紙の本
自分自身の視点を変える1冊になった
2013/06/13 23:37
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のずち - この投稿者のレビュー一覧を見る
『過剰医療がこの国の未来を喰い物にしている。闘う医師が怒りの告発』というインパクト大の見出しに引き寄せられ購入。
いやいや、バッサバッサと甘えている人々、ごまかしている人々を容赦無く斬る!!という内容で面白かったです。
本当に社会を変えるにはトップダウンではなく、現場から動かなければ始まらない、そして今現在の闘う医療から支える医療、本当にそこの地域のため、誰かのために仕事をしたい仲間たちが集まって初めて、地域に根付いたささえる医療が実現可能とのこと。
現場で苦労してきた医師だからこその発言だと思います。
誰かに依存するのではなく、自分たちの健康は自分たちで守り、地域全体でそれを支えていく、なぜなら国の資源には限りがあるのだから、というような内容が印象的。
私自身、薬局薬剤師としての立場から、薬局に足を運ばれた方に対して、将来病気にならないためにどうして行ったらいいのかを少しずつ啓蒙することも、年をとっても健康で過ごせる社会作りに貢献できるのではないかと感じ、日々の仕事の積み重ねが、結果どこに繋がって行くのかを知ることができた、大変面白い一冊になりました。
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最近、健康診断で「糖尿病の疑い」と診断され、年貢の納め時と不摂生な生活を改め、野菜中心の食生活に見直し、ジョギングも再開しました。将来にわたってできるだけ病院にかからないようにし、今、使っている体を長持ちさせようと意を強くしています。
そんな折、医師の村上智彦さんが本書を出版したので取材に行くようにと上司に頼まれ、早速、昨年開業した「ささえる医療クリニック岩見沢」へ取材に出向きました。
村上先生に本書を献本していただき、新書ですのですぐに読了しました。ト書きに「過激」と書かれているので、肩に力が入りました。
予防医療に力を入れましょう、病院へ行けば人は死なないというのは間違い、行政に丸投げはやめよう―。
至極まっとうなことが書かれています。というか当たり前過ぎて拍子抜けしたほどです。
自分自身が冒頭のような境遇にあるせいもありますが、ここに書かれていることが根本的に誤りなのだとしたら、逆に教えてほしいくらいです(枝葉末節の話なら専門家からあり得るかもしれませんが…)。
「弱者のふりをして医療費をムダ遣いする高齢者」など、たしかに表現は時に過激ですし、俎上に載せられて真っ向から批判された夕張市民の中には気分を害する方もいるでしょう。
ただ、どの批判も、穏当な表現を使えば「責任転嫁はやめましょう」と言っているに過ぎません(余談ですが、夕張市議を「無能な善人」と評しているくだりが面白かったです。夕張を題材にした佐々木譲さんの小説「カウントダウン」を思い出しました)。マスコミや労働組合に関する批判は全くその通りと思いました。
唯一、医療の受け手のひとりとして、気がかりなのは、医療業界の中で村上先生のような考えはむしろ例外なのではないかということです。仮に大きな水位差があるのだとしたら、そこにはまり込んで苦しむ方も出て来るのではないかと懸念しております。
幸い、厚生労働省は村上先生とほぼ同じ考えで医療行政を進める方針ですので、業界が足並みをそろえて改革に向かうことを願ってやみません。
先ほど、「医療の受け手のひとり」と書きましたが、自分自身はできるだけ病院にかからないように、無理のない範囲で健康を管理しようと今、考えています。
そのうえで糖尿病になるなら仕方ないですが、不摂生を続けた果てに…ということになったら後悔すること必定です。糖尿病になると、生涯5千万~6千万円くらい医療費がかかるとのことですから、予防するに如くはありません。
そう考えるきっかけとなったのは、冒頭に書いた通り、「糖尿病の疑い」という診断結果です。再検査で疑いは晴れましたが、予備軍なのは事実。そして、その診断を下したのは、ほかでもない村上先生でした。
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村上医師の本は数冊読んだので、主張されていることは理解しているつもりですし、賛同もしております。
「いのち」という言葉を使えば、なんでも許されるみたいな風潮を改めるべき。
医療のの問題に関わらず、国民1人1人がもっと自立、自律せよってことじゃないでしょうか?
