紙の本
人は死ぬが、ロボットは死なない。
2012/01/18 04:45
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:muneyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
作品に溢れる文学的雰囲気が大好きな、福島聡さんの描く、胸キュンSF、二巻目。
タイトル『星屑ニーナ』は、登場キャラクターの「星屑」と「ニーナ」を指します。
星屑は少年の形をしたロボット、ニーナは天真爛漫な女の子。
一巻の序盤で「二人」は出会いを果たし、愛玩用具として扱われていた星屑に請われて、ニーナは星屑をロボットとして扱う「ご主人さま」では無く、「人間的な」生活を教えてあげる「先生」になってあげる、と約束します。
けれども、人には寿命があり、機械であり、道具であるロボットには経年劣化はあるけれども寿命は無い。
つまり、人は死ぬが、ロボットは死なない。
一巻の終盤辺りで、ニーナとその旦那の死が明確に示されます。
けれども、星屑は「生き」続ける。
ニーナと、旦那・タイヘーが死んだ後、星屑は「ルイ」に出会います。
二巻では、星屑のメモリーが見せるニーナの映像に恋をする少年・ルイと、彼に出会って惹かれる少女・ポポの間柄が描かれます。
『星屑ニーナ』は名作SF。
俺が、凡百あるSFという作品の中で、しかもまだ物語の途中段階にある『星屑ニーナ』を名作と言い切ってしまうのは、星屑が徹底して「ロボット」だからです。アシモフの設定した「ロボット三原則」の順守は勿論のこと、星屑には全く感情表現がありません。ただ、マスコットの様な、うっすらとした笑みを浮かべ続けるのみ。
色んなSF作品において、「表情」を浮かべられないロボットに、作者は代替する表現、たとえば顔に雨が降りかかる様を涙の比喩表現として用いたり、動かない体で亡くなった主人の命令を必死で実行しようとしたり、人間の表情を真似し続けて最後の最後で本当に笑えるようになったり、といったある種「くさい」表現を施します。
それはそれでいいんです。
でも、本作においてはそうした比喩表現すら省かれて、星屑には記憶だけが蓄積されていく。
タイトルにまで出て来るニーナは、あっさりと時の流れに殺され、星屑の周りの人間関係は、そうしてただただ流され、消えていく。
でも、それを表現する機能、感傷や悲しみや孤独の辛さ、それらが星屑には全く無い。
感情表現が無いからこそ、読んでいるこちら側は勝手に「星屑の感情」まで背負ってしまって、切ない作品なのです。
本巻において、星屑までもが最期らしき場面を描かれます。
「タイム・スキップ・コメディー」と帯に題される本作。
それは時系列通りに進む、素直な物語ではありません。
星屑が、その最後に口走っていたぴっぴちゃん(まぁ予想は付きますが)とは誰なのか、前巻でもちょっと出て本巻でもちょっとだけ出た熱帯魚屋の店主の正体は。
星屑は終わった。けれども物語は続く。「星屑」も、「物語」も、ただ在る。
荒れ狂う様な感情表現が溢れる漫画作品、たとえば『ワールド・イズ・マイン』であったり、『からくりサーカス』であったり、それらも勿論「アリ」です。
けれども、それらの作品と違って、多分福島聡さんは距離感を持ったまま、感情的に描ける作家なんだろうな、と思います。
福島さんの前連載作品『機動旅団八福神』において、主人公達が最終巻で辿り着いた心の境地が、物語になったような。そんな作品が『星屑ニーナ』です。
星屑もニーナも含めた、登場人物全てが可愛いのも素晴らしい。
この巻を読めば、ルイくん、ポポさんの関係性にキュンキュンくること間違いなし。
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ルイとポポと星屑とニーナ。
当初は予想通りの流れだったけども、
相変わらずの超展開についていくのがやっと。
この先どうなるのか全く見当もつかない。
宇宙雷魚のエサをくれた爺さんの謎、
ルイの前に現われた幻影?の謎、
多くの謎を残しつつ次巻へ。
どう期待していいのかわからないけど逆に期待が膨らむ。
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ポポがかわいい
3巻はポポルイの娘ピッピと星屑の話になるのかな
ニーナは子どもを遺したわけではないけれど、
ニーナの血がちゃんと受け継がれて物語が(びゅんびゅん)進んでいる
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1巻でニーナが天寿を全うしてどう続くのかと思ったが、意外とちゃんと続いている。より面白くなってる。
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文句なしの五つ星!
神よ、福島聡を私にお与えくださりありがとうございます!
風呂敷をどこまでも広げられる確かな画力と変幻自在の語り口が素晴らしい。
物語はどこへ?
