紙の本
歴史の考え方がよくわかる
2017/03/18 22:07
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投稿者:K2 - この投稿者のレビュー一覧を見る
序章と終章を除いて、4つの章立てで構成されている。このうち核心となるのは、第2章だと受け取った。歴史の法則性の問題、時代の特性の大切さ、時代区分の意味や背景など、学校の歴史の授業では習ってこなかったことが、筋道を立てて解説される。第4章では、古代から近代までの歴史の流れの要点が、著者独自の視点で整理されている。これから歴史を学ぶ若い人に、是非とも読んでもらいたい1冊だ。
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愉しめる史学概論序論
2016/01/15 09:18
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投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
史学概論と重なる部分と著者も少し書いておられるが、やはり高校までの日本史とは少し異なったものである。
歴史用語の意味、時代区分の考え方、研究動向の話が語られており、歴史小説好きとは一線を画した歴史ものである。
どこかでこういうものを読むことになるのだろう。でも忘れてしまいますが、歴史好きでも頭の整理にはいいですね。
面白いのはまず触れる人がいない岡田英弘氏や渡辺京二さんに触れている点である。反唯物h史観としてではある。
著者のスタンスは極論嫌いだけでありうまく泳いでる。
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歴史の見方を学べる
2014/06/07 23:51
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投稿者:ふとっちょパパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう先生に習うと歴史も面白いのだろうが、多くは居ないのではないかな。
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歴史的思考力を養おう!
2014/02/18 21:19
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投稿者:とーるさん2 - この投稿者のレビュー一覧を見る
わかりやすい文章ながら内容の充実した一冊。頷きながら本のページをめくり、歴史の流れが理解でき、他の歴史本も読みたくなります。
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歴史的思考力って何?
2013/12/15 10:50
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史知識の詰め込みにすぎない高校教育のせいで、日本史を嫌いになった方はたくさんいると思います。私もそうでした。
本書を読めば、歴史を学ぶ視点を知ることができ、視野が広がるでしょう。例えば第三章では「天皇の血筋」というキーワードのみで、古代史(ヤマト政権から武士の登場まで)をつかむ試みを行っています。第四章では三つの武家政権をざっくりと把握することで、鎌倉時代から日露戦争までをつかむ試みです。歴史の単純化には問題もありますが、多様な視点を知っておけば、暗記のみの不毛な勉強から脱することができ、日本史が面白くなるでしょう。
また、歴史をつかむにあたっての注意点も明らかにしています。すなわち、「史料もなく、思い込みだけで歴史を研究することなどできない(47ページ)」「現代の感覚で安易に過去を見ないことが大切(53ページ)」「史実をパズルのように組み合わせて独りよがりの解釈をする人がいる(53ページ)」「さまざまな史実の中で都合の良い部分だけを抜き出して、特定の人物を礼賛するのも戒めるべき(54ページ)」等々。
「史料至上主義では本当の歴史は解明できない」と主張し、珍説・奇説を集めてきては「逆説だ!」と歴史家を気どっている小説家に、つい最近まで傾倒していた自分を恥ずかしく思いました。
しかし、紙幅の都合という理由で、近現代史を端折るのはいかがなものでしょうか。つまり、終章で「歴史的思考力とは、現代に起こる事象を孤立したものではなく、歴史的な視野の中で考えていくということ(251ページ)」と結論づけています。私はこの結論を勘案すると、他の時代を省略してでも近現代史の視点を示すべきだったと思います。残念ながら、山本氏は近現代史から逃げてしまいました。読者に自習しなさいということでしょうか。これでは中学・高校の授業と同じだと思いました。
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歴史をつかむ技法そのものは、史料の価値を見極め、現代の価値観によらず当時の事情に照らして虚心坦懐に読み込むこと。とすると、歴史研究家ではない自分のような対象には余り関係がないことと感じられた。
一方で、日本史の単なる年号や事件の知識の向こうにある因果の流れや時代背景が概観できたほか、歴史小説の位置づけや歴史観についても学ぶところが多かった。
4-10
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曖昧なまま覚えて、歴史を勉強しようとすると定義がよく分からなくて困惑する時代区分の解説、歴史小説と時代小説、歴史学の違い等、歴史を学習する上で躓きやすい部分が、学者らしい真摯な文で書かれています。
