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電子書籍
危険な内裏
2021/09/05 17:22
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
平安貴族といえば雅やかなイメージが強い。物語、日記、詩歌に出てくる純粋化されたうわべだけを見ているからだろう。むかし、花山天皇の作に触れた時、たまたま絶頂を極めていたミュージシャンの醜聞があったので、やはり歌手や歌人は破天荒なものという考えを強くした。生き様がパンクな花山天皇が周囲を振り回すのは分かる。ただ、花山天皇は当時の権力と権威そのものだから困った人は多いだろう。真正面から「ヤッチマイナ!」と殺しに来る伊周といい、この時代は藤子・F・不二雄の『気楽に殺ろうよ』もびっくりするほど命が軽い。
さて『今昔物語』にも橘則光(たちばなのりみつ、清少納言の最初の旦那)が強盗を斬って殺した挿話が載っている。「人斬りの露呈はヤバい」と怯えるのだが見知らぬ男が「俺の手柄だ」と吹聴したのでばれる事はなかった。則光の心配事は、貴族の体面に関わるという部分で、斬殺にはこれといった感慨を持っていない。中流貴族でも刀を振るうのが当たり前で人斬りにためらいがないからこそだろう。
時の貴族は立法・行政・司法を兼ねた存在だから政争は当たり前、自力救済の世の中で政敵の失脚に実力や暴力がつきまとうのもおかしくはない。ただ自らの手を汚さず舎人や従者にやらせた例も多く、貴族らしいずる賢さと卑怯さも見える。その貴族社会から優れた詩歌管弦が生まれ、殺しも殺されもしない光源氏が誕生したというのは辛辣だが、雅やかなだけでもなく暴力だけが世の中を支配している訳でもなく、単純化して捉えないように気を付けたいものだ。
それにしても、太刀なんて物騒なモノを携行するのが当たり前の時代に生まれなかったのは幸いとしか言えない。刀狩り令に生類憐みの令には感謝感謝。
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王朝貴族の本性
2020/04/15 13:33
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
平安時代の貴族といえば歌を詠み風流に親しむやんごとない方というイメージを大きく変えてくれる本。本書を読んだあとでは他の平安時代の歴史の本を読むときもこいつ真面目な顔してるけど裏では暴力沙汰を起こしてるんだよなぁ…と思いながら読むことになってしまいました。
紙の本
天皇の皇女が路傍で犬に喰われる?!
2017/12/29 15:57
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
平安貴族といえば、美に敏感な感性をもち、物の怪を恐れる・・・とどちらかといえば精神世界を大切に生きていたかと思い勝ちだが、現実には政争に破れ憤懣やるかたない気持ちを直接の相手でなく、そいつに追随している子分たちに自分の従者(ほとんど用心棒)をけしかけ鬱憤を晴らすというかなり理性を欠いた振る舞いを平気でしていたらしい。警察(検非違使)はあれど、上流貴族同士のいざこざには及び腰で手をだせない。雇える財力にまかせて、腕っ節の強いのを大量に雇い入れて、自衛に備えるしかなかったというのが、やはりこの時代の限界なのかとため息をつくしかない状況だ。
この現実と理想の乖離は、平安貴族の面目躍如たるべき恋愛においても同様の状況だったらしいのが、タイトルに記した事件だろう。今まで読んだ平安ものでは、この事件はかなりさらりとしか触れられていないので「なぜ?」というのが第一印象だったが、この本を読むに及んで、実にとんでもなく乱脈でいい加減な男女関係が裏にあるということがわかった。皇女といっても、天皇が退位してからの乱れた関係から生まれた女性であって普通我々が想像するような「道長の娘が入内して生んだ皇女」などとは全く違う、そもそも誰も皇女などとも思っていなかった女性の巻き込まれた暴力事件だということだった。男性に夜の街路に呼び出され、関係のもつれから男に殺されそのまま放置されたあげく、当時多くいた野犬に遺体を食い散らされたのが真相だ。
なんともその残虐性と自堕落な私生活に眼を覆いたくなるような事件であるが、我々が思う教養とエスプリに支えられた恋愛遊戯など、物語の上だけの絵空事だったといわれても仕方がない。
政争の世界も恋愛の世界も、今に残る文学作品からは香気しか感じ取れないのに実際にはこのような現実があったというアンバランスさは一体どう考えたらいいのだろう。
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イメージを一新させる作品
2021/04/07 12:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
平安貴族に対して持っていたイメージを一新させる作品であった。平安貴族といえば著者も後書きで書いているように紫式部や清少納言の作品を通じて得たイメージで作り上げていたが、実際はかくの如し だったんだなと痛感した。そういえば藤原道長の立身出世には随分な権力闘争があったのだろうなと感じていたが、直接的な暴力がこれほど振るわれたとは思わなかった。
この作品は個々のエピソードは面白いが、章立て話の並べ方には随分と惑わされた。年代順でもなし登場人物の家系でまとまっているわけでもない。系図を見ながら前後して読まなくてはいけなかった。
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