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人気や他人の評価ばかりを重視する作家と同棲しているが自分の存在を隠される彼女。徹底して独身の男世帯を気取り、他の女性を相手にする男にとって、最も大切なものは何だったんだろう。
そして、そんな男とも真っ向からぶつかることもできず。そんな彼女に自分の姿が重なって見えてた。
虚が生まれ、惨めさを覚える、この感じ。自分の存在って何なんだろうか。
だけど、何をどうすればいいのかわからない。
衝突する能力に恵まれていない私は、たぶん彼女と同じ結論を出すだんろう。
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2011.04.13. 春からまた学生を始めて、通学に片道2時間以上。満員電車で読んでます。リラックスします、田辺さん。いとこするのは、いいなぁ。女らしさ、男らしさというのがいきいきしている時代やったんやろうナ。
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評価があまり良くないことが衝撃。
男の人と一緒に住むということ
長くいっしょにいるということ
色々考える。
以前の私は、結婚をまるでゴールのように捉えているところがあったけど
最近はもうすこし本質的なことを考えられるようになった。
結婚式、マイホーム、子育てetc....
わかりやすいゴールがあるうちは問題ない。
それよりゴールが見えなくなった時、
たとえばこどもが大きくなって自立しちゃったときとか。
そんなときに、二人がどうありたいのか
この人と、どんな風にいれるのか
そういうことを考える。
まれちゃんとミッチィには特にゴール、目標が見えなかったから
なんだか考えさせられたのである
まれちゃんがお人形を買ってきてくれたシーンで泣きそうになった。
せつない。
でも勘違いだったみたいで、これまたせつない・・・
江國香織の解説にあるとおり、
田辺聖子の小説はプロセスが素晴らしいです。
本屋のポップで日本版SATCと紹介されていたけど、全くその通り。
女性であるなら、必ず共感できる箇所があるはず。
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練れた会話が楽しい。じゃれあっている時の二人の会話があんまり楽しいので、後半みるみるすれ違って行くのが辛い。稀の強い大阪弁が(それは最初っから同じなのに)、だんだん刺々しく聴こえてくる。
でもこの自分勝手で甘ったれの稀に、うっかり読者も惚れ込んじゃうあたり、キャラだてがうまい。これが単なるダメ男だったら、半分も面白くなかっただろう。
蜜子の心の揺れの描写が丁寧で、怖いぐらい。手に取るよう。結末は切ないけど暗さはない。冬のNYの朝の張りつめた冷気のように(行ったことないので、たぶん)、凛として、顔を上げて蜜子は帰途につくのだろう。
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「孤独な夜のココア」に続けて読んだため、短編気分がでスタート。なんとなく最後までその調子で読んでしまいました。そうしてしまうほどに、ひとつひとつの賞がひとつの短編のように完成されていることにあとから気づいた。内容ですが、ものすごくリアルな女性の感情。ミッチィほど耐え忍ぶこともできないし、もめごとを回避する力に秀でてもいないけれど、世の女性の心情というものは多くの場合こうなのではないかなあ、と。特に、NYでミッチィが稀から「用事ができたからついてこないで、ひとりで遊んでて」と言われた時のシーンが印象的。彼女にはしたいことも行きたい所もたくさんあるので一人でも手持無沙汰にはならないのだけれど、ホテルから外に出た瞬間ものすごい虚無感に襲われた、というくだり。そういうことなんですよね、恋愛の
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自分では上手く説明できない男女の関係の機微を的確に表現してくれて、のどの痞えが取れるよう。そしていつもどおり、田辺さんの本には意地悪な人が出てこない。清清しいのだ。清清しさって、私にとって大事。
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ずるいね!女って
ばかだねー男って
なのにこんなみっともない世界にじんわりきてしまうんだ、現実はもっとみっともないよ、私も雀を抱いて電話を掛けてみたい。
田辺さんはどうしてこう切なさと優しさを一緒に書いてきちゃうのか、心が追い付かないまま離れていくミッチィの寂しさが冬のNYの中に鮮明に思い描けてしまう。
優しい田辺さん故の、息の詰まるような悲しさだ。
ロマンチック?そーでもないよね
ちょっとトゲのある少女漫画を読む気でいこうよ。
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田辺さんの恋愛小説を読むと胸がキューッとなる。この本もそんな本。付き合っているのに、一緒に住んでいるのに・・・ボタンを掛け違えたようにすれ違っていく二人。印象的なのは「衝突する能力」がないことに気づいた瞬間のヒロイン。思わず我が身を重ねてしまいました。
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新進気鋭、女性読者に人気の作家浅野稀は、自分で自分をプロデュースしなければ気がすまない。共棲みして5年になる妻とも秘書ともつかない蜜子がいるにもかかわらず“男世帯”を演出している。それが“男世帯ごっこ”のうちは一緒になって面白がっていた蜜子も、次第に感情を持て余し始め…。
稀が蜜子を愛して必要としているのは分かる。それにしてもだ。こんな振る舞いをする男をかわいく感じる蜜子が読んでいてじれったい。
幸い、蜜子の周りにも彼女の心が求めているものを与えてくれる男たちが現れるのだが、そこに安易に落ち着くことをしない。その点は潔くていい。
決してハッピーエンドとはいえない結末だが、スーッとした。
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すごい…!だんたんとすれ違ってゆく2人、蜜子の心に刺さってゆく棘、それが目の前に見えるように書かれている。
他の男性に逃げてしまう蜜子の気持ちもすごく分かる。でも、そこでは埋められない気持ち、それもすごく分かりやすく表現されていて、共感。
切なかった〜
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31歳の蜜子は、若手作家浅野稀(まれ)と同棲して5年。
稀が売れっ子になり、暮らしも洒落たものに。
稀はマスコミを通じて知られるようになり、交際も有名作家や芸能人にまで広がりました。
すると、自身の演出に余念のない稀は独身を装い、蜜子を人前でスタッフのように扱います。
そんな折、蜜子は作家との付き合いを通じて裕福で渋い尾瀬と、いつか田舎で犬や猫と暮らしたい青年光村と知り合います。
稀との刺激的な生活は魅力ながらも、自分に対する稀の態度に不満が募るにつれ、蜜子はタイプの異なるふたりに惹かれます。
5年間同棲し、31歳になった女性なら、結婚が頭をよぎるのももっともです。
読みながら、もう自由にすれば、と蜜子に声をかけ、稀をいやな奴と思いながらも、そのバランスを欠く危うさに魅力を感じます。
大阪弁のセリフまわしの生々しさは、好き嫌いを問わず、ずんずんと読み手の気持ちに踏み込んできます。