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恐怖と絶望の最終章
2020/06/26 20:16
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕間や地の文で恐怖映画のうんちくを傾けているだけはある。視点と対象の間の詰め方が最高だ。
廊下を折れた先にはなにがいるのか・・・この緊張感とスリルは本当にたまらない。
文字通り息が詰まる、生唾を飲み込む。
ただ、作者の自認する「ホラー・ミステリの融合」はちょっと誇大かな?とは思う。
なんだか詰め込みすぎて消化不良の箇所も少なくない。
祭園の園長でいてペドフィリア(医学的にはエフェボフィリア/思春期性愛者が正しいか?)の隆利の奇行も恐ろしい。
一代で巨万では収まらない富を築きながら事業の全容は全く分からない。
ジェフリー・エプスタインのような事業が収入の柱だったと考えれば、養子(借金のカタとして…)の調達に手間は掛からないだろう。
安定した高収益を維持できる仕掛けも、祭園から突然子供が消える理由も納得である。
奈津江が邪険にされ忌避された理由を考えると吐き気を催しそうだ。
だから三紀弥のように聡くなければ生きて行かれず、自衛のためなら人殺しもためらいがないのか…。
異常性愛の実父と殺人に抵抗のない実弟に挟まれた奈津江に本当の恐怖が襲いかかる。まだ狐憑きの方がマシだったように思ってしまうのだ・・・。
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ホラー面の怖さがもうひとつ。あとがきにもあるが、同じモチーフをいかに料理するかに注目すると、おもしろかった。
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三部作 第3弾!
今回は怪異なのか?人のなせることなのか?
狭間をゆらゆらと・・・
偶然ではあるが「びっくり館の殺人」も子供目線の作品だった。
夏休みに読むにはいかもしれない
子供たちにおすすめの1冊
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禍家、凶宅に続く、家シリーズの第三弾。
お稲荷さまに関わりのある6歳の少女が主人公。ある事件から身寄りをなくした少女は、祭園という養子に出された子供たちが暮らす家に迎えられる。
全体の雰囲気はホラー>ミステリだけど終盤からミステリ色が強めに。
もっとお稲荷様を出してほしかったなー。とか、そこから先が知りたい!とか読み終えたあとに思うところは出てくるけど、雰囲気が好きだったので★5つ。
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育て親が死んで生みの親の施設に引き取られたナズエ。狐憑きの血筋と言うファンタジーな設定。捨てられたと思った弟が助けてくれた。怖そうに書いていたがいい話だと思った。
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家シリーズで、狐憑きの話なんだが、ミステリ度が高い。だから今作はミステリに分類しておきます。
ホラー部分は例によってしっかり怖いんですけども「灰色の女」の謎解きの方が気にかかって、怖がってらんないというかなんというかw
んでも、ホラーに気をとられずにミステリだと思って読んでれば、謎解きの方は読んでるうちにわかってくるかな。
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「家」シリーズの第三段。
シリーズでは、最年少の6歳の女の子。
そして、シリーズの中で、不自然なくらいにシッカリしている。
三津田お得意の「ナニカ」的なものは出てこない。
ま、終り方は、いつもの三津田で好きなのではあるけど・・・。
やっぱり、主人公の設定年齢が引っかかる。
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「家」シリーズ3部作の中では最もホラー度が低いというか、その分謎解きの要素が強まっているような。三津田作品ではおなじみの“それ”っぽいものは登場するものの、合理的なタネが用意されているし。
他の方のレビューにもあったけれど、狐憑きや稲荷信仰などの要素をもっと使ってほしかったというか、それを使ってもっと怖くできたんじゃないかと思う。
著者は、今回は純ホラーでなく『ホラー風ミステリ』を書きたかったのかもしれないけれど、それは刀城言耶シリーズとか他でやってるわけで、このシリーズではストレートなホラーを読みたかったというのが素直な感想。
詳細はこちらに。
http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2011-03-23-1
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「家」シリーズのホラーミステリ。今回もぞくぞくと迫り来る恐怖と、魅力的な謎がいっぱいです。
廻り家のシーンが怖い。とにかく怖い! 肝試しで何かに追われるシーンの恐怖感は圧巻です。夜中に一人で読んではいけません。だけど……真相が分かった後で読んでも、それはそれで怖いんだよね。あ、あのシーンでああなったのか、って思うと……!
「灰色の女」の謎、奈津江の出生の謎、といったあたりは終盤になるとだいたい分かってきて。そう驚きでもないかな、と思ったところにラストの展開。まさか!
