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感じていたモヤモヤは私個人の問題だけではなかった
2019/07/06 01:32
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投稿者:Raika - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会学の視点から、国の施策や女性を取り巻く環境の変化について書かれており、かなりのボリュームでしたが、読みやすく一気に読みすすめてしまいました。
私自身は正規雇用労働者で二児の母ですが、育休を取得する時、時短勤務で誰でもできる仕事になったとき、休みなく働く夫のいない家でひとり家事と育児に追われる時、世の中に置いて行かれるような虚しさにこころが押しつぶされそうになりました。いつもモヤモヤ。今までキャリアについて全く考えていなかった自分をうらみました。私自身の勉強不足もありますが、親も会社も学校もこんな壁にぶつかるなど誰も教えてくれなかったのです。
この本を読み、データに裏打ちされた女性を取り巻く不利な現実に追い討ちをかけられた気持ちになりました。
でも、自身の努力の問題だけではないのだと安心することができ、これからどう生きていくのか冷静に考える時間をもらいました。そして、子どもたちのためにも現状を変えるべく闘っていきたいと思いました。
女性のみなさんはもちろん、男性にも読んでほしいと思います。
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雇用機会均等法をよく理解せずに、ただ何となく女性にも機会が均等に与えられるようになったのだ とストレートに飲み込んでいましたが、機会が均等に見えるようになっただけで、内容はどうなのか。男女間の格差と女性の間の格差。勝ち負け。女性の労働状況は少しでも上向いているのか?
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饒舌な勢いのある論の展開。
ボリュームはあるが、一気に読ませる力がある。
何と、生きにくい世の中だろう。
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ひさしぶり・・・・。
冗長かなとも思えるほどに、30年を、我が人生を語っているようです。
何度も同じことを繰り返されているのは書き下ろしではないからでしょうか。
もう少し整理されてもよかったかな。
第二次安部内閣を国民の選択のように言われているが、それは当たらないかな。
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最近読んだ本のなかでいちばんグサっときた…!
男女雇用機会均等法って手放しでいいものだと思ってた。というふうに高校生の時から授業でも教えられてきた気がする。
でも。。。均等法の盲点は、「平等」ではなく「機会均等」ということ。そしてそれは「正社員についてのみ」定められていること・・・同年に成立した労働者派遣事業法と両輪となって、使用者に都合のいいような設計にされた。
つまり、この後は使用者にとって女性労働者は「機会を用意するから」男並みに働ける女性か、一般職正社員に代わってすぐ首の切れる非正規雇用かの2種類となってしまったこと。
そしてそれが女女格差を生み女性間での連帯を止めてしまうという…(怖
思うところはいっぱいあったけど、
第4章 電子書籍p.1527/4604
「もし日本社会がほんとうに少子化対策を求めているなら…子産み時の年齢の女性たちに、安定した正規雇用を与えることが最大の処方箋だと。そしてその働き方はワーク・ライフ・バランスがとれるようなゆとりのあるものでなければなりません。」
→ほんとそれ。そしてそういう「現実的な」キャリア教育を、遅くとも中学生から開始することが本当に必要。
社会に出てから、働き始めてしばらくしてから気づく人が多すぎる。
→でもこれは「難しい」。そもそも正社員というパイが少なくなってきてるため。
→なので個人でできることとしては「一人ダイバーシティ」。収入はシングルよりダブル、ダブルよりトリプル。つまりホリエモンのような生き方(「少なくとも3つの肩書きを持て」)だね。
私は未来の子供たちに対して何ができるだろうと思う。
自分が良ければいい、じゃなくて、後輩の女性たちにも、企業にも、日本社会にもためになるような「場」が作れないかと思う。
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男女雇用機会均等法から30年—。
確かに女性にとっての『雇用機会』は、均等になった。女性の大学進学率は増加し、男性と同じように就職戦線へ進むようになった…。
が、総合職と一般職、さらには正規社員と非正規社員…そんな組織都合の雇用機会が増えるばかり。また結婚や出産による女性に対するマイナス評価は一向になくならない。
そればかりか、かつてのような専業主婦の道は、この不景気では最も危険な選択肢と言わざるを得なくなった。
著者の言うとおり、一部の優秀な女性は総合職としてキャリアを積むことのできる機会ができ、均等法の恩恵を得たかもしれない。
しかし、大部分の女性にとっては、到底一人では生きていけない賃金で両親や夫に依存しながら生きていかざるを得ない状況が顕著になるばかり。それどころか、将来の親の介護…夫の将来…不安要素は尽きる事がない。
女性は男性のように『仕事だけ!』では生きていけない。『就活と婚活』、その後も『仕事、家庭、育児』全てをバランスよくこなさなくてはいけない。扶養されるということは、ありがたいことであるが、つまり、結局は自分は社会的弱者であると認めること。
そんな社会であるからこそ、女性として生き残っていく術をきちんと考えなくてはいけない。
差別のおかげで女たちの方が、正気で人生のバランスシートを考えることができている…という最後の言葉を信じたい。女は賢くしなやかに!
