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一人の日本人をよくここまで調べたな!と感心しちゃうほど、主役の人生を歴史とともに描いている。おもしろいし勉強になった。
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かなりおもしろかった。 早田英志(エメラルド・カウボーイ)が映画になる位ならこの本の主人公・中根中と疋田保一もアップリンク配給でイケル筈。
例えばナチス政権下のユダヤ弾圧は有名だけど同じようにジプシーも弾圧されていたことはあんまり我々日本人には馴染みがなかったり。
おんなじようにこの本ではこの2人を通して「アメリカでの大戦時の日系人」の弾圧なんかも見て取れるのんがおもしろかったデス。
またそれだけじゃなく、日系1世、2世、キリスト教徒、黒人(ハーレムのインテリとデトロイトの貧民)とかの様々な境遇によっての思想の違いなんかが丁寧に書かれてて勉強になる。
多様性!
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中根中のことはたまたま見たwikipediaで知った。戦前のアメリカで黒人権利運動の指導者となりFBIにマークされた日本人がいた?日本のスパイなのか?それとも信念を持っての活動なのか?概要を読んだだけで、大変興味をそそられた。
まず思い出したのは地の塩運動の創始者である江口秦一のことだった。自堕落とも破天荒ともいえる生活を送っていたキリスト教者が、ある時から利他的な運動に自分の全てを犠牲にして邁進し、現実の前に敗れ去る、という人生の物語が似ているのではないかと思ったからだ。
実際、この二人はキリスト教をバックグラウンドにしていながら、ばくち、放蕩三昧、女性関係にだらしないところなど共通点が多い。そんな人がなぜ運動に身を投じるのか?その人生の変遷に興味がある。
だからこの本を読んだ。中根中の人生を知りたいと思った。著者は調査や取材に膨大な時間と手間をかけたと思う。そこで知り得たことを全て書きたくなる気持ちはよくわかる。でもこらえて欲しかった。当時の社会・時代背景や関連人物といったことを書くのは必要だ。でも、その枝葉の部分を書き過ぎている。そのせいで焦点がぼやけてしまった。題材がおもしろいだけにもったいない。正直、Wikipediaを読めば済んでしまう内容だと思う。愛人だったチーバーとの出会いを描いた場面はスリリングだったから、取材ドキュメントみたいな形で書いたらどうだったろう。あるいは、端正で無駄のない文章を書く吉村昭だったらどう描いただろう。そんなことを考えてしまった。