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よくまとまっている。
巻末付録に、オバマ大統領カイロ演説(2009,アズハル大?)があったが、(国内を意識したと思われるアメリカNo.1発言以外)、これこそ、平和を導く姿勢だと感動した。
演説原稿作成者がオバマなのかブレーンなのかわからないが、これが少しでも、アメリカの指針となることを望む。
まずアメリカから、この演説を国民にいきわたらせて欲しい。ユダヤ系もパレスティナおよびアラブ系も、その他難民を沢山抱え、そして、多くの分野で主要国である事実に変わりないのだから。
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中東紛争を根源から解決する道は、中東和平(交渉)による政治解決の道か、あるいは戦争(武力)による暴力解決の道かという二者択一しかない。
現在の中東紛争は依然とは様相が一変した。紛争の担い手が世俗的なナショナリスト勢力から宗教的なナショナリスト勢力へシフトする大きな転換期にさしかかっている。
もしホロコーストがなければイスラエル国家は生まれなかったという人がいるが、イスラエルという国家があればホロコーストは起きなかった。
アラブの自由・民主化が進めば民衆レベルでパレスチナなど被占領地の解放を求めるナショナリズムの機運が高まり、イスラエルとの紛争に根本的な変化をもたらす。
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104頁にレバノンが二重に表記されている点、
157頁の写真で「ガザ」が「ザガ」と表記されている点
などの誤植に目をつぶった上でレビューします。
「新書だから」と筆者は言っているようですが、
さすがに情報の使い方が煩雑すぎると思われる。
これではどの情報がどの資料に依拠しているのか
まったく分からない。
(最後の参考文献に章別に載せているが、どこに何の情報が用いられているのかは不明)
情報の扱いに関しては大学一回生のレポートのよう。
インタビュー記録は貴重であるだけに情報の扱い方が悔やまれる。
全体的にアラビア語・英語を駆使して
知ってるもの・手に入ったものを並べましたといった感じ。
特にインタビューをひたすら載せるあたりには
分析の意欲も感じられない。
やや細かすぎるかもしれないが、
「アルカーエダ」や「イスラム原理主義組織ハマス」「イスラム教シーア派原理主義組織ヒズボラ」などの言葉遣いに関しては、中東・イスラーム研究における最新の事情を反映しているとは思えない。
「書き方」に関する批評が主になってしまったが、
内容の方も「書き方」に比例している印象です。
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レビューではなく感想
近年のイスラエル上層部とパレスティナ上層部の意見や考えをインタビューを交えて対比させつつ、また、パレスティナの中でも穏健派のハマスと過激派のファタハの動きや政策について書かれてある。本書のテーマでもある「二国家共存」をお互い認めなければ和平はないにも関わらず、ほとんど進展がない。その原因としてのパレスティナ内部については書かれてあるが、イスラエルについてはあまり詳しく書かれていないので、今後イスラエルについての本を読む必要がある。というか最初に読む本じゃなかった。。。
また、この本は、近年中心に書かれているので、ユダヤ、イスラムの長い歴史についても勉強する必要があると思った。
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長年中東に関わってきた著者が中東の和平構想だとかプロセスの変遷について述べる。
アラファトやサルタウィといった活動家、冷戦後の中東紛争、ハマスやファタハやヒズボラなんかのパレスチナの政治力学、パレスチナ自治の現実、アラブ民主革命についてなどなど。
ちょうど執筆された時期がおれがアラブ諸国を巡ったタイミングとかで、当時読んだら多分相当面白かったと思う。今となってはわずか二年間でいろいろ変化があったので現在形で書いてる情報は古くなってしまっているが、だいぶ面白かった。
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結構前に読んだ本。読書メモがでてきたので思い出しながら&読み返しながら書いてみる。
この本で一番印象に残っているのはイサム・サルタウィの箇所である。
