紙の本
花と人を愛す
2021/04/09 16:32
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者のデビュー作「実さえ花さえ」を改題した時代小説。向嶋で花師を生業とする新次・おりん夫婦と2人を囲む親友・大店のご隠居・孫の若旦那、そして雀。花や木の自然さを大切に地道に働く新次。それを支える妻おりん。二人の夫婦愛と場面場面にある花木。この作者の小説は何冊か読んだが折り込まれている植物に感心させられる。花や木を育てながら人の感じる処に自然に入っていく言葉。いつもながら心に残るものがある。先日見かけた新聞記事で植物を取り入れている作家として作者が取り上げられていた。作者の庭にはいろいろな植物がうえられているのかもしれない。
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続きを渇望せざるを得ない快挙の一冊
2016/02/02 18:49
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
もうびっくりするぐらいいいお話で正直魂消た。電車の中でぐずぐずしてきちゃって堪えるの大変。雀の健気さがねえ、心にしみ入るよ。子供が子供らしくなくじっと色々耐えたり、がんばったりされちゃうと大人は辛いね。自分の子じゃない雀をおりんも新さんもほんとうに大切に育てた。立派。いいお話なんだけど、いろいろ散漫になってしまっている部分もあり、少し惜しい。もっともっと掘り下げられるはずだもの。しっかし、染井吉野に最後繋がっていくとは思わなんだ。真実だったら新さんも雀も歴史的快挙じゃない。嗚呼、続きが読みたい。願わくば。
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江戸下町風情を色濃く漂わせた、下町人間模様が良いですね。
2019/07/30 09:53
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸下町風情を色濃く漂わせた、下町人間模様が良いですね。花木の話の多いのも嬉しい。特に、第二章の緑葉と紅葉を併せ持つ「錦しゅう衣(カエデ)」が接ぎ木ではなく同一個体の枝の皮を傷つけることで時期より早く紅葉させれるという解説には驚きでした。こうした花木に絡んで話は進むと思いきや、3章辺りから論調が変わり、4章は人間中心の話に収斂。結局、4章は話が広がり過ぎて散漫となり、花木を軸とした1~3章にちょっと見劣りする結果となった。 人々の一生を描くには少々紙数が足りない気がした。それと、展開に起伏をつけるため、意表を突いた話の進め方をしてるのが初めは飛び過ぎに感じたが、著者の癖として飲み込むとそれなりに慣れてしまった。著者49歳のデビュー作品としては立派なものと感じたです。
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終わり方が素敵
2020/10/09 21:24
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投稿者:みずほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレになるので詳しくは控えますが、登場人物のその後が最後に描かれており、あーそうなったか!と感無量でした。
主人公が昔修行していたところのお嬢さんとのくだりは、何だか切なく、読みながら苦しくなりました。
朝井さんの作品はたくさん読んでいますが、これがデビュー作だと知り驚きました。ものすごくレベルの高いデビュー作です。
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花を扱う職人「花師」としての真っ直ぐな気概とそれ故に出会う様々な出来事。
この人たちの話をもっと知りたい、そう思わされる作品。
霧島屋の理世の話も読みたいな。
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「恋歌」で直木賞を受賞した朝井まかてのデビュー作。
デビュー作にしては達者で、さすが。
「なずな屋」を営む若夫婦、新次とおりんが主人公。
男前すぎて若い頃に女の子がぞろぞろ付いて来るほどだったため、女性に警戒心がある新次。
おりんは家を出て子供に手習いを教えていて、しごくさっぱりした気性なのが新鮮だったらしい。
感じのいい若夫婦に、新次の幼馴染夫婦や、新しいお得意さんの大店のご隠居と孫息子、新次が独り立ちする前に勤めていた大きな育種屋、夫婦が預かることになった男の子「雀」(本当はしゅんきち)などが絡んできます。
苗や種を育て、時には新種を作り出す花師という仕事が、江戸では盛んだったのですね。
「花競べ」とは、最も優れた名花名木に与えられる称号・玄妙を目指して、江戸中の花師が育種の技を競い合う三年に一度の祭。
花や樹木を扱うすがすがしさが伝わるような筆致で、ムラサキシキブ、桜のソメイヨシノなどの命名をめぐるエピソードもあって楽しく読めます。
新次は仕事先で、かっての勤め先のお嬢さんで、共に修行した理世と再会します。
女ながら才能があり、今は家を継いでいる理世。
身分違いだからと気持ちをはっきりさせずに店を出たままだった新次は‥?
