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「日本企業・底力」
日本人だからこそ出来る役割で、世界を理解し、世界で戦う。
「日本は世界のリーダーという言葉は適切ではないが、世界のお手本となっていくだろう」と、かのドラッガーが看破したのは、1960年代初頭。その言葉通り、1970年代から80年代にかけて日本は工業国として脅威の成長を遂げ、〝ジャパン・アズ・ナンバーワン〟と呼ばれるようになりました。そして、世界の各国が日本に目を見張り、日本のビジネススタイルを見習うと研究した中生まれた言葉は、〝ジャパナイゼーション〟。
しかし、21世紀以降この言葉の意味は変わってしまいました。現在は、
〝ジャパナイゼーション〟=日本化しないように気をつけよう!
なんです。かつては、「あいつみたいに頑張ろう!」だったのが、「あいつみたいにならないように頑張ろう!」とは、なんと悲しいことか。しかし、ある意味仕方がないことでもある。日本は日本以外のせいにする前に、自分の身を正さないといけないし、言ってしまえば、日本人一人ひとりの問題なんですから。
〝ジャパナイゼーション〟は本当に日本化しないように気をつけようになってしまったのか。日本は、もう世界の手本になれないのか。いや、そうではない。日本人の良さを生かすことで、アメリカ人もインド人もイギリス人も出来ない活躍を実現することが出来る。日本人は何も気後れすることはないのだ。
それが著者藤田薫氏の主張です。確かに、その通りだと本当に思います。本書で登場する日本人達の活躍や考え方はとても共感出来るものであり、刺激を強く受けます。
が、しかし、本書の表題は「日本企業・底力 2500社を救ったNO.1ODコンサル19の切り札」です。その表題と内容がリンクしているかというと、私はそうは思いませんでした。「日本企業」とあるけど、企業努力はさほど取り上げられているわけではなく、むしろ個(海外で活躍する日本人)に焦点を置いているように思えます。その焦点の置き方も、著者の視点で切っているというよりは、各々の日本人のエピソードを取り上げている形でオリジナル性は感じません。
また、サブタイトル「2500社を救ったNO.1ODコンサル19の切り札」はなかなかの違和感w。サブタイトルを見ると、「コンサルティング手法やコンサルタントの経験や切り口で、日本企業の素晴らしさを書いているんだな」と多くの人は思ってしまうんではないでしょうか。そう思って読んでみると、きっと消化不良になると思います。
日本人として感じるところは大いにあります。しかし、コンサルティングはどこに行ったんだろうか。