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妖怪手品とは「幽霊出現などの怪異現象を種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽」を表す造語である。
江戸時代、酒の席での素人余興として流行った。それは笑いをとるものであり、天狗を座敷に現してみせると言って身近なもので仮装した人間が出てきたりするくだらなさと意外性の出し物だった。
プロの芸人もたくさん居て、大がかりな仕掛けや科学技術を使って見せ物をしていた。
明治大正になると、文明開化と映画の影響で「幽霊を見るのは神経症」とさげすまれた。
逆に心霊現象や催眠術が流行り、その種が手品であると知らずに信じ込む大衆も多かった。
歌舞伎やお化け屋敷など、種や仕掛けがあるものとわかった上で楽しむ娯楽となっている。
馬鹿馬鹿しいものも面白かったけど、科学技術を使った手品にときめいた。
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妖怪手品とは、おばけだよ、なんて見せてびっくりさせる愉快な技術全般のこと。
その着眼点にグッと来ます。
こんなことして楽しんでた、というだけで十分面白いのですが、話が江戸川乱歩の手品文学に至る。妖怪手品ファン(ているのか)垂涎の一冊なのでは。
そうでない僕は、昔の手品のことを書物に記していた人は偉いなあ、などと、素直な感想を持つのです。
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怪異を現す手品のこと。
巷説百物語の世界だな。
「怪奇現象を作り出す娯楽」というテーマは面白いけれど、内容自体に新鮮味はない。
妖怪手品という切り口で史料を読むのではなく、テーマにあう史料をただ集めるにとどまっている。
見方のみならず集め方にも不十分な感じがする。
たとえば、江戸の芸人を語るには切っても切り離せないはずの身分に言及がない。
テーマから外れる部分をあえて削いだのかもしれないけれど、手が届く部分・興味のある部分しか調べていないように見える。
他の本で読める読み方ばかりだから別にこの本で読まなくてもいいや。
関連
『乞胸 江戸の辻芸人』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4309224547
『手妻のはなし 失われた日本の奇術』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4106036479騙されることを楽しむ
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「池袋の女」が怪異ではなく、同郷の若者によるいたずらとする説を聞いてから、「稲生物怪録」も同じような若者によるいたずら、それも手品を使ったものではないかと考えるようになった。その後?読んだ「手妻のはなし」(藤山新太郎 著)ではタネは明かしていないが、「物怪録」に現れた室内が海になり波が起こる怪異と同様の手品が載っていた。
本書もその書名から「物怪録」の怪異のタネが、載っていないかと思って読んでみた。
障子に多くの眼が現れる怪異がミョウバンを使った”妖怪手品”として紹介されていた。また、「今昔物語」に安倍清明の屋敷の窓が無人で開閉するのは、式神によるものと書かれていることについて、「大江戸奇術考」(泡坂妻夫 著)では、見えない糸で操作しているという話を紹介している。このタネを使えば「物怪録」の室内を飛びまわる刀の怪異も説明できる。
著者が、一般的な手品だけでなく、歌舞伎の大道具、小説のトリックまで、あらゆるものを自身の定義で、「妖怪手品」として捉えるのは、どこかしっくりとこない。たしかに、著者が述べるように江戸時代においては、歌舞伎と手品は今よりはもっと密接な関係があったことには違いないが。
プロの手品師においては、人気を維持するため、タネが大がかり、センセーショナルになるのは仕方ないことだったのだろう。
→手品の前史的な部分で”聊斎志異”に載っている、縄を登っていった者がバラバラになって落ちてきて、それを箱の中に入れると元通りになって復活するというような猟奇的?奇想天外なものをネタとするのは歴史的流れによるのだろうか。
素人の手品としては、手品というよりは現代に通じる宴会芸だろう。
江戸文政・元禄期に発する手品のネタが、明治期になっても引き継がれているのは飽きないというか、よほど好まれていたネタなのか。現代の感覚からすると子どもだましもいいとこで、150年も継続される理由がふしぎに思えるのだが、江戸・明治期の人々にとっては何らかの意義が含まれていたのだろう。
呑馬術には触れていなかった。あれだって妖怪手品といえないか。
当時の手品を考える際に、舞台装置、光と闇を巧みに利用していることは特筆すべきかもしれない、宴会芸においても行燈から少しでも離れてしまえばそこは闇であり、タネを仕掛けることが容易だったことがうかがえる。=馬の脚袋を使ってドクロを作るなど。
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天狗を出す手品のタネが、天狗に変装することとか、ひっくり返りそうになるもので、面白い。
きっと電灯がなく今よりも薄暗い空間では、そんなのでも十分に通用したんだろうね。
総じて面白いのだけど、最後の乱歩の章はいらなかったのでは。。。