美しき姉妹を相手にむなしい独り相撲
2012/08/19 19:58
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投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
源氏が「雲隠」してから物語は第2部の宇治十帖に入り、薫が美しき姉妹を相手にむなしい独り相撲を取る。
薫の推挽でたちまち妹の中君をものにした匂宮とは正反対に、薫中将はなにごとにつけてもぐずぐず考え込み、慎重で積極的に行動せず、常に大魚を逃している。こういう人は今も昔も世間には大勢いて、他ならぬ私もその一人(笑)だが、こういう小説の中で読まされるとじつにいらいらする。
恋焦がれる大君を喪ったあとで、アホ馬鹿な薫がひとりごちたように、うまく立ちまわりさえすれば、彼は宇治の陋屋に隠れ棲む身寄りのない姉妹を二人ともおのが手中に収め、大君を死なせずにすんだはずだが、そういう駄目さ加減がこの悲劇の主人公の持ち味であり、著者の紫式部が絶妙に仕組んだ現代的な役どころであった。
同じようにいやらしい匂いを周囲に撒き散らすライヴァルの二人ではあるが、女を肉欲の対象とせず、まずは一人の人間とみなす立場を終始堅持している点で、アホ馬鹿薫は肉食ノータリン男の匂宮を頭ふたつ程抜いていると考えられる。
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ついに宇治十帖に入りました!八巻では匂兵部卿、紅梅、竹河、橋姫、椎本、総角が収録されています。
そこで気になることが一点。
七巻の終わりが幻で、八巻のはじまりが紅梅なので、間の、タイトルだけあるはずの雲隠についてはリンボウ源氏では一切省略されてました。
タイトルだけ載せればいいのにわざわざ省略した理由はなんなんだろう?
意図が知りたい。
さて、本文についてですが元々宇治十帖の方は読み込みが足りなくてお粗末な予備知識しかないので、メインストーリーである椎本総角あたりよりも、竹河のようなサイドストーリーを特に丁寧に読んでみました。
竹河は主に玉鬘の苦悩が描かれた章ですが、とにかく印象的なのは冷泉院。
本編では源氏の子という真相を知り苦悩したり、子宝に恵まれなかったり、 若くして院になったりと、陰がある、けれどセンスがよくて控えめな帝、という印象でした。
が、ここで出てくる冷泉院は、ひがみっぽくて強引でいつまでも根に持つ根暗なエロジジイ・・・
変わり果てた姿に唖然としました。ショック。。
まあまわりからも「院なんてすでに隠居の身でしょ、おべっか使っても意味ないじゃん」という発言が多く(この露骨さにもびっくり)、こんな境遇なら仕方ないのかな、と同情の余地はありましたけどね。
それと、薫の「香り」について。
今まで私は、単純に生まれつき体臭がとてもよい香り、というくらいにしか捉えてなかったのだけど、「百歩の彼方まで匂い来る」はまだいいとして、「(植物を)薫が手折った瞬間ぐんと香りが立ちまさる」と言う記述まであり、もう人間とは思えない・・・
こりゃ生き辛いわ。びっくりした。
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第二部。
始めは義務感から女のもとに通い「私には下心などありません。」「あなたのことを友に託され、その約束を果たしているのです。」「寄る辺のない人を見捨てるわけにはいきません。」...といった姿勢をアピールして少しずつ信頼を得た男が、いつの間にか恋心を抱いて「せめてお話だけでも」とアタック。
女「なんて厭らしいこと...」
あんまりな展開(^^;
娘の縁組に際して
A:今をときめく帝。ただしれっきとした正妻があるので地位はナンバー2。
B:すでに引退した院。そのかわりナンバー1。
の二択を突きつけられ、悩んだ末に選択した結果が思わしくなかったので周囲から責められる玉鬘が(´・ω・`)。
美女であろうと王子であろうと男女の縁のような定めなきものについては運命に逆らえないところは千年前から変わっていない。
「前世の縁がなかった」「煩わしい俗世間を捨てて出家したい」
日本人は無宗教だと言われるが、心の拠りどころとしての宗教はこの時代、確かに存在していたのではないだろうか。それが日々の暮らしを心配する必要のない貴族だけのものだったにしても。
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源氏亡き後の恋愛事情を見ていると、夕霧も薫も意中の人とうまくいきません。まだるっこしい程です。容姿も身分も申し分ありませんが、それは決め手にならないようです。光源氏の振る舞いが洗練していて、卓越していたことに気づかされました。
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光源氏の女性関係のスマートさに読み慣れててるこの段階で宇治十帖を読み勧めていくと薫と匂宮のまどろっこしさ、不器用さが目につく。
大君・中君・薫・匂宮に人間関係が絞られているから読みやすいといえば読みやすい。
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https://opac.lib.hiroshima-u.ac.jp/webopac/BB01975440