投稿元:
レビューを見る
新しい趣向をいろいろと思いつく人だなあ、熊谷さんは。
これは新しかった。
すこし講談調なのかなんなのか、ユーモアをまじえた語り口に熊谷さんの工夫が感じられたが、新しいのは、サンカが登場すること。
これまで、マタギや蝦夷を描いてきた熊谷さんだから、「お、今度はサンカか!」と期待するも・・・。
漂泊の民を主人公に描いたわけではない。
主人公は、秋田の箕作り屋さん。
東北では、箕直しをやって糊口をしのぐサンカ像、というのはないのだそうだ。
むしろ、技術のある職人さんとして一目置かれている。
そんな箕作り職人が関東にやってきて・・・。
こういうテーマをユーモアのある語り口でテンポ良く小説に仕立て上げた。
なるほどー、こういう手もあったか、と思った。
投稿元:
レビューを見る
らしい題材なんだけれど、よりエンタメ色が濃いのに戸惑いを感じる。傑作「邂逅の森」を超える作品を読みたいが、この人は何処へ行ってしまうのであろうか。
投稿元:
レビューを見る
デビュー当時の熊谷達也さんのキーワードは「東北」と「自然・動物」。重厚で緊迫感がある物語でした。しかし、その後は色々な方面に手を出していますね。全てが成功しているとは言えませんが。
この作品は、部落問題という背景(そういえば「七夕しぐれ」でも扱っていました)はありますが、軽妙な作品です。大正末期を舞台にしていますが、どこか時代小説の雰囲気もあります。
主人公の若者・弥平の成長物語であり、友情の物語であり、淡い恋の物語でもあります。後にはあまり残らないけれど、読んでいて楽しい、そんな話です。
ただ、終わり方は中途半端。続編を出すのかなぁ。