紙の本
薬についての最適な門前書。
2016/02/09 23:09
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投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「この人は、公平だ」医療従事者である私が思った読後感がこれです。
薬は毒だから飲まない方がいいとか、薬に関しては極端な本が多い中でクールな分析がもたらされた本です。
もしですね「8割の人に効果のある薬です」って言われると、例えば掃除機みたいに自分の買った掃除機がひょっとしたら動かないかもしれないって、普通はないですよね?満足のいく結果が得られないと、薬は悪者だと罵りたくなります。
新薬創出の現場では理由はわからなくても薬の効用が見つかればいいと考えられて研究開発が行われています。一般的に有名なアセトアミノフェンという解熱剤がなんで効くのか?ってのは今のところ詳しい機序はわかっていません。「ひとまずやってみよう、数多くの実験を行えば、その中で一つは正解が見つかるだろう」という心理があるわけです。
「そんないい加減な!」って思うかもしれませんが、とにかく効いてくれたら、もし副作用とトレードオフでも利益が上回っていたらいいというのがベッドサイドに横たわる人の願いであります。
政府はジェネリックを推進することで医療費削減を望んでいます。で、ジェネリックは安いとか、そのメリットはTV画面を通じて見れば、十分PRされているのですが、そのデメリットってのは公平に伝達されているとは言えません。
慢性腎不全の治療薬として用いるある薬によって、逆に速いペースで腎不全が進行したことがあり、品質問題に関しての悪いイメージが残っていること、日本では、もともとの自己負担額が少ないからジェネリックにしてもそんなにお得感がない。薬の有効成分の特許が切れても、製剤に関する効果があります。例えば、湿布剤が伸びてくれないなど、使い勝手の差があります。そして、過去に良かったから、この薬を使い続けたいという「こだわり」もあります。
とはいえ、ジェネリックは悪者でもなく、ジェネリックにしてよかった例も挙げています。
医療は情報の非対称性があり、専門家からの父権主義から「あなたの自己判断ですよ」っていうセルフメディケーションとか、自分で考えて選択し、判断するという悪く言っちゃ「丸投げ」があるのですが、とはいえ、病院は敷居が高いです。待ち時間とかあるし。アメリカでは薬剤師が無料で市民の相談を無料で行ってくれる何でも話せる身近な存在として活躍し、地域の薬剤師が患者さんの健康を総合的に見るという役割を担っているそうです。
著者が先輩薬剤師から言われた忘れられない言葉として「君は、これまでにどれだけの患者さんを救ってきたの?」という言葉が載っています。薬剤師という職業上、疑義照会というチェッカーとしての役割が薬剤師にはあるのですが、医療事故を未然に防いだり、薬の受け止め方から、患者の深層が垣間見えたりします。
医療用麻薬を拒否するのは、麻薬が怖いという知識不足からじゃなくて、麻薬を使わないといけないくらい症状が進行しているということを認めたくない、とか。
一般の人にわかるように不特定多数の読者を想定した「書き方」になっています。この筆致に触れるだけでも、筆者のみんなにセルフメディケーションを考えてほしい、っていう本気度が伝わってくる良書であると考えます。
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若い薬剤師が書いた薬と薬局・薬剤師の本。前半は、薬が人体に作用する仕組みの解説で、例えば、同じ症状に効く薬であっても各薬特有の半減期によって服用方法が異なるといった、知っているようで知らないことが結構多く、勉強になった。後半は、セルフメディケーションの勧めというか、薬剤師をうまく使って自分で健康管理をしようという提言。最後に、ネット販売より対面販売の方が優れているという主張が出てきて、「やっぱり薬剤師の本だからそうなるか」的な部分があるが、分量的にも主張のトーンも控えめ。本書全体を通してみれば、有益な内容が圧倒的に多い。
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薬の使い方や効果など、一般の人でもわかりやすく書かれていて参考になったが、薬が対症療法にとどまり根本療法でないし、どうしたら薬を使わない体になれるのかまで踏み込んでほしかった。
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薬が効くしくみを真面目に解説してくれる本。素人でもとてもわかりやく、読みやすい。薬とはいったい何なのか、そのしくみ、メリット・デメリットについて語れるようになる。ジェネリック医薬品と先発薬の違いなどについても詳しく書かれ、欲しい知識が効率的に得られたと思う。日々の生活にも役立つ。
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良書。
著者の薬剤師としての誠実な仕事ぶりがうかがえる。
なんで薬が効くのか分かり易い。
薬は、病気そのものを治すのは細菌性の抗生物質くらいで、あとは対処療法が殆どらしい。
薬には、必ず副作用があるので注意が必要。
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専門用語が出てくるの解説が分かりやすい
セルフメディケーションの重要さ説明されている
後発医薬品の説明は特に詳しい
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薬はなぜ飲み薬とか注射とか座薬とか、使用方法が違うのか判った。飲み薬は分子が500個位までしか、体に取り入れられない。大きく複雑な分子構造の薬は、従って注射など。グルコサミンコンドロイチンが経口摂取では、成分を取り入れる効果はゼロであることも理解できた。ただプラセボ効果は有るとのこと。だから飲みたい人にはグルコサミンの入れ物に、ミネラルサプリでも入れて渡せば良いのだろう。その他ワクチンや薬品認可のことも知ることができた。特に妊婦は市販薬でも胎児に重大な影響がある場合があるそう。妊婦は面倒でも病院で診察を受けるべき。
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この著者のメルマガ読者きっかけでこの本を手に取りました。メルマガは少し上から目線というかスタンスがあまり好きでなく解約したのですが、この本はそんな違和感もなくとても役に立ちました。もともと中医に興味があったこと、読んでいる間インフルエンザでたくさんの薬を飲んでいたことなどもありましたが。薬剤師にこれからなるのは費用対効果ほかを考えても難しいですが、登録販売者は少し勉強してみようかなと思っています
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なぜあなたの薬は効かないのか
あおったタイトルなのでいわゆる現代医学批判書かと思いきや、極めて真面目な薬の入門書。
書いてある内容は下記のような事項。
くすりがきくのはなぜか
副作用がなぜ起こるのか
薬が体中でどう処理されるか
薬害はなぜおきるか
ジェネリック医薬品の功罪
薬においてもメリットとデメリットを正確にあげて、客観的に見ている。薬害に関しても
人体のなかで薬がどう反応するかはブラックボックス的な部分がある
いくら臨床試験をしても被験者の人数に限界がある以上、完全な予測はできない
ゼロリスクはない
メリットとデメリットを天秤にかける
ときわめて客観的な視点。こういったことは一般人としても知っておく必要があるだろう
逆にタイトルにつられて「薬不要論」を期待すると期待外れに終わるかもしれない。
薬の具体的な化学反応についても書いてあるので、その部分は難しいが、
薬の概要がわかるので入門書的にさらっと読むにはいいかも。
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本書で得た知識があれば、意思・薬剤師などの専門家が発する難解な言葉も、ある程度は理解できるようになっていることでしょう。そして、薬剤師に対しても一歩踏み込んだ質問ができるようになっているはずです。毎日の健康は、まずは自分や家族などが服用している薬について知ることから始まります。そのためには、「いつでも」「無料で」「真摯に」対応してくれる健康アドバイザーを確保する必要があります。これに最も適している職種が「地域の薬剤師」です。それを見つけ、自分の健康を自分で管理する術を獲得できるようになって初めて、真のセルフメディケーションが完結します。