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第1部の下は、上で描写されていたような奴隷代わりのコーヒー園労働では日本移民の将来はないと考え、自分たちの土地を持つようになり、日本人集団地建設が進む話。平野運平が15年に有志を募って植民地建設を始めた。
前半はずっとマラリアの話…乗り越えたと思ったら植民地の金策…なんとか軌道に乗ってきたと思えば次は平野植民地の大バッタの大群…ちょうど第一次世界大戦の頃、ブラジルの森林を開拓して農業をして暮らし始めた日本人たちが苦労続きだったことが伺える。
平野運平の死はただただ辛い…
後半は移民たちの中から現れた、コーヒー農園以外の道を切り開こうとする人達がよく描かれている。
・香山六郎が田舎の情報も伝える新聞を始める。
・後にブラジルの茶王となる岡本寅蔵の苦労
・後に日系移民の母と呼ばれる池上トミ、渡辺マルガリータがキリスト教の信仰が固くなっていく過程…
地球の反対側で今では大きなコミュニティが出来た始まりを垣間見た感じがした。
あとがき・解説まで読んで改めて感銘を受けた。本当に超大作だ。2回もブラジルに渡り、両国で取材に取材を重ねてさらに文献を読み漁ってこの小説が出来てることを知り、北杜夫さんの熱意に私も影響されそう。
最初は「この人やたらマンボウの本ばっか書いてるなあ」 と思ってたけど、
・マグロ調査船の船医になってヨーロッパ行ったり
・登山者もいない北アルプスを放浪したり
・ディラン登山隊に医師として参加して4200mも登ったり…
やることの規模感が全て超人的。海、山、海外への憧憬が、すごい。これで文才まであるなんて。私もここまで突き詰めたいな色々。