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紙の本
坂本龍馬を描いて空前絶後、歴史に残る傑作
2010/07/04 23:24
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞連載の後、昭和41年に刊行された司馬遼太郎の初期の作品です。司馬遼太郎の著作は『梟の城』『国盗り物語』『新撰組血風録』『項羽と劉邦』は面白く読んだのですが、『翔ぶが如く』や『空海の風景』となると西郷隆盛、空海の評伝のようで、なるほどと勉強にはなったがロマンとしてわくわくするところがありませんでした。今のところ司馬遼太郎の代表作といわれる『坂の上の雲』も日露戦争論のように思えて読む気持ちになれません。
『竜馬がゆく』を読んでいるんだけどすごく面白いんだな、と言ったら、友達連中から何十年も前のものだろう、今頃になって読んでいるのかと茶化されてしまいました。たしかに、私が会社に入ったころですから40年以上も前の作品になります。そして、今放映中のNHK大河ドラマ『龍馬伝』を欠かさず見ていると坂本龍馬のことはまるで知らなかったんだと気づく。
だいたい幕末や明治維新の歴史などほとんど知らないんですね。中学・高校の歴史の勉強は「人はいつ見たペリーの黒船」から「いやむなしくと大政奉還」までの年次暗記でしたから。
思えば小学生の時に熱狂した嵐寛寿郎の主演した映画・鞍馬天狗がいけませんでした。勤皇の志士を助ける正義の剣士です。だから幕府を倒そうと命を賭ける勤皇の志士はよい人、幕府を守り勤皇の志士に白刃を振るう新撰組は悪い人。なにしろ「杉作!もうすぐ日本の夜明けだ。」などのセリフが印象的でしたから、勤皇は将来を見通せる開国主義で幕府は頑固な鎖国主義だと刷り込まれてしまいました。尊王がどうして攘夷なんだろう?とこの刷り込みがなんとなく変だと感じたことはありました。でもあまり深く追求しませんでした。それで特段困ったということがあったかといえば、そんな記憶は全くありません。幸いにしてこれまでの人生では「君は坂本龍馬の生きかたをどう思うか?」というような愚問にはあわずにこられました。
文芸春秋社文庫版は全8巻で、第4巻まで読み終わったところです。
第1巻 竜馬19歳~23歳
「薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ竜馬一人がやったことさと、勝海舟はいった。坂本竜馬は幕末維新史上の奇蹟といわれる。かれは土佐の郷土の次男坊にすぎず、しかも浪人の身でありながらこの大動乱期に卓抜した仕事をなしえた。竜馬の劇的な生涯を中心に、同じ時代を生きた若者たちを描く長編小説全八巻」
1853年 ペリー来航。竜馬は19歳、千葉道場で剣術修業
1854年 日米和親条約
第2巻 竜馬24歳~28歳
「黒船の出現以来、猛然と湧き上がった勤皇・攘夷の勢力と、巻き返しを図る幕府との抗争は次第に激化してきた。先進の薩摩、長州に遅れまいと、固陋な土佐藩でクーデターを起こし、藩ぐるみ勤皇化して天下へ押し出そうとする武市半平太のやり方に、限界を感じた坂本竜馬は、さらに大きな飛躍を求めて、ついに脱藩した。」
1858年 井伊直弼、大老に就任
同年 日米修好通商条約
同年 安政の大獄、始まる
1860年 勝海舟 咸臨丸訪米
同年 桜田門外の変
1861年 土佐勤皇党結成
1862年 吉田東洋暗殺
第3巻 竜馬28歳~29歳
「浪人となった竜馬は、幕府の要職にある勝海舟と運命的な出会いをする。勝との触れ合いによって、かれはどの勤王の志士ともちがう独自の道を歩き始めた。生麦事件など攘夷熱の高まる中で竜馬は逆に日本は開国して、海外と交易しなければならない、とひそかに考える。そのためにこそ幕府を倒さなければならないのだ、とも。」
1862年 寺田屋騒動
同年 生麦事件
第4巻 竜馬29歳~30歳
「志士たちで船隊を操り、大いに交易をやり、時いたらば倒幕のために海軍にする………竜馬の志士活動の発想は奇異であり、ホラ吹きといわれた。世の中はそんな竜馬の迂遠さを嘲笑うように騒然としている。反動の時代………長州の没落、薩摩の保守化、土佐の勤王政権も瓦解した。が、竜馬はついに一隻の軍艦を手に入れたのであった。」
1863年 長州藩、米・仏・蘭艦船を砲撃
同年 高杉晋作、奇兵隊
同年 イギリス艦隊、薩摩藩を攻撃
同年 天誅組(土佐脱藩人が主力)大和で決起、やがて壊滅
同年 禁門の変(七卿落ち)、薩摩・会津による長州追い落としのクーデター
同年 土佐勤皇党・武市半平太、死罪切腹