「現代の感覚で歴史を見ない」ことを心掛けていたつもりですが、この本を読んでまだまだ現代視点が抜けていないのが自覚できました。私もまだまだ。
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歴史書ではなく「歴史の読み方」の本。教科書に載っている歴史はあくまでもある時点での仮定の話であり、絶対的な事実ではないことをまず認識しなくてはならない。その上でどうしてそのように歴史が動いたのかを深く洞察することが肝要。現代の常識に囚われず、その当時の人物の行動を形づくっていた規範は何だったのか。そこがわかると随分と歴史の見え方は変わってくる。どの国でも、いつの時代も、為政者は自分を正当化するように歴史を書き替える。そのことを意識して文献に当たらることも大切。天皇制の正統も、明治以降に作られたものである可能性は非常に高い。それを非難するのではなく「そういうものだ」と仮定した上で歴史を読み解くと、より客観的な視座が獲得できるだろう。
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歴史の評価はその時々の社会や環境によって変化する。
その時の事実をしっかり捉える。それがぶれない歴史なのだと思う。
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最近、鎌倉幕府成立の年号は「イイクニ(1192)作ろう」より「イイハコ(1185)作ろう」で覚えるらしい。また、聖徳太子はただのボンクラ御曹司だったらしい。
学生時代の日本史授業で習ってきた常識が否定されることがよくある。それは新しい史実が発見されたのではなく、歴史の考え方が変わったからだ。つまり、「歴史学」が発展したから。
では、「歴史学」とは何か。今そこにある史実をコツコツと分析、研究することで、新たな歴史の見方を発見することだ。世紀の大発見によって新たな歴史を掘り出すというドラマチックさはない。
しかし、「イイクニ」を「イイハコ」に変えたことは、かなりのインパクトだ。改めて、歴史のおもしろさに注目が集まっているこのご時世、「歴史」ではなく、「歴史学」にスポットを当てた歴史学入門書。
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知識偏重の傾向にある学校教育と比べこの本は「歴史的思考力を磨く」事に焦点を当てている。歴史小説と歴史学の違いの話は面白い。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou27801.html
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≪目次≫
序章 歴史を学んだ実感がない?
第1章 歴史のとらえ方
第2章 歴史の法則と時代区分
第3章 日本史を動かした「血筋」
第4章 日本の変貌と三つの武家政権
終章 歴史はどう考えられてきたか
≪内容≫
近世史の泰斗による日本史のつかみ方、の本。あまり期待していなかったのですが、高校生に読ませたい本です(一度通史をやった後に)。
序章と第1章は、歴史用語や日本史そのものについて、教科書と歴史小説などの書き方や実際の歴史との違い、等を指摘。第3,4章は御苦労なことに、「ざっくり日本史」をまとめてくれています。その中で通説と現在の最新の学説を並べてくれています。終章では、「歴史」というものの見方を「歴史学」として考えるときに必要な知識と「自由主義史観」「司馬史観」などの問題点を挙げています。
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後半の、日本史を大局的に要約した部分は、まとまり過ぎで面白みがなかった。これではただのダイジェスト。
歴史の見方を論じた前半は面白かったが、全体的に少し浅い気がする
やはり通史として日本史をまとめるのはこの規模の本では無理があるかな。
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タイトルと内容はちょっとずれてますね。
山川の教科書を大人向けに書き直した(と言いつつ、ほぼそのまま)の例のシリーズが売れていることに焦りを感じて、変な汗をかいてしまってる。
内容としては、歴史研究を仕事としている人たちは、どうやって歴史を紐解いているのか。教科書に淡々と書かれた史実は、何を起源にどうやって事実と認められてきたのか、という歴史研究の裏舞台を語ることが本編。
その題材として、魏志倭人伝を拠り所にした古代、正史を持つ平安時代、私的な記録も多い戦国時代などを扱っている感じ。
一応、歴の流れというか、普遍的な何かを知りたい、という(山川本を意識した想定上の)読者の問には答えようとはしているんだけど、オマケっぽさはある。
歴史そのものではなく、歴史研究について知るにはとても良い本だと思いました。年寄り向けじゃななくて、未来の学者に向けて書いた本として、魅力的なタイトルつけて売れないかなぁ……。
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技法についてというよりも、著者の歴史認識や解釈が展開されている。よって、これもひとつの主観であり、あらためて歴史認識や解釈の難しさを痛感した。そもそも正解などないのかもしれないが。
一応、大学の先生らしく中立性や相対性は意識されており、概ねマジメな本ではる。が、歴史学者として非科学的・感情的・ロマン主義的な歴史ドラマや歴史小説に対しては、敵対心も感じられた。この類は歴史に興味を持つきっかけになれば、悪くはないとは思うのだが、学者としては歴史的事実とは異なる似非物語として流布する事に許せない部分もあるのだろう。