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映画のせりふという「生きた言葉」を扱う字幕屋は、日本語の翻訳文もできるだけ日常に密着した自然な言葉にしたい。それで日ごろから、目を皿にし耳をダンボにして情報収集に努めているのだが、広げた網にはなんだか変なものもたくさん引っかかってくる。
この「まえがき」の一部を読んだだけでも、作者のユーモアのセンスと切り口の鋭さが伝わってくる。
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日本人の識字率が高いから字幕翻訳家もやっていけるのでしょう。
映画を見る場合は、吹き替えより字幕を選びますね。
英語を聞きながら、どのように翻訳されているか考えるのも字幕映画の醍醐味だと思います。
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あまり映画を見ない私にはへーといろいろ気づかされる面白い内容でした。
ドイツに行く前、代表映画を見るために調べてる途中で、
「ドイツでは映画はすべて吹き替え、でないと文字で画面が埋め尽くされる」
なことを読んで、それ以上考えてなかったが、
字幕の日本語も同じことだよね。
http://takoashiattack.blog8.fc2.com/blog-entry-1081.html
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字幕翻訳家の著者が字幕をめぐる悲喜こもごもを書いている。とても文章力があり楽しくよめた。全体的にはtoo muchなcostumer friendlyと日本語力、語感力の低下に警鐘をならしているようによみとれた
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映画の字幕翻訳は、普通の翻訳と大きく違う。俳優がしゃべっている時間内しか翻訳文を出せないので、セリフの内容を100パーセント伝えられない。いうなれば字幕は、「要約翻訳」なのである。映画字幕翻訳を始めて約20年、手がけた作品数は1,000本余りの著者が、外国映画翻訳の舞台裏、気になる日本語などについて綴る。
(「BOOK」データベースより)
あなたは字幕派?それとも吹き替え派?
最近は外国映画を吹き替え版で観る方が増えているというニュースをしばらく前にテレビで知って驚いた。私は断然、字幕派だからだ。その方が臨場感が伝わると思うし、映画自体の雰囲気が味わえるような気がするので。
吹き替え派の方々が言うには、字幕だと読むのが面倒になるとのこと。そうなのかぁ・・・。
外国のTVドラマだと吹き替えの声のほうが馴染んでいる場合があるので、両方楽しんだりする。「フルハウス」「フレンズ」「名探偵ポワロ」「刑事コロンボ」など。DVDを観るときは吹き替えのほうが多いかもしれない。けれど、ストーリーがわかっているので、字幕版の音声を聞きながら英語の聞き取り練習をすることも。
さて、字幕を創っていらっしゃる方が書いた本ということで、お堅い日本語批評本かと思っていた本書。読んでみると、かなり柔らかいので驚いた。帯に「爆笑御礼申し上げます。」とあるけれど、そのとおり、数カ所で爆笑してしまったほどだ。かなり軽い口調でポンポンと言いたいことを書いているという印象。字幕屋さんの苦労というか、愚痴というか、文句というか、そういうことがいろいろと・・・。ただそれが、ネガティブな感じではなく、笑い飛ばせるような雰囲気で書かれているので、読んでいて気持ちがいい(Amazonレビューを読むと、文体に好き嫌いはあるようだけれど)。
字幕を創るという作業は、映画の演出と似ているのかもしれない。その台詞の表現の仕方一つで登場人物の印象を変えてしまう可能性もある。だから、その映画自体を何度も観たり、台本を熟読したりして、映画の世界を理解しなければ、字幕を付けることはできない。ときには、その国の歴史や文化を知る必要だってある。大変な作業だなぁと改めて思う。それに、「読むのが面倒だ」という方々が増えつつある今日この頃。字幕に用いる言葉にも難易度の高いものを使うな、という要請もある様子。より短く、簡潔に、そしてできるだけ正確に。難しいよ、この作業。正確であればいいというものでもないし、原作通りであればいいということでもない。字幕には字幕のルールというものがあるわけだ。台詞一つ一つが単独で存在しているのではなく、前後のストーリーの台詞でいろんな部分をフォローし合って、成り立っている。原作通りに訳せばいいのなら、楽だろう。けれど、それじゃ字幕がメインになっちゃって、大事な映画自体を楽しめなくなってしまう。「字幕は空気のように」。それがあることを感じさせない字幕が理想なのだそうだ。
配給会社の思惑によっては、表現を変えさせられたり、削りたくない部分を削らされたり、逆に入れたくもない台詞を入れさせられたりといろいろと不満もあるようだ。その��持ちはわかるなぁ。泣ければいいってもんじゃないでしょ、というのは私もよく思う。「感動させよう、泣かせよう」というあざとさが見え隠れする映画は、好きではない。映像を見て、そこから何を酌み取るかは人それぞれであるし、それを強要されたくはない(強要されもしないけれど)。
最近は、映画館に行くと、人気のある外国映画には必ずと言っていいほど「字幕版」と「吹き替え版」がある。「吹き替え版」は子供用というわけでもないのは前述したとおり。そのうち「字幕版」が無くなってしまわないかと、私も不安になる。本当は言語そのものを理解できればいいのだろうけれど、それを達成するまで映画が楽しめないとなると、それもまた非常に困る。永遠に邦画以外は楽しめない、ということにもなりそうだ。「字幕版」よ、消えないで!と心から祈る。
