紙の本
帝国ホテルへの期待に応えるパワーを描く
2014/01/27 21:56
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家、村松友視が帝国ホテルに依頼されて100周年の記念に上梓したものである。それは数年前のことで、今回それを文庫化した。ホテルを描く方法は色々あると思うが、村松は内部の人々がどのような意識を持って仕事をしているのか、実際に行われている仕事はどうであるか、表には一切出てこない苦労話などを、従業員からそれぞれの職場を実際に案内してもらい、直接インタビューするという方法をとっている。
帝国ホテルは他のホテルとは一線を画している。つまり、規模の利を追わないということである。日比谷にある本館、大阪にもある。もう一つ上高地にある。わずか3館だけである。ということは、品質を維持向上することを会社の社是にしているのではないか。御三家と呼ばれる他のホテルは全国にチェーン展開を行っている。
そういうことには目もくれず、質の向上を通じてホテルの格を維持し、顧客の期待にこたえているのである。私はホテルに自動化、省人化のためのシステム導入の提案をしたことがある。どう見ても無駄だと思ったからである。ところが、ホテルの答えは、確かにそれによるメリットもあるが、サービスの品質が低下してしまうので採用できないという答えが返ってきた。自動化によって手間が省けて喜ぶのは内部だけであって、顧客がホテルにどのような期待を抱いているかについては考えが及んでいない提案になっていたのである。
さて、帝国ホテルには宿泊、宴会、料飲などの各部署を潤に経験する人もいれば、この道何年という人もいる。また、準社員としてきわめて専門的な部署で働く人もいる。各職場からいかにもホテルらしいという人を選んでいる。なかなか面白い話が聞けているし、客が想像もしないことをやっていて、客のわがままに応え、日々奮闘している姿が的確に描かれている。
今も館内の至る所で活躍する社員がいる。それが顧客の期待にこたえる日々の活動であろう。巻末に帝国ホテルの有名顧客であるそうだが、平岩弓枝が言葉を寄せている。これも帝国ホテルの緊急事態発生時の様子をよく伝える話で、大変本書にふさわしい内容であると思った
紙の本
名門が身近に
2015/11/17 16:06
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
格式が高く、近寄りがたい帝国ホテル。しかし、中に入って各部署の人々に取材してみると、格式を保つための様々な苦労があると分かる。取り分けて面白かったのは結婚式場の神主さんへのインタビュー。名門ホテルを身近に感じさせたのは、無論、直木賞作家・村松友視氏の筆だろう。
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一流ホテルは一流のホテルマンが作る。
2015/08/23 14:53
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投稿者:積読 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本が誇る帝国ホテル。ハリウッドスターが映画の台詞にするほど、そのサービスは有名でまさに日本の「おもてなし」を体現化している場所だと思います。
帝国ホテルの逸話はいろんなところで触れる機会がありますが、この本はそこで働く人たちから聞き取りをするという形で、「なでそこまでできるのか」という不思議に迫る本です。
個人的には施設部の方の話が面白かったですね。ないのなら作ってしまおうという発想が素敵。
いつかは帝国ホテルにふさわしい人間になって、滞在してみたいです。
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上質さについて
2015/10/18 15:40
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投稿者:KEN - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者と各部門のスペシャリストとの対談集。
帝国ホテルは自分も息抜きしたいときに利用する。「サービスが行き届いている」という、使い古された言葉では現しきれないくらい様々な点で洗練されている。ゆえに、普通のホテルでは目にかかれないような職種があるのだろう。そんな特殊な職種の話が読めるのは興味深い。
