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福島県による県民健康管理調査を追った毎日新聞記者による労作。
秘密裏に行われる会議の存在、あらかじめ作られた会議の進行表、都合の悪い発言の議事録からの削除…犯罪的としか思えない所業の数々。彼らはどちらを向き、何を守ろうとしたのだろう。まさに、闇。
こういう丁寧な調査報道もあるから、ひとくくりにマスゴミなどと言う言い方は好きではない。同じく、自分も使った事はあるが御用学者という呼び方も。
健康調査の検討委員会座長を務めた、元福島県立医大の山下副学長への貴重なインタビューも掲載。
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行政が自らの保身や組織の維持のために様々な隠蔽を重ねる姿が描き出され、これから何年も続くであろう健康管理調査の目的をあらためて考えてしまう。
3.11以来、大手マスコミの信用も地に落ちた感があるが、骨太の取材により「第4の権力」として機能しようとしているジャーナリストが今でもいることに、救われる思い。
そういえば沖縄返還にまつわる日米密約を暴いた西山記者も毎日新聞だったけ。
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クズ本
闇に立ち向かうのであれば,マスコミのどうしようもない闇にもならない,クズさかげんを取材して明らかにしてほしい。
2013/10/12図書館から借用:10/15読了
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福島県県民健康調査の検討委員会における事前協議、つまり秘密会のスクープ記事を書いた筆者の取材舞台裏と、調査のあり方に疑問を呈している。
これは安心のための調査が、不安、そして不信になっていく舞台裏でもある。いや、そもそも原案では「(放射線量の推定評価を行い)安全であるかどうかを確認」した上で「不安の解消」が目的であったのに、前者が抜けてスタートした時点で、不信を生み出していたのであろう。
検討委員会の配信映像を見ながら、納得いかないことも多くあったので、「あーーあのときの、あれか。やはりシナリオがあったんだな」と思い当たることも。
専門家たちが比較的前向きであった尿検査をやらないと主導したのは県であったことなど、どう考えても県側のスタンスは「面倒くさい」のか、「一日も早く大丈夫だということをアピールしたい」のか、彼らはどこを見て県政を担っているのか、疑問だらけである。
完全に職務怠慢であるし、県民に対する背信行為に思えるのだが。
巻末に検討委員会とオブザーバーの一覧が掲載されている。これを眺めていると、45名のうち女性はたった2名。甲状腺がんは子供を対象にした検査だというのに、これでは検討委員会に多くの母親の悲痛な叫びが想像できるはずもなかろう、と思った。
ネットが発達したこの時代、調査報道をきちんとしてくれることが既存マスコミの存在意義だとも感じた。
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行政がからむ話で胸の悪くなるようなことは五万とありますが、これも例外にもれず・・・・・。
それにしても、著者は一新聞記者だろうか。
信念に燃えて、報道していることに好感が持てる。
まだまだマスコミも捨てたもんじゃないな・・・・とも思う。
それにしても、それにしても、懲りないというか、反省しないというか、行政には困ったものだ。
どうして「無きものにしてしまおう」とか「できるだけ騒がしくないようにしよう」とか、余計な配慮ばっかりするんだろう。
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”取材を重ねる中で、よく想像したことがある。10年後か20年後か分からないが、甲状腺がんに限らず、健康被害を訴える人々がでたときにどうなるだろうかと。
そうならないのが一番良い。しかし、万が一、そのような状況になったとき、国や福島県はこの県民健康管理調査の結果を使って、「被曝との因果関係はない」と反論するのではあるまいか。そのとき、この県民健康管理調査がなんだったのか、調査内容がどう決まり、どこまで信頼できるものかが問われることになる。”
エピローグに記された言葉に、記者の一連の”秘密会”取材にかける意気込みを感じる。”秘密会”を必要とした県民健康管理調査検討委員会が何を守ろうとし結果として何を犠牲にしているのか。”科学的””客観的”であるとは何か、専門家の役割とは何かについても考えさせられる。多くの人に読んで欲しい。
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この本が世に出たことを驚く。毎日新聞記者で、福島県民健康管理調査が、直前の秘密会議で周到に打ち合わせされた振付の上で踊っているだけだという事実を報道した日野行介氏の手記。
長崎大から福島医大副学長になった山下俊一はじめ、県民の命より国の政策、原子力発電とその事業者を優先させた福島県職員、議会、知事。
もし、まだ彼らが福島県民のために働くというのであれば、この書籍にかかれた告発状に正面から応え、不信感を払拭すべきだと思う。
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秘密会のリークから山下教授の退任までの功績はたたえる必要がある。
感想として、
①山下教授は福島に来て以来非難の嵐なのに、何故あえて福島県立医大の副学長になってしまったのだろう?
