紙の本
変幻自在の11編
2016/01/03 03:28
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は1作ごとに作風を変化させてくる。本書のような短篇集になるとその特徴が顕著に現れる。落語を思わせる「母親さがし」や正統派SF「平行世界」、ダーウィンへの敬愛がうかがえる表題作などバラエティ豊かな1冊だ。
電子書籍
11の短編
2021/12/17 17:28
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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の作品は当たりはずれが多いが、これはまあ当たりの方かなと思う。「五郎八航空」はめちゃくちゃ面白かった。あとは普通。
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突然変異体の発生。
進化論の暴走。
それは神の改竄か。
生物を観察する、
人間のエゴイズムか。
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「走る取的」が怖すぎる、解説で三浦雅士さんが言ってることに関連して言えば、この時期の筒井さんにハマれるかどうかはこの作品にハマれるかどうかで決まる気がする。
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筒井康隆の短編で“怖い作品”と言うと必ず名前の挙がる一作が「走る取的」。これを読んでみたいがために購読。
友人と共に延々力士に追いかけられる主人公。しかもどれだけ逃げようがうまく撒こうが隠れようが、はたまた心底詫びようが相手は一向に意に介さない。ひたすら「腹と顎を突き出した例のスタイルで」追いかけてくるのだ。理由はわからない。ただ「自分が侮辱されたと思い込んでいる」らしい、それだけである。助けを求めることも出来ずに逃げ回る様は滑稽だが、読後にじわじわ怖さが沁みてくるような作品。
その他、放射能の影響で生物が全てミュータントと化した島を描いた表題作(途中までは大笑いできる作品と思ってしまうのだが、終盤で背筋が一気に寒くなる)等、幻想と強迫観念、狂気に満ちた11編収録。
【感想は読了当時のもの】
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基本的に「これはひどい」という話が並んだ短編集。ブラックユーモアと言えなくもないが、「うわぁ」以外の感想が出てこない話もあり、よくぞここまでとも思う。
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解説でも注視されていた「走る取的」はとても印象的でずっと記憶に残っていた。妄想や猟奇的な短編が並ぶ中、「母親さがし」という新作落語、「こちら一の谷」の時代ドタバタ小説が混ざる。表題作は生物学的知識があると、より一層楽しめる。もっとも21世紀となった今もそうだが、学術的な若しくは国際的な話題を日本人同士で話すときも外国語であるカタカナ語で話すのが鼻持ちならなく感じてしまう。
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内容紹介
足のはえてくる果実。木の枝に寄生している小動物。人間を食べて首に似た果実をつける植物。放射能の影響であらゆる生物が突然変異体(ミュータント)と化した不気味な世界を描いた『メタモルフォセス群島』。妻子を脱獄囚に人質にとられたサラリーマンが、脱獄囚の家にのり込んで脅迫のエスカレーションを企てる『毟りあい』。ほかに『五郎八航空』『定年食』など幻想と恐怖の突然変異的作品群。
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高校生以来、何度か繰り返し読んでいるが色褪せない面白さ。筒井作品のなかでも代表作のひとつだろう。ただし、万人に勧められるかというとそうではない。