紙の本
これは少々考えねば
2014/01/01 14:10
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:月 光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潮文庫ってのは元来時代小説は山本周五郎くらいなもんだったのよ。それが、
宮本武蔵・黒田如水
三国志
ここへ来て本格的に吉川英治歴史小説の文庫出版に力を入れてきた。なんと、二月あたりからは、
新・平家物語
が新潮文庫の軍門へ・・・・。こうなってくると売れる、売ることにかけては講談社なんか問題にならい 、文芸出版の超老舗・新潮社。どこまで吉川文庫を出版し続けるか。まあこうも露骨にくると、
野間省伸(講談社社長)VS佐藤隆信(新潮社社長)
のお二人のまさに小説をじでいく巌流島決戦。サアサア、どちらが武蔵で小次郎か
そして結果は、まさに風雲急を告げる宿命の対決の時が・・・・・
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大河ドラマ化されるとの事でやたらと見かけますが、歴史小説と言えば、という事で吉川英治氏の作品に手を伸ばしました。
昭和18年の作品とな。
そう感じさせない作品に驚きつつ、黒田如水の壮絶な生涯に感銘を受けました。
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永遠の№2と呼ばれる黒田如水が主人公の物語。登場人物一人一人の心情が細かく描かれており、楽しく読めた。秀吉の如水への信頼感や、人間味あふれる信長の行動と後悔がとっても楽しかった。ただ、如水が秀吉と出逢う所から荒木村重に幽閉され、解放されるまでしか描かれていないのがとっても残念だった。もっと吉川先生の文章で読みたかった。本能寺の変や中国大返しなど面白そうな話題がいっぱいあるのに。
「三人寄れば文殊の智というが、それは少なくとも一と一とが寄った場合のことで、零と零との会合は百人集まっても零に過ぎない。時代の行くての見えない眼ばかりがたとえ千人寄ってみたところで次の時代を見とおすことは出来ないが、評議となって列座すれば、誰ひとりとして、(それがしは、めくらである)と、いう顔はしていない。そのくせ信念もなければ格別の達見も持ってはいないので、ただ自己をつくろうに詭弁と口舌の才を以てすることになる。従って、評議は物々しくばかりなって、徒らに縺れ、徒らに横道に入り、またいたずらに末梢的にのみ走って、結局、何回評議をかさねても、衆から一の真も生まれず、そしていつまでも埒はあかないという所に陥ちてしまうのだった。」(8ページ)
この文章は、今の日本の政治家・議会に向けて描かれたものではないか、と思ってしまうぐらい政治における真実を描き出している一節だと思った。国づくりにおいても、戦国時代における身の処遇においても、未来を見据え、決断し、それを実行する事が大切なのであろう。
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戦国武将の物語を読むときに思うのは、決して武将の武勇伝=戦争賛美ではないということに気を付けないと読み方を誤ってしまう。
物語は、戦国時代という自らの力の及ばない歴史の激動に巻き込まれた人間の苦悩であるはずだ。
だからこそ時代を過ごした人々の運命の変転の中で、どのように生きていけばいいのか・・・という問いかけを、物語の中に見つけなければ著者のの作品にかける思いというものが伝わらなくなってしまい、単なる戦記物に終わってしまうように思う。
物騒な世の中ではあるが、何とか窓の外に藤の花が見える時代が来ればいいのにと感じました。
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官兵衛が幽閉されていた頃の話がメインだった。期待していたのは、官兵衛の智略や戦略を生かし秀吉に貢献したところだった。そういう点では、やや退屈なストーリーだった。
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黒田如水 吉川英治著
昭和18年の作品で改版されてます。※70年以上前の作品
勘兵衛、秀吉、竹中半兵衛と出逢うシーン
夏の夜はみじかい。殊に、巡り合ったような男児と男児とが、心を割って、理想を談じ、現実を直視し、このときに生まれ合わせた歓びを語りあいなどすれば、夜を徹しても興は尽きまい
ここからの友情、裏切り、武士の生き様と、戦国の世の無情さと。
何となく、ベンチャー界隈の武将の方々にオススメです!
