紙の本
残された証し
2009/12/31 14:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
プルーデンスは、彼女を愛してくれた祖母がこの世を去り、神々に対する快復の祈りも通じなかったことから、自分に対する人々の愛も、世界に対する神々の愛も信じられなくなってしまう。
しかし、弔いのために祖母の生地を訪ねたプルーデンスは、祖母の残した護符が秘密の迷宮を解く鍵であることを知り、祖母の愛したものを護るために、初めて出会った吟遊詩人と共に、謎に挑む。ところが様々な権力者の政治的思惑が絡み、そして吟遊詩人の持つ秘密も合わさり、トラブルが発生してしまう。
星形の庭とは正五角形の庭のことで、正五角形の対角線が星形になることを意味しているのだろう。タイトルは武満徹の管弦楽曲から取ったらしい。パズル自体を読者が解ける訳ではないので、そういった部分を期待する向きにはおすすめしない。
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良作ファンタジー!!
どこが良いって、「オリジナル」であるところだ。
どこも、誰かの影響を受けている気がしない、二次創作な臭いがない。
今どき、こういう「オリジナル」な新作に巡り会うのはなかなか無いことである。
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視点の荒さが少し気になったけど、主人公の凛然とした立ち振る舞いが気に入ったので購入ー。
詩人の別世界の人っぷりも一貫してて良かった。
作者さんが「数学はファンタジー」的なことをあとがきで書いていましたが、激しく同意します。
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す、好き!
この、安易にヨーロッパっぽくない、ちょっとギリシャみたいな舞台を描いてくれたことがすごく良かったと思う。作品の雰囲気にこの舞台以外あり得ないと思わせられる。古代の神々の伝承が息づく世界と、パズル、黄金比、数学の非常に実学的な要素の絡ませ方も上手。そしてヒロインがすごくかわいらしいお嬢さん。明晰でちょっとひねくれていてまだまだ子どもで。終幕後どんな風に成長していくのか見たかった。
こんなに上手な作家さんなのにどうしてこれ以後はあまり書いていらっしゃらないんだろう…。ネット上で別作の続編? を執筆しているようではあるけども。
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ジャケ買いだったけど良かった本。
文章も読みやすいし、雰囲気が透明で控えめで好き。
新人さんなのかー 今後に期待!
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聡明な貴族の娘は、亡くなった祖母の遺品を家族と共に
嫁ぎ先の『家』へと運んだのだ先で、驚きべき事に直面する。
いい人そうなのが案外…というよりも
周囲がほぼ敵というのもいかがなものか。
人畜無害そうなのはいますが、面倒そう。
というより、母親。
ものすごく『貴族』という感じがします。
家族という感じがしない、というのもありますが。
これに家族愛を求めるのはどうかと…。
どう考えても『大人』ではありませんし。
この時期の子供にしては、かなりの冒険。
よく成し遂げました、というのはありますが
この後…どうするのでしょう?w
非現実、の後は、確実なる現実、です。
これだけ外が騒がしければ、確実にいなくなった事がばれますし。
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・読了時新人
・にしてはすごく文章がしっかりしててびっくりした
・ホワイトハートはライトノベルなのか…?この人とか小野不由美氏は違う…?
・主人公のプルーデンスが年のわりに知的で良い
・詩人さんなんかエロい?
・背景がわりと普通に作ってある分読み辛いところも
・謎解き面白いけど読者も解けるわけじゃないからちょっと残念
何故星5つなのかと言いますと、個人的にものすごいヒット作だったからです。
これはライトノベルに収まって欲しくありません。もっと読まれて欲しい。
話自体は地味ですが、良作です。安心して読める。
今後も本を出してくれることを願います。
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舞台は地中海風架空世界。霊鳥の伝説が残る神秘の塔にあるという迷宮をめぐる王家の陰謀に巻き込まれた少女プルーデンスが、謎めいた吟遊詩人とともに迷宮の不思議に挑み、成長するようすを描いたファンタシイ。
小柄な外見にそぐわず大人びて理屈っぽい主人公プルーデンスが愛らしい。プルーデンスは女の子らしくないと言われて家族に疎まれていますが、この子の頑なさはすごく少女らしいと思う。それが少しずつほぐれていく過程を描いたこの小説は、非常にまっとうな成長譚ですね。蒼い衣の吟遊詩人の、飄々として色っぽく、どこか悲しげなたたずまいもとても魅力的。
神秘的な事柄の描き方がなんとも理知的でよかったです。「時」を「数」と結びつけるところとか。このお話で大きな役割を果たすのは風の神である霊鳥ナサイアでしたけれど、時の神のお話も読んでみたい。でもこのお話はコンパクトにまとまっているところが美点なので、余計なものはいらないのだとも思います。幕切れも、すごくきれいでした。海と風のある、未来に向かって開けた風景。
あと、個人的なことですが、ませた女の子ととぼけた青年の組み合わせ(しかも呼び方が「おまえ」と「あなた」)というところがツボを直撃していたので読んでいてとっても幸せでした…。
ところで作者さんが意識していたかどうか知りませんが、プルーデンスという名は「用心深さ、慎重さ、分別」などを表す普通名詞prudenceに由来していて英語圏ではわりと普通に使われます。わたしが真っ先に思い出したのはチョーサー『カンタベリ物語』所収「メリベウスの話」の賢夫人プルーデンスだったので、このお話のプルーデンスとは違ったタイプですが、ぴったりの名前ですね。
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ファンタジーとしての舞台背景と詩人は普通だが
主人公の少女小説的部分は要を押さえていて
冒険ものとしての全体構成も良い感じ
文の端々に甘いところがあるのできっちりつめればなお良しだが
あまりテンプレから外れたところへ行けない作風にみえる
ファンタジーより少女小説的な部分を
コメディ方向に伸ばすと良いのではなかろうか
あとすごく主観的なことだがこの筆名はどうかと思う