紙の本
タイタニック
2001/08/07 11:46
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投稿者:ねこいらず - この投稿者のレビュー一覧を見る
SF界の巨匠によるタイタニック物。選考する作品に茶々を入れつつ、フラクタル理論を元に、楽しいほら話を展開する。
紙の本
タイタニック号の引き上げ
2001/07/30 04:39
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投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
西暦2012年、巨大客船タイタニック号の沈没から100周年。それを記念して、海底に横たわるタイタニック号の船体の引き上げプロジェクトが開始される。
技術的な問題、資金調達、プロジェクトメンバーの確保、思わぬ発見が引き起こす波乱、マスコミや世論への対処。巨大プロジェクトを行なう際に直面するさまざまな問題が立ちふさがり、それらをひとつひとつ解決してゆく。物語はその様子を淡々と描く。
二つに割れて海底に横たわる船体。二つの異なったチームがそれぞれの引き上げを担当するのだが、両チームとも、驚くべき方法でそれを行なうのだ。
決して派手さはないが、ひとつひとつのディテールがリアルで、まるで現実のプロジェクトの過程を追ったドキュメントを読んでいるかのようだ。
プロジェクトがどのような結末を迎えるか、あとは本書を読んでいただきたい。地味な作品だが、クラーク節全開である。
ただひとつ、マンデルブロ集合にかかわるエピソード。あれは蛇足だと思う。興ざめであった。
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「神の鉄槌」では幻滅したが、こっちは良かったなぁ。1990年の作品だが、とても良かった。
筋書きは、タイタニック号を引き揚げるという近未来のSF。もちろん、これにまつわるさまざまなドラマが展開される。私には無駄と思える登場人物も沢山いるが、それはそれなりにクラークがいいたいことを代弁させる役割として許してしまえる感じ。
中身は非常にハード。ハードSFと言う言葉が一斉を風靡した頃の流れがここにある。日本では(今はどうしているんだろうか)堀晃氏等がハードSFをよく書いており、私も好きだ。ハードSFって明確な定義は知らないが、要するにひとつふたつの虚構(仮定)を除けば、かなり理論的な展開が存在することだと思う。
この作品ではマンデルブロー集合の話がある。数学に詳しくなくても、その魅力はパソコンなりでよく見る形だけに一般に知られているだろう(だから私も知っている)。タイタニック号の引き揚げという目でこれを見るとあまり面白くない(お決まりの結末)。
でも、それが大きな背景となっており、その背景の中でいろんなドラマなり論理的な楽しさがあるというのがクラークの雰囲気かな。地球から一気に宇宙空間に飛ぶエピローグのキレもいいと思うし、クラーク自身による25ページに及ぶ謝辞や資料、講演会記録なども読みごたえがある。
物語の中で引用するにもっともふさわしいところを私の言葉で少し書いてみる。
問題1:
2つの正四面体がある。この2つを放して置くとき、面の数は合計いくつか。
答え1:
8。(当たり前)
問題2:
2つの四面体のひとつの面をくっつけて1つの立体を作る。新しくできた立体の面の数はいくつか。
答え2:
6。(互いにくっついた面がひとつずつ消えるから、これも簡単)
問題3:
正四面体とピラミッドがある。この2つを放して置くとき、面の数は合計いくつか。
(正四面体の全面の三角形とピラミッドの側面の三角形は等大とする)
答え3:
9。
問題4:
正四面体とピラミッドのひとつの面(三角形)をくっつけて1つの立体を作る。
新しくできた立体の面の数はいくつか。
答え4:
7。
さて、答えの1~4の中に間違いがある。もちろん、トンチではない。これが頭の中で解る人がいれば私は感動する。私は絵を書いてようやく理解できた。とても面白いのでこの立体を作ろうかと思うほどだ。作品には直接関係ないが、面白い問題だったもので。
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安心して読める面白さがあるが算数は要らない
表紙 6点浅田 隆
展開 6点1990年著作
文章 6点
内容 618点
合計 636点