで解決するのではなく、特異体質の主人公が苦悩しながら普通の人々にその能力を理解させ調和して生きていこうとするところ。
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ストーリはワリとサラッとしてるけど、匂いの視覚化にハマッて一気読み。犯人の動機とか異常性が何故だかイマイチだったけど、匂いをたどって追い詰めていくとこはドキドキした。
ミノルとマミの関係が良いね◎