この本を、学生時代に読んでいれば良かったかと問われたら…なんとも言い難い。おそらくダメージが大きすぎて鬱になると思う…。
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残念ながら男性からすると、どれだけ女性が冷遇されているのかがよく分からない。それがどのような歴史の変遷を辿ってきたかを細かく伝えてくれる。思い返してみれば、僕が子供の頃にテレビなどで知っていた世界、それどころか小学校や中学校であっても、男性優位だったように思う。そんなことさえ気づいていなかった。
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研究のみならず政策形成や運動でもフェミニズムに関わってきた上野氏が本書で取り上げるのは、「ネオリベ改革は女に何をもたらしたのか」という、まさにフェミニズムにとっての大問題。どのようにこれまでの問題を総括し、女たちのサバイバル戦略を示してくれるのかと思ったら…読み終わった瞬間に本投げそうになりました(怒)。
長引く不況と少子化による労働力不足の中で、「女にもっと働いてほしい」という政府の思惑と、「平等に働きたい」という女性たちの要求が合致した結果、ネオリベ政府が国策として「ジェンダー平等」を推進するという状況が生まれてきた。とはいえ、この「ジェンダー平等」は、女性に機会を開きはしても、主婦付き男性を標準型とする労働慣行を変えるものではなく、女性だけに負わされたケア負担を軽減するものでもない。むしろ女性と若者を使い捨てにする労働規制緩和が進行した結果、女がまとめて差別されていた時代から、身体を壊すまで男並みに働くエリート女か、再生産労働負担から逃れられずに差別的待遇に甘んじる一般の女か、どちらにしても苦しい二択の間で女たちが引き裂かれる状況が生じてきた、というわけである。
この見取り図自体には、特に目新しさはない。社会学者としての上野氏の本領は、こうした労働市場の構造変化が、家族や若年層におよぼした影響を論じる部分にあるといえるだろう。たとえば、息子たちだけでなく娘たちも教育投資の対象になるようになったのは、母親がパート労働で得た収入によって、自分自身では実現できなかった高等教育の機会を娘のために開いてやるようになったためだという。医師や弁護士など、組織の中で男に足を引っ張られなくてもすむ職業に、というのはなかなかに興味深い。一方で娘に対する母親の高まる期待と教育投資は、就労継続による収入増期待と、不十分な高齢者ケアを補う介護期待という形での投資回収期待となって、娘たちに二重の圧力をかけることにもなっているという。
というふうに、なるほど鋭いと思わされる部分とか、幅広い社会学の論文を紹介していて、たしかに勉強になる部分はあるのだけれど、全体的に議論のしかたがあまりにランボー。たとえば二重負担に追い詰められた女子たちの間には「メンへラー」が増えている、だとか、「オス負け犬」の老後はメス負け犬より悲惨だが、彼らは否認、逃避、嗜癖、あるいは「切れる」しか選択肢がない、だとか。どんなに暴言を吐いても、その根底に「愛」があれば、そこまで悪い気はしないのだが、実のところ、彼女が若い世代に向ける視線は、「ごくろうさまね…」と書くように、とことん他人事。このような社会システムを若い世代に残していく一人としての責任感というものはないらしい。
ということを、さらにはっきり思い知らされるのが、本書の最後で若い世代の女たち向けに示されるサバイバル方法である。ここにきて突然、「百姓ライフ」とか、地域やNPOで自分を生かすのも素敵よね、って、なんだそりゃ(怒)。
企業社会で賃金労働してる女性たちには何の慰めにもならないし、百姓とかNPOの収入で、女一人で暮らしていくのは大変って、あなた知ってるはずだよね? 何より、リベラリズムとフ��ミニズムっていうテーマはもうどうでもよくなったんでしょうか。女たちが集合的にエンパワーしていくっていう道は、もう考えもしないのね。そういうご本人は東大教授で年金もばっちり出てる世代だもんな。