自分が帝国ホテルを訪れた際に、印象に残っているのが、エレベーターだ。エレベーターのドアが開くと正面の壁に、バラの花が一輪活けてあった。無機質な空間に浮かぶ花。その映像が今も思い出される。本書によるとこれは「スターター」と呼ばれる職種の仕事とのこと。粋な演出だと思った。
この対談集、最も印象に残ったのは、施設・情報システム担当役員の話。先に特殊な職種の話が面白いと述べたが、それだけが本質ではなかった。対談集のトリを飾るにふさわしい内容。他のホテルでも存在しそうな職種なのだが、その普通なものに、秀逸なクオリティを求めていく姿勢が印象的だった。
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まさしく、おもてなしの世界である。ホテルという外国から入ってきたものに、日本独自のおもてなしの文化を加えて、新たなホテルのサービスに進化してさせている。帝国ホテルという巨大企業、そしてそれに従事するスタッフそれぞれの生き様を描いている。
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帝国ホテルで働くそれぞれの現場のプロの話。
裏側で見えないところもこんなにこだわり抜いてホテルの空間を作っているかと知って驚いたし面白かった。
バーテンダー、清掃係、コンシェルジュ、靴磨き職人等々。
帝国ホテルに泊まってみたくなりました。
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帝国ホテルで働く人々に焦点を当て、
帝国ホテルそのものを浮かび上がらせようと言う作品です。
帝国ホテルの様々な部署の人達が出て来るんですが、
その一つ一つのエピソードは、比較的短く纏められている。
私の好みとしては、もう少し深堀りして欲しいところですが・・・。
帝国ホテルは、行ったこともあるし、
買い物をしたこともありますが、
泊まったことはないんだよねぇ(苦笑)。
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・バーテンは45度体を傾けている
・人差し指をかすかに上げただけでギャルソンに合図を送る客
・レセゾンのメニューは、アラカルトからはじまる。アラカルトを食べて欲しいから
・100人に1人は本物がいるという前提で弾き続ける会員制バーのピアニスト
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帝国ホテルが持つ伝統や格式。そうしたものはそれを作ろうとして作り上げられたものではなく、日々お客様に最高最良のサービスを提供しようと努力することで培われてきたのだということがよく分かる。
これは一人の人間の品格や信頼がどうやって作られていくかということに似ている。
人もホテルも会社も店も、日々の誠意の積み重ねの上にしか、尊敬されるべきものは作り上げることはできない。
そういうものは毎日毎日、薄皮を重ねていく地道な作業の結果として、誰にも真似のできない多様な層を持った厚みとして成り立つのだ。
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帝国ホテルで働く人々へのインタビュー集。
さまざまな部署で働く人々の話から、帝国ホテルが目指すもてなしの姿を垣間見る。
色々な人の話を読めて興味深かったが、個人的にはもっとルポ的なもの(?)であったほうがおもしろかったかもしれない。ちょっと感情的(思い入れがありすぎ)な感が。
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帝国ホテルはやはり噂通り日本を代表する場所であった。無知なので、大それたことは言えないが、読むうちに情熱とプライド持って働くってすごい。プロフェッショナルってすごい。
俺も頑張りたい。いつか帝国ホテルに泊まるは、ひとつの目標になりました。
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ものすごく大勢の人が帝国ホテル内で働いていることを知った。
フロントとかベルマンとかソムリエとか「ああいるね」という職種の人ばかりでなく、神主さん、氷彫刻師、ランドリーの方、施設関係の方など「そんな仕事も!?」とか「必要だろうけど、自社でやっているとは驚き」という人たちにインタビューしているところが良かった。
庶民なので、帝国ホテルなんて泊まれないよと思っているが、一生に一度ぐらい贅沢してみたくなった。
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大好きな帝国ホテル。