女性作家にしては、妻のおりんのほうをほったらかしなのがやや意外な展開。
おりんの気持ちを追ったらさらに生々しくなるのを避けたのかも。
気持ちにけりをつけるという展開とはいえ、理世のことが妙に浮き上がって見えるような。
何もいわずに戻った新次を、おりんは黙って受け入れたようですけどね。
子供のいない二人が預かって育てた雀こと、しゅん吉の未来が開けるので、話としてはまとまった読後感に。
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2017/1/14
史実なの?だから火事で花魁は死んだの?
そういうの別にいいのに。
辰之助も花魁も幸せになりましたではダメか。
雀が偉くなってもお梅と結婚したらしいのはほっこりした。
その後があるとうれしいんだけど読後の印象が全部その後に持っていかれるのは良し悪しだなと思った。
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花の話が中心かと思いきや複雑な人間関係が絡まって面白く読めた。花魁が火事で亡くなってしまってハッピーエンドということにはならなかったけど、それなりに納まって良い感じだった。
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図書館で。
そう言えば歌舞伎でも釣しのぶ売りだの、菖蒲売りだの野草を売ってる描写が多々出てきますが、昔も今も植物好きは凝ってたんだなぁ~なんて思いました。
ちゃんちゃらの方のデビュー作とのことですが…なるほど、この作者さんはあれもこれも色々と入れ込んでいくのが好きな方なのかなぁとちょっと思いました。色々と…うん、因縁だの過去だのが過剰気味というか。おかみさん視点ならそこだけで亭主とお嬢さんの恋愛とか前のお店とのしがらみというか因縁めいたものまでは入れなくても…なんて思ってしまいました。
後これは個人の感想ですが…花魁別にあんな最後じゃ無くてもよくない?と思ってしまいました…
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江戸中期、花師の「なずな屋」
若夫婦とその周りの人々の人情物語
ちょっとしたミステリ要素もあり
恋愛模様もあり。
これがデビュー作と知ってびっくり
なんと達者な・・・
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全一巻。
今年直木賞取った人のデビュー作。
花を育てる職人の話。
花師という珍しい職人が主人公の職業小説。
2作目の「ちゃんちゃら」より
職をしっかりテーマにしていて、
全く知らない分野ながら引き込まれた。
ただ一点だけ、個人的にすごく残念なのが
シリーズ化してないこと。
これはシリーズ化してこそだろうと思う。
一話完結のシリーズものぽい体裁で、
登場人物のキャラも好ましく、
長くつきあっていったら大事な作品になりそうなのに、
デビュー作なこともあってかコンパクトに纏められてる。
もっと脇役にも活躍してもらいたかったし、
もっと進展が見たかった。
いつか続編を書いてもらいたいけど
最後で幕引いちゃってるから多分書かないんだろうなあ。
なおのこと残念。
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感動した!! 心を揺さぶられた!!
恥ずかしながら、直木賞を獲ったことで名前を知った作家だ。直木賞作家の処女作はどんなものだろうと期待を込めて手に取ったら、予想を超える面白さだった。
江戸中期に向島で花の苗や種を売る商いをしているなずな屋。店を営む新次とおりんの夫婦を中心に人間模様が描かれる。
考えられる全ての要素を詰め込んだ最上級のエンタメ小説だ。登場人物達の恋やなずな屋を潰そうとする陰謀や新種の桜にまつわる謎解きをからめて、まったく飽きさせない。
笑ったりほろっとさせられたり忙しけれど、久しぶりに読み応えのある小説と出会った。嬉しい一冊だった。
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花師、「なづな屋」の新次と廻りの者との物語
松平定信も隠居として活躍?
かつて世話になった親方の娘理世との係わりと、その苦境を助け、更には捨て子の雀、そして染井吉野誕生秘話
読み応え十分にあり
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好きだったひとが読んでた本。
読んだらね、職人とか、人情とか、粋とか、木とか、花とか、いっぱいで。
あぁ、好きだー。って、なんか、くやしいばかりにツボなんだよね。てやんでい。
読めてよかったぜ、ちきしょー (川;*^▽^)