紙の本
台詞の偉大さ、は、文脈によります。
2000/10/20 05:35
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投稿者:しんちゅう - この投稿者のレビュー一覧を見る
街で生きることを拒絶された、感情のない少年が未来と過去の争いに巻き込まれる。未来というものが過去によって規定されるのはおかしい。と、過去から未来が独立しようとして起こる、未来と過去の争いである。そのような争いの中で過去と未来の区別が曖昧になり、それが混ざると、将来に知るはずのことは既に過去において知っていることとなり、過去が未来へ与えるはずの影響、が考慮されなくなる。
人の、世界に対する認識というものが通常以上に意味を持ち、人の現実認識が幾層にも重なり合って形成された世界の中に、未来や過去といった区別は存在しない。各人にとってのみ現在は現在であり、そんな風に未来と過去が混ざり合った現実の中で、世界は発狂する。
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未来や過去までもが重なり合っている、この物語において、時の流れやものの形というものは意味を持たず、あらゆる現実は幻であり、ただ自分の感覚としての時の流れ、自分の経験だけが確かな、現実である。時間の軸は幾方向にも跳び、現在は崩壊し、もうどうしようもないと思われるほどに発散した物語が終盤にいたって一気に収束し、完璧な涙に凝縮されていく様は、あまりにも、美しい。そうやって物語が終わった後に、このいささか叙情的なエピグラフは、はじめて意味を持ちうる。
感情が生じさせた涙は
時間を封じ込んだ水球
紙の本
編集部コメント
2003/03/05 21:08
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投稿者:早川書房編集部 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一切の感情を持たない少年と殺戮機械との時空を超えた戦いの果てに……緒方剛志による新カバー特別重版。
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感情がない男が時空を超えて危険な目にあいまくる。 女と共に行動する。 時空を彷徨うなか、唯一現実味を感じられるのは戦車につきまとわれる時。 未来から過去を破壊しにやってきた三頭身の銀妖子。
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久々に読み返したがやはりイイ。SF属性のない人にはちょっときついかもしれないけれど、スケールの大きさ、読む者の首根っこを捕まえて離さないストーリーとが、繊細な文体で綴られていて、このバランス感覚がたまらない。
ハードな物語の中にナイーブさが見え隠れするというのは、神林の持ち味ですね。切なくもさわやかなラストシーンには思わず私も涙が……。神林作品では文句なしの一推し。ぜひとも読んでほしいオススメの一作。
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短編集。愛も不条理も哲学も何もかも詰まってる。傑作。凄く好き。
桜坂洋『ALL YOU NEED IS KILL』にはまったひとは是非合わせて。
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借本。
「あぁSF読んでる〜」と感じました。
内容が、濃いです。
最後にくる爽快感、これは、かなりおすすめです。
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感情を持たない少年と、完璧な機械の対決……だけでは片付けられない、時間や空間の交差する物語。ラストはとても感動です。
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NHK青春ラジオドラマが良かったので、原作に手を伸ばしたのが全ての始まり。SFしているんだけど、考えるとちょっとロマンティックな事になっている。
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ぐっときた…ところを描くとネタバレになってしまうかな。だけど自分が読んだ神林作品の中ではかなりおすすめです。
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生まれつき喜怒哀楽のあらゆる感情を持たない少年・宥現。
現実社会に適応できない彼が、旅賊の女性・魔姫と出会い……。
目覚めた戦闘機械との闘いが始まる。
未来と過去とが錯綜する不思議な世界でおきる宥現と殺戮機械との終わりなき戦いと魔姫との邂逅。
緊迫した状況の中、宥現の感情は揺さぶられ……。
完璧の涙!!あなたも体験してください!!
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感情を持たない少年の話。感情移入しにくいかなと思ったけど最後はどっぷりはまってしまいました。淡々としてるのがいい。
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泣くことは恥ずかしいことだろうか、獰猛さはただ野蛮なのだろうか?
泣くことも獰猛さもない無感情な少年が少女と出会い急転直下の状況に翻弄される作品。
社会性の途絶、個集相互の干渉。感情は関係性から来るのか?個が先天として持つのか?
目薬の涙と共に無くしたものは大きく、そして目から流れる涙を少年は得られたのだろうか。
完璧な涙を私たちも流せるようにありたい。
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生まれてから一度も、怒ったり喜んだり悲しんだりしたことのない少年、本海宥現。家族との感情の絆を持たない宥現は発砲事件にをきっかけとして、砂漠の旅に出た。
何かグロテスクな話でした、何か読み終わったあとも後味があんまりよろしくなかったです。人には勧めにくいかもしれません。
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「きみのために泣く」
生まれつき喜怒哀楽の感情をもたない少年、宥現。
家族との絆さえ持てない彼は、発砲事件をきっかけにひとり砂漠へと旅立ち、運命の女・魔姫と邂逅する。
だが、突如砂の中から現われた戦車に似た巨大マシーンが宥現と魔姫の時間を非情にも切り裂いてしまう。それは、全てを破壊する過去からの殺戮者だった……。
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