紙の本
神のおめぐみを
2019/05/01 16:00
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
シニカルというのでしょうか。
ヴォネガットの作品は短編は性に合っているのですが、長編はどうも難しすぎて・・・。
読んでいくうちにもっと好きになるかと思って挑戦中です。
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エリオットの生き方は愚かだったかもしれないけれど、他の登場人物もみな愚かで救いようがないんだけど、バカバカしいと笑うよりも泣けてくる。しみじみと。好きな本。
でもタイトルの日本語訳、クリスチャンは普通、お恵みじゃなくて「み恵み」って言うのでは。
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人にとって大切なもの、正しいこと、そういう書いちゃうと青臭いようなあれこれが、さらっとユーモアたっぷりに描かれた作品。登場人物それぞれの正義やら理念やらがあって、ひとりひとりがきちんと生きた人として脳裏に浮かぶ。ラストも秀逸。読み終わってすっきりとした感傷に包まれました。
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昨年4月に逝去したカート・ヴォネガット(本書はカート・ヴォネガット・ジュニア名義)の初期作品。純粋で優しく、暖かい人間を描く事で、その慈愛によってもなお救われない貧民の傲慢と成金の臆病を描き出す。ヴォネガット氏の御冥福を祈りつつ、謹んで星五つ。面白かった・・・・
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『惜しみない愛を与える』
とっても素敵な言葉です。
でも、人間が他者全員にそれをしようと思うとどうなるのか??
ローズウォーター氏はすっごいお金持ち。
仕事をしなくても財団から、毎月たくさんのお金が入ってくる。
彼はそのお金を自分自身を、貧しい人たちのため、惜しみなく差し出していく。
『貧しくても心優しい人たち』であれば、いい話。
でも人間いい人ばかりじゃない。
『貧しい上にどうしようもない人たち』だってたくさん居る。
生きている限り誰にだって価値はある。
それは正しい。綺麗ごとでもありますが、正論です。
だから、困っているなら助けてあげたい。
助けてあげることだって悪いことじゃない。寧ろ立派なこと。
でも、誰だって欲を持っている。
ひとつもらえば、また次が欲しくなる。
優しさに依存したり、利用しようって人だって出てくる。
そういう人たちにローズウォーター氏はどういう風に接していくのか?
ラスト、すごく好きです。
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ヴォネガット後期で繰り出される「乾いた笑い」と、
前期で用いられる、ラストにオチを持ってきて問題の昇華を図る手法が交差した秀作だと思った。
ヴォネガットは「スローターハウス5」と「チャンピオンたちの朝食」で
転換期を迎えたんだなぁと改めて思う。
エリオットの狂気はなかなかすごいものがある。
こんな夫に振り回されたら、そりゃ嫁はうつ病が発症するわ、と思った。
が、やはり特筆すべきは、父親との対決シーンだろう。
このくだりは、ものすごい迫力がある。オチについては、ニヤリと笑う感じ。
ヴォネガットらしいといえばらしいけど、らしくないといえばらしくないかな。
思想としてはヴォネガットらしいのだけど、手法がらしくない、という感じ。
キレイすぎるかな。ヴォネガットの短編っぽいオチ。
クレイジーなヴォネガットに慣れるにはもってこいの入門書だとおもった。
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おもしろかった。今の世界、アメリカ、日本の暗部を深くえぐりだしてる気がする。
ヴォネガットはすごいと思う。
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声を出して笑った。
隣人愛については、正直、アイロニーしか感じなかった。
本心なのかな?というかクレイジーだから、隣人愛って言わない。
いろんな話の紙芝居がシャッフルされて目の前でめくられるような。
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最後の1ページに驚いた。
本書では、エリオットがウ゛ォネガットの化身となっているだろう。
キルゴア・トラウトもまたそうなのだが。
1982年に日本語訳が出版されたみたいだから、もう20年以上も経っているのに、色あせていない。人間の不変の本質=愛をいささかのユニークさを含めた小説といえよう。
去年亡くなられたことが、本当に悲しい。
カート・ウ゛ォネガットさん、あなたに神のお恵みを
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ものすごく皮肉な物語で、くすくす笑ってしまう。最後は傑作。読み終わってすぐの感情はどこか「アルジャーノンに花束を」と似ている。歪んだ社会と、一人の男の「愛」の形とが似るのかな?よく分からない。これ、日本よりももっと雇用や保険などがシビアなアメリカではもっと辛らつに、その分面白く受け止められるのではないか。
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初めてカートヴォネガットの作品を読んだ。がこれはSFではなかった。次は「猫のゆりかご」読んでみるか。
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お金持ちは富を分配しろ!って庶民は思うけど、
本当に人のために尽くしたらどんなことになっちゃうのか・・・
中流階級以上にはキチガイと思われ、
貧しい人々には神と崇められ、
それでも本人は首尾一貫しているのが滑稽であり、切なくもある。
しかし最後の妻に会いに行くところからの超展開はすごかった。
え、火事?え、テレポート?記憶喪失?え、ケンカ?いつの間に???
ぜんぜんついていけなかった(笑)
主人公もなかなかついて行けてませんでしたが。
・・・ということは、狙い通りの効果だったのかもしれません。
彼のやったことは最後に他者の言葉によって説明され、そうしてようやく周りが理解できる意味を持つ。
だけどそれって本当の意味なんだろうか。
結局、芯の部分は誰にも理解されないまま、主人公は自分を貫き通したのだと思う。
他人なんて気にせずに自分の道を歩めという意味ではなくて、
他人を気にせず自分の道を歩めばどう見られるのか、どう見えるのか、
という皮肉なのかなあ。
全体的にシニカルな印象でしたー。
いちおSFになるのかな?
文章はフィリップ・K・ディックより素朴で読みやすいようだけど、
実は結構深くてイジワルでした。
いやーSFって本当にいいものですね!
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無償の愛をもつ人間の説明書。
誰しもがなりたいと願う、良い人(愛に生きる人間)を目の前にすると人はどう行動してしまうのか。
受け入れる側の破綻した状況が否が応にも理解できるように書いてある。
私にはとても耳がイタく、苦しく、悲しい本。
この本を悲しむことなく喜びの中で読む人間になりたい。
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愛とはシェアするものではないだろうか。恋人と部屋や食べ物を分ける。兄弟で同じ親を分ける。さあ、あなたは愛する人と何を分け与えることができるのか。お金?そう、お金はもっともであろう。お金で人生つまづく人もいることだが、愛が芽生える人ともいるだろう。そもそも愛は金より抽象的だ。空漠的だ。存在しないと思う人だっているに違いない。もちろん。そう。ありうる。しかし、僕は愛は実在するものだと思っています。愛は分けるものという定義ならば、歌や小説は愛でしかない。愛と同等な価値になろう。愛を感じる小説である。金なんてみなさん!他人にあげることができますか?できなければ・・・・・・。
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現代版の異邦人。
新自由主義社会において、人類愛を語ることは異端なのか。
カートボネガットのシニカルな問いかけがそこにはある。
異常という日常。
ボネガットの皮肉に満ちた文章の中で、
彼の純粋で無垢な人間愛が浮かび上がってくる作品。
「あんたがローズウォーター群でやったことは、断じて狂気ではない。あれはおそらく現代の最も重要な社会的実験であったかも知れんのです。なぜかというと、規模は小さいものだけれども、それが扱った問題の不気味な恐怖というものは、いまに機械の進歩によって全世界に広がってゆくだろうからです。その問題とは、つまりこういうことですよーいかにして役立たずの人間を愛するか?」