ここまであからさまに、「私は勝ち逃げするけど、あと若い世代は高望みせずに適当にがんばって」みたいな態度、それもフェミニストの社会学者がこういう本を書くのって、ほとんど倫理的にありえない気がするんだけど。上野千鶴子、学者としてもフェミニストとしても、もう退場してくださいって気持ちだよ。
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最後の方にサバイバル方法が書いてあるけれど
わりかし普通でした…ここまでさんざん男女雇用に対する歴史を書いてきたのに。
どっちかっていうと、小泉~安部政権を批判したかったために書いた本という印象が否めない。
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週40時間労働が子育てと両立しないのは、経験的に証明されている、とは、明確に認識にしたことがなかったことに気づいた。
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女性の労働環境に関して、1985年の男女雇用機会均等法の制定から現在に至るまでを俯瞰できる良書。
「女性は本当に戦っているんだな」と第三者的な視点で読んでいること自体が、著者に批判されそうであるが、これが素直な感想である。著者が言うことろの男の得意技である、否認、逃避、嗜癖そのものかもしれない。
第二次安部内閣が高市氏、山谷氏を登用したことにより、女性の登用が増えたと思っていたのだが、その登用した人物がフェミニストから見ればもんだいでああるらしい。
私も含めた、企業の体質を変え得る管理職の皆さんに是非読んでもらいたい。今まで無かったことにしてきたことをもう一度取り組む最後のチャンスかも知れない。
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この手の本は、熱くなるなぁ。男はどうだ、女はどうだって語るのは好きじゃないけど、社会に出ると、労働、結婚、子育てにおける男女の差がありすぎて、それを無視して語れない。これから大人になる子たちに、これから社会に出ていく子たちに、明るい展望を持って生きていてほしいけれど、この世の中で生きていくにはサバイバルが必要だ。サバイバルを前に、私はそういう熱いの好きじゃない・・・と避けてしまったり、サバイバルする人を馬鹿にしたり、無気力高校生・大学生もいる気がする。ガツガツじゃなくてもいいけど、せめて、世の中が抱える課題くらいは知っておいて、サバイバルする人を認め(無意味に邪魔せず)、自分も自分やまわりのために行動できる人が増えたらいいなと思う。私は、微力ながらこういうことを広めていきたい。
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・成功している女性は父親から「息子のように」扱われていた、が印象的。自分も「女の子だし」と娘に言わないように気をつけようと思う。
・娘にぜひ読んでほしい一冊。キャリアと育児の両立がうまくいかないのは自分のせいだけじゃない、社会のせい。そしてそう思ってる人は多いから大丈夫。
・百姓は季節で職業を変えていた。自分も正社員の仕事だけでなく他に生き甲斐や副業を見つけて、日本が泥船になった時に「日本の未来を担う」ことなんてせずに、さっさと逃げ出すべき。
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読了。団塊ジュニアの自分が過ごしてきた10代後半から、40才ぐらいがどんな時代であったか、わかった。
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男女雇用機会均等法から出版された2013 年までの上野さんの振り返り記録と思いを述べた本。日本社会自体が女性にとって不利な仕組みのなかでどう将来を生き抜くのが良いかの結論が日本や会社に頼らず生きれる力を付けて欲しい、捨てていくことができないなら現状社会を変える為の微力でも行動して欲しいというのが、そうなんだろうなっとは思うけど、希望薄いなっと感じた。勝ち負けではなくどう生きることがいいのか人生のバランスシートを考え続けるしかないんだろうな。