紙の本
カーらしさ全開
2002/04/01 20:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ディクスン・カー、1965年の作品。密室での事件、壁や扉をすり抜けて消える幽霊など、作者にはよくある話。さらには、お互いに憎からず思っている男女が回り道をしたあげくにめでたく結ばれると、これもよくある話です。かといって、マンネリだとか、つまらないだとかいうのではありません。得意な分野を書いているだけあって、話はドンドン盛り上がっていきます。クライマックスの、犯人を罠にかけ正体を見極める場面は、これまたよくあることなのですが、手に汗握る緊張感です。
密室や幽霊の謎も、ちょっとアッサリしすぎという感じはしますがキレイに解かれ、よくできたミステリです。ただ一つ、今まで「ギデオン・フェル」で慣れ親しんだ探偵の名前が、「ギディオン・フェル」になっている。ストーリーには関係のない小さなことなんですが、気になりました。出版社・訳者が違っていても、こういうところはあわせてほしいものです。
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フェル博士シリーズです。
悪魔のひじと呼ばれる海辺の土地に幽霊が時おり出現するという緑樹館が建っていて、歴史家のガレット・アンダースンはその緑樹館を相続した友人のニック・バークリーに館に招かれます。
一行が館に到着するやいなや銃声が鳴り響きます。
館に住むニックの叔父ペニントン老人が判事の幽霊に空包で銃撃されたというのです。
鍵がかかっていたはずの窓から姿を消したという銃撃者は幽霊なのかという謎が謎を呼びます。
本書は全体的に見てカーには良くある状況ですが、それでも物語はとても面白く読めます。
密室のトリックは説明されれば大した事なく感じますが、幽霊の謎の方には感心させられました。
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フェル博士シリーズ
祖父の遺言により持参を相続したニック。「悪魔のひじの家」と呼ばれる屋敷を叔父ペニントンに譲るために訪れるが・・・。密室で幽霊に空砲を発砲されたと集中するペニントン。ニックの友人ガレットの求める女性フェイ。フェイの過去。深夜に銃撃されるペニントン。見つかった新たな遺言状の謎。エリオット副警視長の捜査。
2010年5月8日読了
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フェル博士シリーズ。何とも禍々しいタイトルに惹かれたのですが。それほど禍々しくなかった……でも幽霊や過去の因縁や、それなりの怪奇的要素も楽しめます。ただ、ロマンスとかもあってどちらかといえば軽めに楽しめる作品かも。
今回も密室トリック、案外とシンプルというかなんというか……でもこれがぜんっぜん気づかないんだよなあ。真相だけ聞いちゃうとそんなのあり? という印象だけど。さすが論理はしっかり。読みごたえありの本格です。
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舞台劇のように大袈裟な仕草や、もったいぶった言い回し。昭和レトロっていう言葉を思い出した。50年前の作品なのですね。文体はちょっと面倒くさいけれど、トリックには易々とだまされてしまったし、個性的な登場人物が多く、楽しみました。
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友人が絶賛していたので、読んでみた。フェル博士もの。カーの作品では、晩年に当たる作品で、キレの峠は越えているのかもしれない。途中、何かダレる感じもして、グイグイ惹き込まれる感じでも無い。傑作では無いが、佳作と言えよう。