電子書籍
「ルール」有りき?
2023/06/21 01:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uruuduki - この投稿者のレビュー一覧を見る
「和」とはこういうものという、加藤さんの価値観の集大成だろうか?
日本を貧しい国とされているが、ここで言う貧しさは「物質的な」ということだろう。だから清貧であれということなら、文の内容もなるほどと得心がいく。
日本人はお金の話を嫌う傾向にあるとは、以前から度々聞いているが、こちらは心の有り様で、物欲の話は品が無いというとこで、同じような価値観を言うのだろう。
「武士は食わねど高楊枝」といったところか。
確かに過ぎた物欲は苦しみだろうからわからないでもないが、古来からの日本人の求めてきたものがこの本に書かれているようであったかどうかは、何とも言い難しでもある。
そこで思うのは、この本は「加藤さんの」和のルールなのだなということ。
だとしたら、これは自分の価値観を点検する良い機会を得たのだろうと思う。
投稿元:
レビューを見る
加藤ゑみ子さんの著作には、ほとんど駄作というものがありません。そのため、彼女の著作が出るたびに「この1冊が最後かも」と思ってしまうのですが、こうしてまた新たな作品を手にすることができたことを、嬉しく思います。本書は、これまでの著作の延長線にありながらも、1ランク上の内容になっています。と言うのは、今までの著作であれば、大した準備もなしに読んでも十分、内容を理解できましたが、本書に関しては、一定レベルの教養が必要です。
たとえば第二章に出てくる「用の美」は日本文化の哲学と言っても良いほどの重要な概念ですが、こういったことを深く理解するために、私たちは勉強しなければなりません。 p.53で彼女は「形は機能に従う」というルイス・サリバン(建築家)の言葉を取り上げています。日本建築で言うと法隆寺の五重塔はこれに従った傑作であり、あの美しさは機能を忠実に反映するところから来ています。しかし時代が下るにつれて当初の基本がおろそかになり、五重塔の構造は徐々に妥協したものになって行きました(五重塔や三重塔と言われる木塔は全国に500以上ある)。
「用の美」は、建築のような大きなものでなくても、たとえば着物の「帯」や、日本の刀といった身近なものの中に見ることもできます。帯は、必要かつ最低限の形をしていながらも、それが最大の装飾となり、私たちを魅了します。日本の刀は西洋の剣のように宝石などによる「装飾」に価値があるのではなく、刃という「機能」が芸術の域にまで高められているのです。このように、装飾からではなく機能から来る美を「用の美」と呼びます。
本書を読んで「和」に興味を持った方は、他の日本文化の本も読んでいただきたいと思います。彼女もきっと、それを望んでいることでしょう。
投稿元:
レビューを見る
どうしてkokoまでかけるのか著者にぜひお会いしたいと思わされる。
改めて日本の美意識のすばらしさや、季節の捉え方またそれに寄り添って生きる
すばらしさを感じます。
投稿元:
レビューを見る
日本の美意識を誇らしく思う本です。生け花や日本庭園で顕著に見られるアシンメトリーの美しさ、間の大切さ、はっとさせられる事ばかり。
投稿元:
レビューを見る
借りたもの。
日本の価値観を見開き1ページ毎に紹介したもの。
さわりだけでも和の言葉を再認識する。
この手の本は、余白を活かし短い言葉で解説するものが多いが、この本は著者の言葉でその魅力、先人の知恵・価値観の礼讃に溢れている。
同著者『淑女のルール』( https://booklog.jp/item/1/4887591543 )など、ほかの本とも違う印象を受けた。
後半は案の定、和の礼法の話だった。
それに向けての、根底にある和の価値観を紐解くのがこの本の意図するところだったようだ。
以前の日本を「貧しい国」と表現することに、私は納得できなかった。むしろ「少なくても足る国」だったのではないだろうか?良いとか悪いとかを抜きに……
グローバル化が進みイノベーションや競争を求められる現代に、スローライフないし自国の独自性、善さを再認識するのがこの手の本が求められる理由だと思う。