本当にお世話になっているホテルです。
ロビーで人待ちしている時にも、ピアノの生演奏が聴けたり、素敵な内装と空間には美しい季節のお花が活けられていたりと帝国ホテルらしいゆったりとした
時間が流れています。
飛び交う外国語は今に始まったことではなく、ずっと前から国際的な場所でもありました。
エレベーターに乗れば、レストランで食事を摂れば有名人と鉢合わせになり、どのスタッフの方も心づくしのおもてなしをしてくださる。このホテルの絶妙な緊張感は、リッチに気分にして下さるだけではなく、そこに相応しく存在するように私なんぞでも引き上げてくれるような力があります。
たまに帝国ホテル内を散歩する私ですがw、ライトの設計のなごりや四季折々の展示物や装飾が思い出に変わります。桃の節句の頃には、いくつのひな壇が見れるでしょうか。また宿泊中の深夜、Xmasの飾りつけを眺めたりしたこともありました。そしてロビー各所と、エレベーターにまであるお花で心が華やぎます。これは庶民ならではの感覚かもしれませんが、帝国ホテルが大好き過ぎてそうした仕掛けをして下さるスタッフの皆々様にお礼を言いたくなってしまう私です。
さて前置きが長~くなりましたが、裏舞台を見たいような想像な世界にしておきたいような、そんな理由で読み遅れていた本書。結論的には、読んで良かったです。
著者の松村氏が帝国ホテルに敬意を払って書いているところ、取り上げたスタッフの背景にも焦点をあてている愛情に共感できたところが大きいです。またどの方もお客様に叱られたことや失敗の経験がいかされて現在に至っていて、たとえクレームであっても前向きにお客を思って取り組む積み重ねと努力が尊敬できました。帝国ホテルで働くというプライドがあって、どのスタッフもがホテルの一部となっていて形成されているところにも感銘を受けました。そんな真摯でprofessionalな職場。とてもとても憧れます。そして、次回帝国ホテルに行く日が楽しみでならなくなりました。
~備忘録
◆総支配人
あなたの将来は?帝国ホテルの総支配人
◆総料理長
電車とヘラブナ釣りが生む傑作メニュー
◆客室果マネージャー
バスタブに体を横たえると、トイレの内側の汚れがよく見える
◆ドアマン
両替用五千円札、千円札をポケットに用意
◆ベルマン
人工呼吸器マウスピース携帯
◆フロント
部屋割りのコントロールは神秘のパズル
◆スターター
エレベーターの中に行ける一輪の生花
◆ゲストリレーションズ
何処へ行ったらいい?何したらいい?
◆ロビーマネージャー
ロビーサービスの潤滑油たる何でも屋
◆オールドインペリアルバー
千の顔を持つ表面張力的フェイル・セイフ
◆オールドインベリアルバー
魅力的な大人の坩堝たる「柿ピー」発祥の場
◆インペリアルラウンジ アクア
酸味三体の舞台空間で学ぶ人間学
◆ソムリエ
ワイン好きより、人間好き
◆レ セゾン
レストランという舞台装置の妙
◆ル���ムサービス
雨、雪、台風?ウェルカムです
◆ゴールデンライオン
奥殿で弾きつづけるピアニスト、永遠の存在感
◆ランデブーバー・ラウンジ
ロビーラウンジの人間模様
◆氷彫刻
消える芸術にいそしむ氷彫刻の左甚五郎
◆ベーカリー
パンと日本人という巨大で厄介な問題
◆ブッチャー
肉は化けるし出世もする
◆ペストリー
うっかり、ちゃっかり成長するバスケ流バティシエ
◆神主
ホテル結婚式事始の継承
◆婚礼クラーク
人生の岐路に立ち会う「幸せのお手伝い」
◆宴会チーフ
白鳥、水面下の足掻きを愉しむ
◆シューシャイン
キンチャン
映画、ジャズ、そして靴
オーバーシューズ
◆プロトコール
接遇という伝統の隠し味
◆オペレーター
帝国ホテルでございません
◆ランドリー
百年の伝統を誇る、目で洗うランドリー
セーターの計測
しみ抜き
ご希望で3時間仕上げ
洗濯ものを投げない
◆施設部長
ハード面でホテルを支える、骨太で柔軟なセンス
◆施設・情報システム
数学の天才少年、ついに義理人情にいたる
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【東京五輪で再注目! 日本が誇るホテルの職人たち】日本のホテルの中で特別な位置にある帝国ホテル。30人の現場の人への、職人性や人生観まで踏み込んだ取材でその不思議を炙り出す。
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帝国ホテルで働く人々のインタビュー集?色々な職業があるのですね。みなさん帝国ホテルへの愛情と自分の仕事への誇りを感じました。