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日本の職場での女性の社会的地位を書いた新書。
まだまだ男性優位の社会ではあるが、家庭に入れば女性が全ての決定権を握っている家は多い。男性優位なようで、女性優位な場面は家庭内にとどまらず、社会の中のあらゆる場面で見られるようです。
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会社の中でOLと言われる一般職の女子社員は、総合職男子社員の補助職であり、個人の人格も認められず「女の子」とひと括りで呼ばれる。昇給、昇進も殆ど無く、従って勤務評定も不必要なので名ばかりである。つまり優れた仕事をしても評価はされず、サボっていても不利益な結果には繋がらない。そんな弱い立場のはずのOL達が、男性社員に対する好みで勝手に仕事の優先順位をつけたり、なおざりな態度で仕事をしたりなどするのは、もともと昇給も昇進も望めないOL達には、その仕事ぶりで得るものも失うものも無いからである。そうなると男性社員は仕事を上手く進めるためにはOLの機嫌を取って「気持ちよく手伝って」もらうという事に気を使わねばならない立場になるが、あくまでも「女の子」扱いは変わらない。「性差別的社会慣行は男性と女性に異なる働き方を要求するが、そのような働き方の相違は、ジェンダーによって納得され、正当化されているのである。p180」
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古本屋で購入。
ここでいう「OL」とは大企業の一般職のことを指している。
著者は、立場が低いはずのOLたちが
それを逆手にとって職場の男性たちに対して
害のない程度の抵抗(レジスタンス)
をしている実態を分析。
彼女たちは、男性の競争を傍観者として楽しんでいるが、
そのような戦略は伝統的性別役割分担の再生産に
つながるのではないかと指摘する。
興味深い1冊。
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非常に切り口が面白い内容の本だった。
一見すると権力的に弱い立場にあるOLの、その立場をうまく利用したレジスタンスが非常に効果的である。
総合職の男性社員と違って出世競争にさらされない一般職女性社員(彼女たちをOL と定義)は、社内で実に賢い、合理的な戦略(レジスタンス)をとっている。
ただ、OLがそのようにレジスタンスを継続することによって「ジェンダーの落とし穴」にはまっていくという皮肉な結果が待っている。
会社内において、女性だけでなく男性がどんな行動をとるべきかも、本書を読んだ後なら分かるのでは。
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[ 内容 ]
先進諸国の中で職場の女性の地位が日本ほど低い国はないと指摘されている。
しかし、男性が女性一般職に対し奇妙に遠慮がちなのに対し、女性が男性をからかったり仕事の優先順位を勝手につけるなどして抵抗しうるのはなぜか。
弱者の立場を逆手にとって男性の競争を傍観者として楽しむ戦略は伝統的性別役割の再生産につながるのではないか。
ゴシップ、バレンタインデー等細部を通し武器としてのジェンダーとその落とし穴を考える。
[ 目次 ]
序章 OLという存在
第1章 「女の敵は女」のウソ
第2章 ゴシップ
第3章 バレンタインデー
第4章 OLの抵抗の行為
第5章 男のストラテジー
終章 ジェンダーの落とし穴(gender trap)
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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少し古い本なので現状とは合わないところもあるが、OLを中心とした日本の労働環境についての鋭い洞察がなされている。特に、OLの戦略が本来の意図とは逆に性差別的企業慣行に正当性を与えているという指摘は、問題の根の深さを示唆しており、興味深い。
また、最後に触れられている派遣社員の増加に関わる問題提起は、現状の社会問題を的確に先読みしていると言える。
先行研究や社会調査の手法についても大変参考になった。
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ちょっと古い本となります。
ですが、こういうのは今でもありそうな気がします。
このOLという存在はどこの職場でも
厄介な代物のようです。
扱いを間違えば…
ある意味これは構造のゆがみ、
がもたらしたもののように思えます。
男性は出世する、でも女性は…という図。
どこかさびしい図でもあります。
でも女は怖いですね。