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なんか大学生の卒論みたいと思ったら本当に論文が元。
「自分は非当事者である」という自覚が最初は切捨てに見えた。
最後にみた同じ文は、自分と他者を混同しないための自覚にちゃんと見えた。
終章が大事。
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ちゃんと読みました
ひきこもりの人をかわいそうとかは思わないし、
すべてを何かのせいにしているのはよくないと思いました。
逃げれる場所がある、日本社会が豊かな証拠かなと思いました。
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[ 内容 ]
「仲間をつくれ」「働け」。
的はずれを含めた多くの批判にさらされ、「回復」へと駆り立てられるひきこもりの“当事者”たち。
対人関係の獲得や就労の達成という「社会参加」とそうすることの意味のはざまで、「なぜ働くのか/なぜ生きるのか」と彼/彼女らが抱いている不安や焦燥を、聞き取り調査をとおして描き出す。
そして、「自己防衛戦略」や「存在論的不安」などの視点から、“当事者”たちにとって「ひきこもる」とはどのような経験なのかを浮き彫りにする。
必要なのは“当事者”に共感することではなく、むやみに「回復」をめざさせるのでもなく、彼/彼女たちを理解することだと主張・提言する社会学の成果。
[ 目次 ]
第1章 問題意識―フィールドでの経験から
第2章 「ひきこもり」の社会的文脈
第3章 自己防衛戦略としての「ひきこもり」
第4章 自己を語るための語彙の喪失としての「ひきこもり」
第5章 人生における危機/転機としての「ひきこもり」
第6章 問うという営みとしての「ひきこもり」
第7章 生きていくことを覚悟する
第8章 「ひきこもり」再考
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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元ひきこもり当事者…だと思っていたのですが
この本を読み終わった今、私は「元ひきこもり」ではなくある意味現在進行形でひきこもりなのかもしれないと感じました。
様々な論文や記事からの引用を交え、それを根拠として著者の解釈でひきこもり像を捉えておりなかなか読み応えがあります。
(当事者)本人の中の不確かさや微妙なニュアンスを取りこぼさないように丸々伝えたい、というような目的があるのかもしれませんがインタビュー形式での語りの部分は口語がそのまま使われているのでやや読みにくい。
大きく7名?の当事者の経験談が載っているが(個人の大まかな経緯の紹介はあるものの)1人1人に焦点をあてて全てが時系列になっているわけではなく、あくまで各章のテーマの議論の中でAさんの場合やBさんの発言として断片的に散りばめられているので読んでいる途中で「あれAさんってどうして引きこもった人だったっけ?」と自分の中で整理が追いつかなくなり前の章を振り返りながら読まなければならない事が多々あった。
それは「その(ひきこもり)個人」の物語を本にしたかったわけではなく、あくまで「ひきこもり」の共通項を見出したいという著者の本書における方向性故の構成だったように思う。
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本書の目的は、ひきこもり当事者の経験を描き出し、理解すること。ひきこもりとはどういう経験なのか、ひきこもりから回復するとは何を指すのか、という2つの問いを軸に、当事者とのインタビューや斎藤環など専門家たちの言説を素材として、ともすると第三者には理解しづらいひきこもりの「動けなさ」のリアリティをどうすれば理解できるか、考えていく。
人々のふるまいや語りを読み解くことで浮かび上がったパースペクティブを提示する本なので、実態解明ではない点は注意。ゴフマンのスティグマ理論、アーサー・フランクの物語論が面白かった。
■キーフレーズ
経験を理解する 理解≠共感 予防は不可能 長期化が問題 スティグマとパッシング 「いま何してるの?」 自己を語るための語彙 語彙の喪失 「病い」の物語は過去と未来の2つの語りを含む 探求の物語 「とりあえず働いてみる」? 回転寿司の喩え 現実の直視 「動けなさ」の正体 意味よりも意思 存在論的な安心/不安 「生き(続け)ている」こと自体が「生きるか/生きないか」への答え ルーティーンの破綻 「回復」は存在しない、なくてもいい 後期近代と自己アイデンティティ 他者の悪魔化 経験の隔離 「私たち」のまなざしが「かれら」をひきこもらせる 誰も排除せずにすむ、生きやすい社会の構想
■目次
はじめに
第1章 問題意識──フィールドでの経験から
1 はじめに
2 “対人関係の獲得”から“就労の達成”へ
3 〈社会参加〉路線の限界
4 当事者への否定的感情に向き合う
5 本書の課題──「ひきこもり」の当事者の経験を理解する
第2章 「ひきこもり」の社会的文脈
1 一九八〇年代──「無気力化した若者」
2 一九九〇年代──不登校からの分化
3 二〇〇〇年代前半──「ひきこもり」の社会問題化
4 二〇〇四年以降──「ニート」の登場
5 「ひきこもり」からの〈回復〉イメージの変転
第3章 自己防衛戦略としての「ひきこもり」
1 「ひきこもり」というスティグマ
2 生活誌的な匿名性の程度
3 精神的苦痛を助長されうるやりとり
4 自己防衛戦略としての「ひきこもり」
第4章 自己を語るための語彙の喪失としての「ひきこもり」
1 “対人関係の獲得”以後のきつさ
2 コミュニティに参与することの意味
3 自己を語るための語彙の喪失としての「ひきこもり」
4 専門家言説の功罪
第5章 人生における危機/転機としての「ひきこもり」
1 ひきこもるという経験の二面性
2 危機
3 転機
4 振り返って見えてきた危機
5 自己変容の様相
6 「ひきこもり」を“状態”ではなく“過程”と捉える
第6章 問うという営みとしての「ひきこもり」
1 はじめに
2 “対人関係の獲得”その後
3 就労をめぐるジレンマ
4 自己・労働・生を問う
5 問うという営みの必然性
第7章 生きていくことを覚悟する
1 「ここで決めよう、と思ったのね。生きていくか、やめるかをね」
2 「突然、生きたいって、体の声を聞いて」
3 生きていくことを覚悟する
第8章 「ひきこもり」再考
1 存在論的不安としての「ひきこもり」
2 「ひきこもり」からの〈回復〉とは何か
3 〈実存的問題〉としての「ひきこもり」
あとがき