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紙の本
いかにも古本エッセイ風の作りの本ですが、あにはからんや、いもうとどこへいったやら、小説なんです。しかも古書店の悲哀をさりげなく散りばめたりして
2005/08/16 13:48
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
青弓社、知りませんでした。巻末の出版案内を見ながら、こんなにも古書関係の本があるんだ、と感心しました。著者にも感心します。喜多村拓は1951年、青森生まれ、1986年青森で古書店林語堂を開業、今ではネット取引もしているらしいです。青弓社からは、『古書迷宮』という本も出しています。『古書』ということで、私のアンテナにかからなかったようですね。
我が家、あんまり古書好きじゃあないんです。まだ古本のほうがいい。では、なぜ『書痴迷宮』を手にしたか、です、そう、『書痴』です、この言葉が私のスキゴコロを刺激するんです。居るんでしょ、我が家にも一匹、書痴、ってやつが。ま、今では、殆ど足を洗って、この本で言えば「乱読」状態なんですが。
虚実を伴ったプロローグで、私は幻惑されるんですね。実は、カバーに出ている内容案内に全く気づかず、これはてっきり書痴エッセイだとばかり思っていたわけです。それが、古本屋の主人の名前が北村書店となっているわけで、思わずカバーを見なおしたわけです。古本幻想奇譚集、アッちゃー!ですね、ホント。
以下、愛読、積読、乱読、焼読、印読、孤読、中読、害読、猟読、冒読、逃読、健読、と二文字のタイトルの連作があり、これは北村古書店の主人・拓也54歳が中心になります。日本画の世界もですが。古書業界では50代などは小僧だそうです。うーん、厳しい・・・。最後に別の春画堂古書店ものの「神田橋古本横丁」があって、あとがき、となっています。
沢辺均・斎藤美紀[スタジオ・ポット]の手になる装丁は、安っぽさと爽やかさが絶妙にブレンドされ、街の古書店にぴったりの鄙びたレトロさがあります。こちらとしても、手放しで褒めるわけにはいきませんが、だからといって文句をつけるべきでもありません。絶妙なバランス感覚とでも言いましょうか。そのカバーには
「蔵書印を押して所有欲を満たす男は
彼女の体にもベタベタと・・・・・・、
債権者に追われた社長は
本の一ページに刷り込まれて安らかな顔で・・・・・・、
本の洪水に押し流された男は、
どこを探しても影さえ見つからなかった・・・・・・。
本を愛し、本に淫し、本に魂を奪われた
ビブリオマニアの生態を描く古本幻想奇譚集。」と書いてあります。
各編のタイトルから内容を想像する楽しみがありますね。愛読、積読まではともかく、焼読、印読、中読、害読、冒読、逃読、健読あたりとなると、もうオヤジギャグですが、読めば、おう、そうかと納得いくものばかりです。でも、個人的には「神田橋古本横丁」の純愛がいいかな、そう思います。純愛?と疑問を抱かれる方は、ぜひ読んで確認ください。
あとがき、によれば喜多村は書痴だったそうですが、今では無事、卒業。日夜、滅亡寸前にある貴重な読書人と、その好物たる書物を救おうと、古書業だけではなく出版、文筆へと手を広げているとのこと。特に、文章に対する評価は高く、洛陽の紙価を高めているとか、ウソか誠か藤田まこと、だそうです。はい。
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