紙の本
心理調査官が大活躍する傑作
2015/03/12 22:24
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は今野敏の警察小説であるが、碓氷警部補が登場するシリーズの第4作目である。最新の第5作目である『ペトロ』を読んだところ、面白かったので遡って読むことにした。エチュードは音楽の世界では練習曲というほどの意味である。それがストーリーとどう関係するのかは読んでのお楽しみである。ただ何となく付けたタイトルではない。
東京の繁華街で殺人事件が勃発する。もちろん、場所柄、人が溢れているところなので、所謂通り魔事件といっても良い。犯人は駆け付けた警察官数名に取り押さえられ、現行犯逮捕された。無事事件解決と思っていたが、主人公の碓氷警部補は何となくピンとこない。それは管理官、捜査一課長も同じである。
碓氷警部補の出番である。こういうときに本領を発揮する。並の捜査員とは違うのである。今回は警察庁から心理調査官が応援に来てくれた。この調査官は女性で、しかも美人ときている。捜査一課長は碓氷警部補の相棒にこの女性調査官を指名した。調査官は心理学を学んできたが、実際の捜査に携わるのは初めてである。
当初は碓氷も戸惑い、扱いかねていたが、調査官は徐々に本領を発揮してくる。この辺の調査官に対する碓氷の変わりつつ印象と頃合が実に見事に描かれている。同一犯人が連続して盛り場で通り魔殺人を実行しているが、手口が掴めない。
しかし、その手口については調査官が「手品」のように、人間心理をうまくついて殺人を犯し、逃走したという。どこかで読んだことのあるストーリーだと気付く人はミステリーマニアではないか。そう、ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム・シリーズの中に、その名も『魔術師(イリュージョニスト)』として登場したテーマとかなり似ているのである。
人間の気を逸らせて、注意を別のものに向けさせ、その隙に人前であっても堂々と虚像を見せつけ、大勢の人々を騙してしまう。手品師や魔術師のやることである。今野がどこからヒントを得たのか分からないが、なかなかに興味深いテーマではないか。しかも、心理調査官はこれを理解させるために捜査本部の全員を相手に、実験を試みている。
面白い。ディーヴァーは魔術師で登場したアドバイザーの他州警察の刑事をスピンアウトして『キャサリン・ダンス』シリーズを発表している。ただし、この別小説の続編は心理に関するテーマがあまりにも希薄で失敗したと考える。本編もこの心理調査官を別のシリーズで登場させても面白い。しかし、今野にそんな暇があるとは思えないので、叶わぬ期待かもしれない。
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今野敏氏の大人気「碓氷弘一シリーズ」の傑作です!
2020/08/02 12:34
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『怪物が街にやってくる』、『隠蔽捜査』、『果断隠蔽捜査2』などの作品で知られ、警察、サスペンス、アクション、伝奇、SF小説といった幅広い分野の著作を発表し続けておられる今野敏氏の作品です。同書の内容は、渋谷・新宿で発生した連続通り魔殺人事件をテーマとして物語が進行します。なぜか誤認逮捕が繰り返される事態を解明すべく警察庁から送り込まれたのは、心理調査官・藤森紗英でした。苦手な美人と組まされる羽目になった碓氷警部補は戸惑うのですが、紗英の助言によって、巧妙な「犯人すり替え」のトリックが潜んでいることが判明してきます。はたしてこの異色コンビは真犯人を探し出し、惨事を食い止めることができるのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。同書は、人気の「碓氷弘一シリーズ」の一冊です。
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読みやすい
2016/09/27 14:03
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投稿者:ライディーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
見事に一気読みの作品です。
前3作に比べて遥かに読みやすく、先が気になる作品。
超一流の手品師が凶悪犯罪を犯そうとすると、本当に完全犯罪となってしまうかのような錯覚に陥ります。メッセージさえ残さなければ。
日本ではまだ一般的でないプロファイリングの活躍と、それを認めざるを得ない捜査員の姿が良い。
家族の内容で終わったのもホッとしました。
錯覚、錯誤、思い込みは結構怖い。
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碓氷刑事シリーズ。
パラレルの後に読んだため、少し不安を抱えていたが、今回はかなり現実的な刑事もの。
心理捜査官の女性が相棒として登場。
いつもの碓氷シリーズよりは、碓氷さんの活躍の場、登場シーンが多かった気がする。
正直トリックは全て先読みできちゃう、でも、それでも面白い。十分面白いのは、トリックだけの小説じゃないから。
2016.01.01
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碓氷弘一シリーズの第4弾。
このシリーズは、いわゆる異色犯罪もので、今回は、マジックの心理テクニックを使って誤認逮捕を誘導させる巧妙な通り魔殺人犯を、美人の心理調査官とコンビを組んで捜査する。
犯人のテクニックも、プロファイリングも、そう都合よく簡単にはいかんだろう? 管理官や捜査一課長含めて、周りも善人ばかりで、理解ありすぎ・・・と思いながら読みつつ、最後までお付き合いしてしまうのが今野小説でしたね。
(2014/2/16)