②甲状腺がんと原発の因果関係はおそらく統計学で処理できる。(原発が安全と言っていたのも統計学を利用しているはずで、この因果関係を否定するなら、論理矛盾となるはず)
③チェルノブイリのデータを、医療では原発の安全性にむずびつけ様とする国の風潮があるが、それと真っ向から反する”チェルノブイリ原発事故がもたらしたこれだけの人体被害: 科学的データは何を示している”という本もある。
④この秘密会議は、特定秘密保護法と共通する点が多い。
今後は、
①この秘密会は誰が主導指導していたのか?恐らく政治家だろうが、なぜ福島県庁職員はそれに加担してしまったのだろうか?
②そして、健康管理調査を通して報告された結果と異なる見識を持った研究者たちがわんさかいるわけで、次回はこれらを扱った連作に期待したい。
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知っておかなければならないと思い、手にしました。
読んでみて感じたこと。
ひどい。嘘をついてごまかして本当のことは言わないで、市民をばかにしている。人の心が無いんだろうか。隠し通そうとした闇を暴き、こうして伝えてもらえたことに感謝します。
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福島原発事故の健康被害を調査するため福島県が実施している「県民健康管理調査」。住民が最も関心を寄せているデータにもかかわらず、無用な混乱を回避するという美名の下、長きにわたり隠蔽が繰り返された。存在を隠し続けてきた秘密会や準備会、あらかじめ作成された会議シナリオ、議事録の改竄など、忌々しき事実が次々と明らかにされていく。行政機関とは一体誰のためにあるべきなのか。著者は厳しく問い直している。
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福島原発事故 県民健康管理調査の闇 読んで暗澹たる気分になった。秘密会議をやっていたというニュースは見ていたが、ここまで悪質だったとは。甲状腺がんは100万人に1人と言っていたのに、33人出てる。ほんと悲しい、悔しい http://t.co/KnytjnSepI
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2011年の311以降、福島県や国の原子力に対する対応を見るにつけ、政治家というものに侮蔑しかわかなくなった人も多いと思います。
本書は、福島県で設立された県民健康調査委員会の呆れ果てた実態の数々を公式資料と独自の取材で暴いています。
県民へ何を公開するのかという情報操作が、「県民の不安を解消するため」というリスクコミュニケーションのお題目の上で秘密裏に会議されていた実態。
そこに見えるのは、県民流出を防ぐため、放射線被害をなるべく最低限に見積もる、という県の政治的思惑。
その結果、住民の「不安を解消する」どころか、「なにが真実かわからない」とう不安、怒りをただいたずらに増長させるだけになりました。
そのような事態になったにも関わらず、記者会見は紋切り型で短時間、情報操作をしていたことについては「誤解をまねきかねない行動」の一言で済ませて認めようとせず、被曝量の基準も改めようとしない。
僕は原発反対の立場です。しかし、ここで問われているのは原発の必要の有無ではなく、情報操作を可能にし、住民の声に耳を傾けようとしない閉鎖的な政治システムの必要性の有無です。
これから暮らしていく日本をどのようにしていくか。反面教師として福島県議会は充分やってくれたと思います。もう後進にまかせて休んでください。
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カテゴリ:図書館企画展示
2016年度第9回図書館企画展示
「災害を識る」
展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。
開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金)
開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース
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県民健康管理調査の秘密会議について焦点を当てたメディアの取材手法に重きを置いた書。◆産・官が情報を隠すという背景を再確認するための情報。