共存思想を生み出した人物が、いかに周りを巻き込もうとし、つぶれていったかが描かれている。
共存思想のようなものをもって、対立集団と近づこうとする人や、政治改革に大きく舵を取るってどこの国にでも結構いるけど、なかなか日の目を見ないね。
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[その長き、深き苦悩]数々のイニシアティブや交渉が重ねられながらも、未だに解決に至っていないパレスチナ・イスラエル間のいわゆる中東和平問題。故アラファト議長を記者として間近で観察した著者が、その問題の根を探るとともに、今現在、何がパレスチナの地で起きているのかをつぶさに追った作品です。著者は、時事通信社ベイルート支局などで勤務された経験を持つ森戸幸次。
特にパレスチナ側からの視点で近年の情勢がコンパクトにまとめられており、非常に勉強になる一冊です。イスラエル・パレスチナ間の問題だけではなく、パレスチナ側の内部事情まで踏み込みながら、動向の移り変わりをまとめている点が特に有意義に感じられました。著者としてもこの問題について言及したいことはあると思うのですが、客観的な事実と主張の間に明確な一線を引いて筆が運ばれている点にも好感が持てます。
知れば知るほど解決が難しくなってしまう気がするというのが中東和平問題の特徴だと思うのですが、本書で紹介される内容を見るにつけ、改めてその印象を残念ながら強く持ってしまいました。なお、執筆時点から若干の情勢の変化がありますので、その点を考慮しながら読み進めていくのが良いのではないかと思います。
〜アラファトがどうしても一線を越えることができなかったのは、彼自身の指導者としての資質や思惑などに帰すべきものではなく、これらをはるかに越えた中東紛争の歴史的、宗教的、文化的な核心に触れる、「パレスチナのタブー」に呪縛されたためではないのだろうか。〜
中東全般についての情報もあわせてまとめられていて☆5つ
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◆フィタハとハマスに分裂しているやに見えるパレスチナ。イラク崩壊後、地域大国として影響力を増すイラン。武力攻撃を止めぬイスラエル。これら関係国の思惑に絡みながら日々刻々変化するパレスチナ情勢を、冷戦後の画期を念頭において解説・分析する◆
2011年刊行。
著者は元時事通信社ベイルート特派員で、現静岡産業大学経営学部教授(国際関係・国際政治論、中東アラブ地域・紛争史)。
主に冷戦終結から、アラブの春の発生した頃までのパレスチナの政治、外交、他の国との関係、そしてそれに至る20世紀の歴史との関係性をテーマごとに叙述した書。
最近、報道機関ではパレスチナ問題を大々的に取り上げることが少なくなっている中、なぜイスラエルはガザ地区を徹底的に締め上げるのか、パレスチナ自治政府が、フィタハとハマスで強硬に対立し続けているのか。
あるいはレバノン南部で展開するヒズボラと、パレスチナ自治政府(特にハマス)との関係。さらに、ヒズボラが対イスラエル武力闘争(戦争)に勝利したこととの関連性。ヒズボラを介したシリア、そしてイランとパレスチナの関係。
これらの疑問・問題意識に即して、冷戦後、そして湾岸戦争後、さらにはクリントン政権によるオスロ合意、イラン戦争を画期に大きく変貌し続けたパレスチナ情勢を丁寧に論じていく。
またジャーナリストのキャリアを生かし、パレスチナ問題の識者、政権担当者などへのインタビューも所々挟まれていて、なかなか類を見ない書である。
印象的なのは、
➀ ヒズボラが対イスラエル戦争に勝利した。
➁ これがハマスらの武力方針に燃料を付与。
➂ イスラエル対パレスチナの戦闘が、世俗的な支配争奪戦から、宗教戦争に移行。つまり解決が利害調整という方法では難しくなっている。
➃ イラン=イラン革命の影響力の大きさ。
➄ 故アラファト率いるパレスチナ自治政府の腐敗の凄まじさ。そして湾岸戦争時にイラク支持を打ち出した結果、サウジ他のアラブ・イスラム大国の離反。その負の遺産などである。
パレスチナ側からの、90年代以降の政治・外交動向をまとめた本は少なく、また、理念ではなく、事実摘示を重視している叙述姿勢を見ても、一読の価値は十分にある。
なお、イスラエルによる対パレスチナ水資源攻撃にも言及あり。
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10年以上前なので最近の動向はもちろんフォローされていませんが、今のガザの戦争の背景を知る上で参考になりました。