どこまでも。どこまでも。
次巻を楽しみに待つのみ。
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これはちょっと意外な展開の仕方だった。
けれど、タイトルを考えれば納得なのかもしれない。そして、今後もこういう話の展開をしていくのかもしれない。
1巻で75年の歳月を経たことからもわかるように、本書の時間経過は異常に早いので、時間の流れから置いていかれたようなふわふわした気分になる。
1ページめくったら5年後とかだったりするのが、しかしなかなかに新鮮で面白い。
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時間の流れは早い、ロボットの視点でどんど時代が変わっていく。ただ変わらないのは、どの場面にもニーナのDNAが混ざってて、もうニーナが誰かとか関係ないぐらいになって、ストーリーがつながって行く。漫画だからじゃなく、そんなの普段の暮らしでも同じことなんだろうなぁ。
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1巻に比べたらあまり時間が飛ばないような、と読み進めていたらスキップしていた。星屑のおかげで結ばれた二人も現れた。そして2巻の終わりがあれだと、ロボットの星屑には死はないけれども、次はどうなるのだろうと気になる。
時間の経過もかなりのものだが、それに劣らない世界の広大さもある。それから、現実にあるものとそうでないものが混ざっていている妙なところは見ていて飽きない物語だ。
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いわゆる「展開・着地が読めない漫画」。しかし、通常の「展開・着地が読めない漫画」とは違う。通常の読めない漫画は「普通はこういう流れだけど敢えて外してこうだ!」のように、「普通」があってのそこを外した「読めなさ」だが(なんとなく「めだかボックス」が思い浮かんだ)、この漫画における「普通」はない。展開全てが新しい。「未知」という言葉がしっくり来てぴったり当てはまる。君も宇宙雷魚の腹の中を探索してみないか!?
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感想を書こうと思って色々試してみたが、どうしても無理であった。残念。
思い出の価値とか、人はいつ死ぬかとか、それっぽいテーマを見いだすことはできるけれども、もはや人間の視点を超えたところで物語が展開されているのでそのような浅はかなテーマ設定など作者的には宇宙の塵のようなものだろう。
この漫画についてどうこう言えるほど自分が本作を理解できているとは思えないし、理解しているフリもしたくないのだが、それでもそういった畏怖にも似た「未知」を感じることのできる作品というのは生涯通しても希少で、煎じ詰めるとそういう「未知」を感じたくて僕は漫画や映画を読んだり観たりしているのだなあと、そんな風に思った。幸せなことだ。
一巻が最高の出来だったので、さすがに二巻ではパターン化してダレるだろうと予測していたが、見事に新しい体験を提示し続けていて、これを10巻くらい続けたら物語に魔力が宿って世界がどうにかなったりしないだろうかと心配になる。大丈夫だろうか。
とりあえず福島聡には何があってもこれを描ききってもらわなければならない。そして僕は何があってもそれを見届けよう。
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「福神」や「少年少女」、「鵺」の福島聡の新作の2巻。
1巻ごとに何十年という歳月が流れる難しい設定だが、2巻では、もう死んでしまったニーナと、残された星屑をストーリーの骨とし、且つドラマの脇役として、見事に物語が構成されている。
今回は、映像のニーナに恋をしてしまった少年が本当の愛を探すという物語。1巻では暴力的に可愛かったニーナは今回は、慎ましくストーリに深みをもたせる役割。今後ニーナは神様みたいになっていきそうで不安。神様って可愛いのだろうか?
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『ひとりでいて淋しい時はあるけれど
ふたりでいて淋しい時だってあるよ』
『大キライな奴は大スキの裏返しとかじゃなくって
ただ単に刺激の強い面白い奴なんだ』
『本物の愛は見つかりましたか?』
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むかし観た映画の中にAIというロボットの映画があった。
最初読んだ時それに似てるな~なんてこの本に対して思ったけれど、このマンガのテーマというか柱は「悲しさ」ではなく、もっと別の何かであると気づかされた。
けれどそれが何なのか?うまく言語化できないけれど、この本を読めば誰だってすごいスピードで過ぎてゆく時間の中に「何か?」を見つけることができると思う。
自分の生涯マンガランキングに入ったと思われる作品。
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なかなか面白かった
1巻と時間も状況も登場人物も変わっているのに、前からの影響がいろいろあって、でもちゃんと今の人物たちのストーリーが流れている
またラストもあっけなくて良かった
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商業的に成功するには「可愛い(IQ,EQが高い)」美少女を出すのが一番。だがニーナは天寿を全うして死んだ/主人公・星屑はロボットだから外見は変わらないが、ニーナに拾われたとき既に型落ちで、電池ももうすぐ製造停止。でも旧型ゲーム機を愛するように彼を愛する少年ルイに出会った/5年後、ルイは宇宙防衛軍で“雷魚シンパ”を摘発する手柄。なりゆきでポポという少女とキスして、雷魚の腹中に消えた。/1年後、地球に戻ったポポは地中から星屑を掘り出して「ルイは死んでない」というと星屑も同調…さらに5年後、再び飛来した雷魚