自分のこと、自分の家族のこと、ひいてはこの国のことを人任せにするんじゃなく、自分で考えることの必要性をうったえているんだと思う。
あと、医療を提供する側、特に保険診療・調剤を食い物にするなってこともおっしゃりたいのだと思う。
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村上医師の戦う姿勢がとても良く分かる本.
まえがきで述べられているとおり、これは「日本の構造」についての警告の書である.
前例主義、事なかれ主義、依存体質、先送り主義、当事者意識の欠如、他人事ではなく自分事としてみる視点、人は必ず死ぬという事実の把握、タテマエ論や綺麗事だけで終わらせずに、限られた資源をいかに有効に使っていくかということが論理的に書かれている.
厳しい口調ながらも、私欲を捨てて地域や日本のためにやっていこうという村上医師の考えにとても共感を覚える.
実際の場面では既得権益者との戦いは文章に書かれている以上にかなり激しいものだったと想像する.それでも戦う姿勢を貫く村上医師に敬意を表する.
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「私が戦っていた敵は、いずれもちょっとしたごまかしの積み重ねによって作られてきた”日本の社会の仕組み”そのものだったように思います。」(本書まえがきより)
多くの人に読んで貰いたい。
でも、読むべき人は、恐らく読まないかも...。
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13/03/30。
4/5読了。予防医療の大切さはこれまでも十分に言われてきたことではあるが、医療本体の赤字を補うものであるかのような認識を持つ医療関係者が多い。
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医療崩壊について、色んな方面でいろいろ書かれてるけど、それぞれの内容の優れている点を抜粋して、それがまとめられた内容に感じた。受け売りとかそういうことじゃなく、純粋に“これだけ読んどけば、あらかた事足りるやん”的な、ポジティブな意味での感銘を受けた。
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そう、医療にたからないで。挑発的なタイトルは、村上先生の切実さを表している。わたしの僻地での診療経験に照らしても頷ける内容が多い。
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大部分に賛同!
現場で、もがきながらも必死に闘っている先生の言霊が詰まった本。
一部分への批判ではなく、本当に聖域なく多方面に対して辛口コメントを発信している。現場で、実際に行動を起こしている方の心の声がヒシヒシと、確かな力として伝わってくる。自戒の書として、じっくりと読みたい。
日本人が陥りがちな「思考停止」は、どこまで続くのだろうか。。。
最近5年間、自分の中に少しずつ湧いて出てきた嫌悪感を、見事なまでに表現されていた。もちろん村上先生ほどの大きな問題ではないが。
もともと薬剤師だったことに驚いた。しかし、やはり、医師でないと、行動は出来なかったのだろうか。。。
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地域レベルにしても国レベルにしても,システムを変えることは大変だと思う。さらには両者が同じ方法論でいいかという問題も。
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正論。制度によりかかっている人が、どれだけ他人(特に後世代)に負担を与えているかの自覚がないことには困る。<悪気のない不作為>こそが問題。その自覚のために実践を重ねているところが説得力のあるところ。
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本当に色々と考えさせられた。夕張破綻の原因の一つとして、住民の「たかり体質」をあげていた。なんでも薬を貰えれば安心するような患者のことだ。高齢化していく日本において、医療費の増加は避けられない問題である。そこで予防医療が重要になってくる。夕張では今まさにそれが起きていて、いわば日本の縮図といえるだろう。
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夕張で「村上スキーム」を主張した筆者がこの国の医療の「暗部」へ踏み込んで、書きつくした新書。提言もある、エビデンスもある、経験もある、筆者ならではの筆致と説得力。実に素晴らしい新書。タイトルも全うです!ぜひ読むべし。
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医療も街のことも人任せにしない。ひとのせいにしない。「自分事」なのだ。
その通りだと思う。わたしたち医療者にも読んで、考えたい。そう思わせられます。
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医療の側面から日本の構造的依存体質に対する意見具申である。
行政の対応の悪さ、マスコミの勝手な論調、住民の根深い被害者意識の問題点を端的にわかりやすく解説してくれる良書と感じた。
間近に迫った超高齢化社会に向かって今日本人がなにをしなければならないかを考えることを問題提起してくれている。