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渋谷と新宿で通り魔殺人
現場で逮捕された者は犯行を否認
こいつが犯人ですと被疑者にしがみついていた協力者はそもそものまま行方不明
印象が残していない
美人心理捜査官藤森紗英が捜査本部にきて碓氷警部補の相棒になる
三回目の通り魔殺人が渋谷で発生 協力者が怪しいという指示があり渋谷署に連行
巧みな話術で紗英をも騙して解放
警察で手を握ったままだったので指紋は残していない
パトカーで自宅まで送るが途中下車
エチュードと独り言
プロファイリングから音楽系に絞る
被害者が半グレ
10年程前に半グレに被害にあった音大生が3人
音楽心理療法研究室の講師の教え子が犯人
次の現場を紗英が渋谷
警察官の服装で現れる
見事に的中
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面白かった。でもシリーズの4冊目だった。また前のを読まなくちゃ。
でもね、最後の読む前から分かっちゃったんだよなぁ。
ついでに、あの心理管は波留がいいな。
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渋谷・新宿の交番付近で連続して発生した通り魔殺人事件。
いずれも犯人はその場で取り押さえられ、現行犯逮捕された。
しかし。その際の協力者が姿を消しており、居合わせた警察官達が誰一人、その人相を覚えていなかった。
誤認逮捕が懸念される中、警察庁から送り込まれたのは、女性心理調査官の紗英だった。
苦手な美人と組まされる羽目になった碓氷警部補は戸惑うが、紗英の助言によって巧妙な「犯人すり替え」のトリックが潜んでいることがわかる。
2014年10月19日読了。
碓氷警部補シリーズの第4弾ということなのですが、私がこのシリーズに触れるのはお初。ですが、問題なく読めました。今野さんの文体はとても読みやすいんですね。
紗英のキャラクターもなかなか。男性社会の中に入っていく女性というと、片意地張ってる感じで描かれることが多いのですが、紗英はとても素直。好感が持てました。
すり替えのトリックも面白かったです。
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碓氷警部補もの、だけど、この本の主役は、碓氷警部補がしぶしぶ組まされた、警察庁から派遣された心理調査官の藤森紗英。犯人の心理分析とかプロファイリングとかが、ここまでずばずば的中するもんだろうか、とちょっと都合よすぎる感じがあったが、まぁまぁ楽しめたかな。最後の最後の洋梨クンの態度に、思わずクスッとした。
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ベテラン刑事と、若い女性の「心理調査官」がコンビを組む、と。
なんやら盛り上がりに欠けるまま、淡々と終了してしまった感があります。
今野作品警察モノの醍醐味はなんといっても、ギクシャクしている組織が主人公の地道な努力によって次第にまとまり、ひとつの目標に向かって終盤ぐわわ~っと盛り上がっていくトコロ(だと思う)なのですが、そこらへんが希薄であららもう終わり?みたいな感想であります。
新作ヲ待ツ!
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犯人がこれでもか、って程あっさり捕まったけどそれまでの過程は超面白かったなぁ♪
正月からいい本読んだ。
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評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
渋谷・新宿で発生した連続通り魔殺人事件。なぜか誤認逮捕が繰り返される事態を解明すべく警察庁から送り込まれたのは、心理調査官・藤森紗英だった。苦手な美人と組まされる羽目になった碓氷警部補は戸惑うが、紗英の助言によって、巧妙な「犯人すり替え」のトリックが潜んでいることがわかる。はたしてこの異色コンビは真犯人を探し出し、惨事を食い止めることができるのか。警察小説の第一人者が贈る「碓氷弘一シリーズ」第四弾。
シリーズらしいが、途中の巻からでも全く問題なし。心理捜査官が頼もしく感じた。しかし、実際はこんなうまくいかないんだろうが・・・。犯人もあっさり捕まりあっさり自白。
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シリーズ4作目。
このシリーズ、主人公はサポート役・引き立て役なんだな。影が薄い、薄いと思っていたけど。
犯人との攻防は面白かった。前半やきもきした分、終盤一気に事件が解決していく様子にスッキリ。
人の記憶は自分が思っている以上に結構曖昧なのかもしれない。
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相変わらず、読みだしたら止まらない、今野敏の警察小説。
ユニークな相棒が登場するこのシリーズ。
今回は、何とも魅力的な美人心理調査官、それだけで読まずにはいられない(笑)
読み進む中で、次の展開が予想され、犯人の最後の仕掛けもなんとなく読めてしまったが、それでも読後のスッキリ感が減殺されることはない。
このシリーズの未読編を読まずにはいられない。
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渋谷・新宿で発生した連続通り魔殺人事件。なぜか誤認逮捕が繰り返される事態を解明すべく警察庁から送り込まれたのは、心理調査官・藤森紗英だった。苦手な美人と組まされる羽目になった碓氷警部補は戸惑うが、紗英の助言によって、巧妙な「犯人すり替え」のトリックが潜んでいることがわかる。はたしてこの異色コンビは真犯人を探し出し、惨事を食い止めることができるのか。警察小説の第一人者が贈る「碓氷弘一シリーズ」第四弾。