一気にここまでを読みきりました。とにかく受験用でしたから幕末史を事件の名称と年次だけの断片で理解してきたものにとっては、それぞれの事件の因果がつまびらかにされるプロセスはまさに大型エンタテインメント並み。ドラマティックであり、上等なミステリー同様に謎の提起と謎解きの連続です。その緊迫感を大いに楽しむことができました。坂本竜馬の人物像はなるほど魅力的ですね。圧倒的に強い剣客としての見せ場もふんだんです。それぞれが剣豪小説なみの工夫があります。NHKドラマではこの凄さがありません。竜馬に思いを寄せる美女たちの競艶も詳細でして、これもNHKドラマにはない楽しさがいっぱいでした。
さて、この作品はあえて「竜馬」であって「龍馬」ではありません。司馬遼太郎はもちろん坂本龍馬の史料を丹念に分析した上でのことですが、著者自身の自由な発想で思い切り濃い味付けをした司馬龍馬を作りたかったのではないでしょうか。すでに坂本龍馬は国民的な英雄として定着しています。ただし、おそらく誰しもがイメージするのは司馬遼太郎の手になる坂本竜馬像です。そしてこのイメージを変えるような坂本龍馬はこれからも登場しないのではないかと思われます。坂本龍馬を描いて空前絶後、歴史に残る傑作と言えます。
紙の本
さすが司馬遼太郎
2017/12/14 13:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎は面白い。龍馬の名が知れ渡るきっかけにもなった1冊。
紙の本
30代にして初めて読む竜馬がゆく
2012/08/05 15:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sleeping lion - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまで多くの方から一度は読んだ方がいいよ、と言われつつ30年。
やっと、読んでみようかと思った。
で、読みました。
面白い!なるほど、大人の皆さんが進める理由がわかったわ。
坂本龍馬という男はどうしてできたのか。
幕末という時代に生まれ、土佐という上下関係の厳格すぎる藩に生まれ、
偶然の積み重ねで彼は坂本龍馬になった。
坂本龍馬が取る判断、結果的に行う行動、考え方。
この本をもしかしたら、就職活動前に読んでおいた方が良い本かもしれない。
自分が置かれた環境、自分が育ってきた環境、自分は何をすべきなのか。
龍馬の自問自答が、時に自分が置かれている状況とも重なる。
それが、今この時代を生きる私達にもきっとヒントになります。
まだまだ1巻目は序盤、土佐から江戸へ剣術修行へ旅立つところから、
江戸における他流試合までを収録。幕末はまだ、黒船が来たばかりの頃です。
これから読み進めるのが楽しみです。
紙の本
坂本龍馬のイメージを植え付けた大著
2021/07/31 19:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂本龍馬のイメージを日本人に植え付けることとなった著者の代表作。世間に膾炙される坂本龍馬の人物像は本書に端を発しているわけで、こんなことを成し遂げられるのは著者以外に知らない。さて本巻は土佐藩の郷士の家に生まれた龍馬が江戸への剣術修行に赴き、ペリーの浦賀来航による社会の動揺と、そこで幕末明治初期に名を残す人物と出逢うところまで。描かれていることの大半はフィクションらしいのだが、時代が大きく動くなかで龍馬の英雄的なキャラクターが徐々に芽生え始める様子が実に躍動的に描かれ楽しい読書だった。
電子書籍
人々動かす作品
2021/07/14 11:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
数多い司馬遼太郎の作品の中で どれか一つといわれたら この「竜馬がゆく」を上げる人が多いのではないかと思う。一般の日本人が持っている幕末感 竜馬感はこの作品によって作られたと言って過言ではないと思う。確かに人物表現が生き生きとしている、随所に現れる 歴史観も読者の日本人としての自尊心をくすぐる。その点に一抹の不安を感じてしまう。
紙の本
元祖・起業家である竜馬の生涯に全力で没入せよ。
2001/03/20 02:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:赤木 - この投稿者のレビュー一覧を見る
<海運と貿易をおこして世界の海を舞台に仕事をする>という大望を抱き、そのために、将軍・慶喜に大政奉還をさせて統一国家を実現してしまった坂本竜馬は、起業家の元祖である。
歴史小説の天才・司馬遼太郎による本書は、波乱に満ちた竜馬の生涯を鮮烈に描いている。