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自分の仕事を愛し、憂い、磨いている作者のまっすぐな姿勢に
共感しました。日本語って一文字の違いで意味の捉え方が数種類に別れてしまう。複雑というか、使い方によっては高度な技術になるというか、難しい言語なんだなと考えさせられました。
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もしあなたが翻訳(特に映像関連)に興味があるのであれば
ぜひ読んで欲しい本。
翻訳家のエッセイにありがちな単なる自慢話にならず、
たんたんと筆者が経験した翻訳上のよもやま(+苦労)話を
分かりやすく書いてあるので、とても勉強になるし共感できる。
翻訳自体に興味がなくても、吹き替えや字幕と言語の違いに
疑問を持ったことがある人も、文句を言う前にぜひ一読して欲しい。
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「字幕屋」と聞いて、映画のセリフを「翻訳」する仕事を想像していたけど、
実際は映画のエヅラに合わせた表現や文字数を考えないといけない。
そんな独特の制限の中で働く「字幕屋」の愚痴を面白おかしく、
そして現代日本語の特性を映画字幕に関連付けて述べている。
普段字幕は「映画を観る助け」としか見ていないが、
たまには「字幕を観に行く」のもいいかもしれない、と思った。
(字幕屋の人にとって、それが良い事かどうかはわからないけど)
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さすが字幕作成を業にしているだけあって、流れるような文体かつここぞというところでのナイスな落ちに感服。また日本語論としても快哉をあげた。
・キリスト教徒のアラブ人も神のことを『アラー』という
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映画の字幕技術も、日本は突出しているらしい。数秒の間で読みとれ、かつオリジナルの意味を損なわないように表現される字幕は、たしかにすごいと思う。1秒4文字までだそうですよ、文字数。
びっくりしたのが、字幕翻訳の納期がかなり短いらしいこと。1週間ならいい方で、時には3~4日で納品してしまうこともあるのだとか。すごすぎ! そして、観客の日本語読解能力の衰えをひしひしと感じているというくだりも、「やっぱりそうなのか…」と共感してしまったのだった。
わたしは吹き替えよりは字幕の方が好きなんだけど……今、吹き替えの数が急増しているようなので、もしかして近い将来、字幕の方が珍しい存在になってしまうかもしれない。吹き替えもねぇ……安易に売れっ子タレントが起用されて、どうもデキがイマイチだと、金を返せって思っちゃうんだよなぁ……。やっぱり字幕は存続の方向で!
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とても読みやすい本でした。読みながら反省したり「そうそう」って同意したりしながら読みました。字幕の世界の話もおもしろかったです。字幕派ですが田舎のシネコンは最近吹き替えしかこない映画が時どきあるんです。その事情もしりました。字幕がなくなって欲しくないです。
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日本語の乱れについてのくだりが読ませるけれど、一番傑作だったのが、あるセリフをめぐって、感動路線で売りたい配給会社の担当と、「それってやりすぎでは」と思う翻訳者との攻防。今は題名を出すと、カドが立ちそうだけど、将来、ぜひ何の作品なのか知りたいと思いました。
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タイトルのセンスが「どうなの…?」と思ったけど、内容は、字幕をつける人の苦労がよくわかって、興味深かった。
確かに、字幕は要約。それを感じるようになってから、私は特に海外ドラマなんかを見るときは、吹き替えの方を選択してみるようになった。
なんとなく、吹き替えの方が本当のセリフに忠実に訳されてるような気がしたから。
まあ、その他にも吹き替えの方が編み物とか、他のことをしながら見てられる…ということもあるんですけどね。
字幕屋さんもいろいろ大変なのだなぁ。
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面白かった!このオオタさん自分で言って、自分でツッ込み、大変ノリがいい。字幕作りに興味がある人、映画が好きな人にはもちろんのこと、言葉とはなんぞやと思っている人にもぜひお勧めしたい。本の中からちょっとだけ紹介。例えば、こんな字幕制限を課されたらどう短縮すればいいか。むっつり黙りこむ女に、男が問いかけるシーン。男「どうしたんだ」→5文字以内女「あなたが私を落ち込ませてるのよ」→5文字以内男「僕が君に何かしたか」→5文字以内さて、あなたならどうする?私もいろいろ考えてみたけど、難しい。本では解説の後に、こんな字幕が出来上がると紹介。男「不機嫌だな」女「おかげでね」男「僕のせい?」苦肉の策だと著者はおっしゃっているが、いや、すごい。
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私は字幕派です。こんなに苦労して作っているんだ。そしてその理想は字幕だったと記憶に留めないこと・・・。俳優の声が聞きたいから、字幕版がなくなりませんように。