さすがに言い回しが古いなと感じますが、清張氏とは違った面白さです。
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ミーハーな理由で読了。黒田官兵衛の忠心を世に示す美談を描く。
ちなみに官兵衛がまだ30代だから「如水」になって無い時代のお話。
これを起点にもう何冊か読もうと思います。
内容的にはちょっと演出が臭い感じがしますが、戦国時代の主従関係は案外こんなふうにベタベタだったのかもなぁとおもいます。
最近は腐女子という言葉が一般的にもなったせいか、そういう風にも見えるようになってしまいました。
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古臭さを感じさせない文体、さすが吉川英治だと思った。
最近流行の黒田官兵衛が黒田如水になる前の話。伊丹城での幽閉から救出がメインだった。愚直なまでに誠実、話せば何とかなるという胆力は読んでいても清々しい。参謀としての活躍よりも、参謀までの道のりが描かれている。本作を初めとし、様々な黒田官兵衛が書かれている著作を読むのには良いのかもしれない。
荒木村重を描いた、遠藤周作の「反逆」も併せて読みたい。
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読み終えて、表紙の絵を見るに付け、装丁が物語を大いに語っていることに気づきました。
初の吉川英治作品。この方の作品はどうも男性、しかもちょっと人生の浮き沈みを経験した年代が読むというイメージがありまして、大丈夫かな?読めるかな?と手に取りました。
大河ドラマにならなかったらきっと手に取らなかったと思いますので、ありがとうNHKさん…です。
軍師としての真骨頂が発揮されるのは、この小説が描いた時期の後のことなのかな。
司馬遼太郎さんの播磨灘物語で更に黒田官兵衛情報を広げたいと計画中。
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何か腑に落ちん。救出劇に活躍した女がその後処刑され死んでしまうとか、創作部分かと思われるところでイマイチ腑に落ちん。
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信長を裏切った荒木村重の居城、伊丹城に幽閉された事件を中心に描かれている。戦乱の状況下で獄窓に這う藤の花がやさしい。14.2.15
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大河ドラマが始まる前に購入。
ドラマが始まってから読み始める。
平行して読み進めようかと思ったが、
あまりにも読みやすくてドラマより先に読了。
個人的には前半の方がスピード感もあって
読み応えがあった気がする。
主君のために、
だれかのために、
忠義を尽くせる人の
その心の強さと、潔さと、清らかさは
どこからやってくるのだろう。
そこまで付き従わせる主君たる人の
魅力はどこからくるのだろう。
現代に命をかけた主従関係は持ち込めないけれど、
「この人のために」
と思える人に
生涯出会える人もいれば
「なんで私が」
と思いながら働き続けることもあるのだろう。
竹中重治の言葉が今は響いた。
「百年生きても遭い難き名主にお会いし、
ただ長寿だけしても得難い良友を持ち、
更には、またなき時世に生を得て、
すでに三十六歳まで生きたのですから、
天にたいして不足を思う筋合もありませぬ。」
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大河ドラマもあって、誰の官兵衛を読もうかと思いましたが、やはり、吉川英治かと思い手に取りました。期待を裏切らず、面白くどんどん読み進められました。先を見通す先見の明、裏切られる事の日常の世の中で、それでも仁を貫く官兵衛に心の強さ、深さ、広さをほんの少しばかり分けていただいた気がしました。
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大河ドラマの『黒田官平衛』はたまにみる程度なので、毎回見てるツレにちょこちょこ質問しながら読みました。時代物は苦手な方ですが、かなり楽しめました。なによりもすごく読みやすい。
ドラマとは異なる部分が多々あり、小寺政職が「頼りないけど根はいい人」っぽいのがなんか。宗円だけは最初から最後まで柴田恭平で脳内再生されました。ドラマ見てる人は読んでみると面白いかも~
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黒田官兵衛(1546~1604)の半生。
以下、本書より葉室麟氏による巻末の解説。
私は中学三年の時に左足の膝を悪くして入院し、そのまま受験して高校入試は合格したものの出席日数が足らず、一年間、休学した。
同級生から取り残され、復学してからも武道の実技はできず、その時間は武道具庫で面や小手、胴などの整理をして過ごした。
汗臭く薄暗い武道具庫で板敷の床に座って、小さな窓から差し込む日差しを眺めた。
思春期特有の孤独感や前途への不安が胸にあった。
その頃、『黒田如水』を読んだ。
窓から藤の花が見えた訳ではない。
しかし、いつか自分も官兵衛のように藤の花を見る事があるのではないか、という思いはあった。
だから、四十数年前の文庫本を今も持っているのだろう。
人生での躓きを感じた読者は、官兵衛が藤の花に託した祈りを胸深く感じ取るのではないだろうか。
葉室麟氏は2012年に『蜩ノ記』で直木賞を受賞。
2017年に亡くなっている。