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子供たちしっかりし過ぎだろ。
今回はどっちかというとミステリ寄りかしら。
相変わらず擬音は素晴らしい。
ひた、ひた、ひたっ……
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三津田信三の家シリーズ3作目
ホラーとしての怖さに欠ける部分が非常に残念
怖そうな設定、怖そうな演出は成されているが、
主人公に感情移入出来なかった為にあっさり読めてしまいました。
また小説のテンポとしても中盤のイベントが前後を圧迫し過ぎていると言うか、バランスが悪かった様に感じる。
好きな著者の作品で、期待が大きかった分減点要素が大きくなりました。
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大好物の三津田ホラー。
でも、この作品は何か薄い印象。
凄惨な悲劇は物語の序盤から炸裂してるのに、いつもの厭味、湿度が不十分な気がした。
でも、やはりそこは三津田ホラー。肝試しのシーンは切羽詰まる怖さを堪能。
どうやって赤子だったあの子は助かったの?が最大の謎。
満足はしました。
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家シリーズ第3弾です。
前2作と似た設定ですが、趣が違います。
謎の施設で繰り広げられる事件が不気味です。
相変わらずのミステリとホラーの融合ですが、この作品はミステリ色が強く出ています。
やはり最後が、不気味な終わり方です。
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「禍家」や、「凶宅」と同様、幼い子供が引っ越しをきっかけに怪異に巻き込まれていくシリーズの一つ。
今回の主役は6歳の女の子であり、「お狐様」からのお告げにより、失くし物を探すことができるという不思議な力を持っている。父親と母親が亡くなった後に、姉と名乗る深咲から、自分の親は義理の親で、狐使いの血を引いていると伝えられ、「祭園」という孤児園のような施設に入る。
シリーズに共通する問題かもしれないが、主人公が6歳にしては大人びているが、特殊な血筋であるから、ということで一応説明はつけられている。
今回少女が対面する怪異は「灰色の女」なのだが、最初はこの「灰色の女」がオカルト的な、超自然的なものなのか、それとも現実の人間が幽霊に扮している現実的な事件であるのかを探るために物語が進んでいく。
結局これの正体は超自然的な存在の「母親の幽霊」ではなく、現実の存在「園の子どもたち」であると明らかにされるのだが、真の恐怖が襲いかかるのはその後。
まず、姉だと名乗っていた19歳の深咲が、実は自分の母親であり、父親は深咲の父親であるという。性的なことがわからない少女でも、これは怪異への恐怖ではなく、とても身近な、現実的な恐怖であるとわかる。母は少女のために園の子どもたちを殺し、少女を狐使いとして覚醒させるために、恐怖や絶望を与えているのだという。実の母が、自分のために殺人を犯していたという事実は幼い子どもにとっては恐怖だろう。これも現実的な恐怖。
さらに、心を許していた園の少年の一人が姉(母)を殺し、自分は捨てられた双子の片割れだという。現実的な母親に対する恐怖は去ったが、2人揃うと災いを招くという「陰の狐使い」が揃ってしまった。実際、目の前の「弟」は少女のためとはいえ「母親」を殺してしまったし、連続殺人事件が起きてしまったのも、自分が園に来たせいとも言える。
得体のしれない「弟」と自分に対する恐怖は、超自然的な「狐憑き」に対する恐怖。
さらに、19歳だった深咲の母親(少女から見たら祖母か?)に手を出し、13歳だった実の娘、深咲に手を出し、園の少女にも手を出していた「父親」はまだ生きている。
幼い頃の深咲とそっくりである少女が、成長した際に父親から手を出されないとは限らない。これは極めて現実的な恐怖である。
少女のために行動していた、「母親」は「弟」に殺された以上、将来少女は「父親」と「弟」、「現実」と「ホラー」、2つの恐怖に晒される羽目になるのではないか。
そんな、将来への恐怖が想像されるとても怖い話だった。
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ホラーという視点を使った謎解き。
ミステリ小説のように犯人を探すというよりは、深まる謎とそれを解き明かしてゆく恐怖に中心が置かれた作品である。
とはいえ、三津田作品のファンなので、読み進めながら本当の母親はあの人ではないだようか、灰色の女は子供たちの誰かではないだろうか、と考えながらも呼んでいた。半分くらいは当たっていたと思う。
最後、私は嬉しい、良かった生きてて!という気持ちで終わるのかと思いきや「厭な笑い」という表現でその心情やその先を暗示して終わるのがなんともホラーだと思った。
最後に、やはりホラーとミステリが融合している作品はおもしろい。ちゃんと謎のままの部分(ホラー部分)とオチをつけるところは完結させているところが良いと私は思います。