- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
3 件中 1 件~ 3 件を表示 |
紙の本
寺田ヒロオが表舞台から消えていこうとしている頃の話
2011/02/27 18:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
掲載されている雑誌がそもそも隔月刊で、1回に掲載される分量も今時のマンガにしてはそんなにページ数がないので、1冊にまとまるのに時間がかかるようです。前巻から2年以上たっているのかな。以前の話を忘れてしまいますが、それでも読んでいるうちに思いだすのは不思議な感じもします。それだけ、このマンガが何か惹きつけるものがあるのかもしれません。
10巻目のこの本では、プロ漫画家として新人だった満才茂道も中堅と呼ばれるようになった頃の話が続きます。
週刊少年マンガ雑誌が出てきて、マンガが姿を変えようとしていた頃と言ってもいいでしょう。そんなことを象徴する話が2つほど出てきます。
1つは寺田ヒロオが、マンガ雑誌に自らのマンガを載せるのを止めていく話です。これが後に寺田ヒロオがマンガ界の最前線から退いていく兆しになるわけです。言葉を換えれば、児童漫画が少年マンガ、少女マンガになっていく過程であり、さらに劇画、コミックが登場してくることになるわけで、これを日本のマンガの隆盛とも言いますが、確かに寺田ヒロオの言っていたように本当に子どもに見せるに値するマンガが今のマンガ家から出てきているのかと言うとよくわからなくなることもあります。
もう一つは、上の話とも関係するのですが、小学館のマンガ担当者が満賀道雄とさいとう・たかをを読んで、新しいマンガ雑誌の構想を語る話です。これは後のビッグコミックの話なのでしょう(この巻ではそこまでいっていません)。
どちらも象徴的なエピソードだと思うのですが、今回読んでみて思うのは、トキワ荘のマンガ家たちが寺田ヒロオに心服しながら、進んでいったのは彼とは違う方向だったということと、そのことに対してさほど葛藤がなさそうだったということです。そこがマンガ家の中でもやや世代が異なると考え方が違ったのかと思えてしまいます。
今の、マンガが多種多様でありふれている世代の人たちには何のことやらさっぱりわからないのでしょうが、比較的リアルタイムで生きてきた人間には感慨深く、また考えさせられる話が続いた1冊でした。
3 件中 1 件~ 3 件を表示 |