紙の本
恋愛は究極のエゴであることを、献身という反対のベクトルで描く
2010/09/30 20:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
所詮、恋愛は「エゴ」である。
3年社内恋愛していた彼女と別れ、アルバイトではいった女の子と付き合い始めた主人公。が、アルバイトの女の子は、精神を病んでいって…。
救いは、主人公が自分を卑下したり、言い訳したり、誤魔化したりはしてないことだろう。
が、結局は、この主人公の優柔不断さや頑なさが、二人の女性を不幸にしたとしか思えない。
人間が生きて行くには、自分の人生を立て直すには、「嘘」だって必要なのだ。が、主人公にはそういう優しさがない。
病んだ恋人に尽くす優しさはある。
が、だからこそ、結婚するという決断はできない。いや、せめて同棲しただけでも、彼女の気持ちは安定したんじゃないかと思うんだが。
まぁ、ああすればよかったんじゃない、と思うのは、所詮第三者が外から見てるからであって、当事者はどんどん視野が狭くなってにっちもさっちもいかなくなるのだろう。
うむ。案外、これは恋愛の反面教師的な作品なのかもしれない。
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切ない3人の恋。
三角関係から成る見えない負の連鎖と、一向に終わることのない病的な主人公の献身ぷりが、本当にいたたまれない。
ここまでして一体何がこの人たちのプラスになるんだろうかと、すごく疑問に思うほど、ある意味異常なほど。
こういう愛の形もきっとあるとは思うけど、現実はとても辛いはず。
たまに比喩表現が突飛なのもあるけれど、切ないラブストーリーとしてはありですね。
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大崎さんの作品が好きだ。切なさが胸を突く。どれも不器用でいびつな優しさに溢れている。
それにしても、大崎さんの主人公は人生に迷子(?)になると、ヨーロッパに行く傾向がある…。
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評価が分かれる作品だと思う。
その分かれ目は、
「こんな恋愛を、アリだと思うか、ナシだと思うか」
主人公の良、彼と関わる二人の女性、由布子と由香。
彼らの恋愛はあまりに不器用で、彼らはあまりに不完全な人間だから。
けれど、恋愛とはある人にとってはそういうものなのだ、と思えば納得がいく。
「恋は盲目」である。理不尽であることが、ある意味で理に適っている。
完全でない、と言うにはあまりに不完全で、理不尽な、3人の物語。けれど、完全な恋愛、完全な人間なんて、きっとない。
印象に残っているのは、山手線と、白い薔薇のくだり。
私がこの本に強く心を揺さぶられるのは、この話が恋愛の話だからではなく、その背後にある生と死、孤独、虚無、そして愛、その狭間で揺れ動く、不安定な心を描いているからだ。
☆-1は、他の方も書かれているようにやはり時系列がわかりにくい(あえてそうしているのだろうが)のと、時々出てくる音楽が私にはわからないので。わかる人にはすごく効果的なものでしょう。
話としては、すごく好きです。
http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-373.html
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悲恋の話で、ラストに向けて喪失感がじわじわと胸を締め付ける話です。
最後の最後、美術館のノートに書いた由布子の言葉で感極まりました。
文章はいつもとおり大崎節の聞いている恋愛小説です。
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同僚の恋人との三年越しの恋愛にけりをつけた僕は、アルバイトの由布子と付き合うことに。しかし愛の歯車はそのときから少しずつ狂い始める・・・。蝕まれる心と身体、公私にわたって逼迫する生活。心を閉ざし壊れていく恋人を見守り、献身的に尽くす僕の日々に突然の別れが押し寄せたとき、脳裏には美しい白鳥の歌声がこだましていた・・・。狂おしいまでの情熱に駆けられラスト1ページまで突き抜ける、哀しみのラブストーリー。(背表紙より)
泣きました・・。電車の中で、最後、どうしようかと思っちゃいました・・。泣いたら恥ずかしいぞ~と。笑。でもでも、本当に、切ないお話でした。普通の恋愛小説じゃない・・と読み始めて、これがどうして。大崎さんの物語はそうしていつもこうなのでしょう・・。とてもきれいな、切なさいっぱいの透明なものがたり。続きが読みたくて、仕事中にも思い出してしまうような、こんな本です。
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スワンソング、それは白鳥が死の間際に発するおそろしく美しい声のこと――。
救いのない内容に、涙なしには読めなかった。
自分の過去と重なってしまって、途中、苦しくて、苦しくてしょうがなかった。
普通に恋愛ができないなんて。
普通に恋愛を終わらせることができないなんて。
そう思いつつ、自分だってそうだったじゃん、と自嘲的な気持ちに。
「暗闇にいる由香に手を差し伸べることはもうできない、由香が一人で抜け出すしかない」
というくだりがあったけれど、これは絶対に違うと思った。
良がしなければいけなかったことは、由香に対して誠実に向き合うことだったと思う。
それをしないで逃げていながら、よくもまあこんなことが言えるねと、怒りに似た思いが湧くのを抑えられなかった。
壊れてしまうまで相手と向き合わないような男性は信じられない。
もちろん、男性だけでなく、女性もね。
でもそれは理想論であって、向き合ってくれる人なんてたかが知れている気がするのだけれど。
人間、誰だって強くない。
支えられることで、愛されることで、人は変われるものだと思う。
自分ではない誰かに存在を認められることで、人生がつなぎとめられる瞬間は確かにあるから。
でも、それを信じきってしまったら、失えなくなってしまう。
信じきれないわずかな疑念や、失うことへの恐怖の狭間で、動けなくなるまで足掻き続けるしかなくなるし、どこかで自分の足で歩き始めなくては、永遠に綱渡りをするしかない。
難しいね。
忘れていた痛みを少し思い出させてくれた小説だった。
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ツェッペリンからタイトルを取った。三角関係の末、どうしようもなく悲惨に終る物語。こうなる前になんとかならなかったのか…とも思うけれど、どうしようもないことって、確かに、あるよなあ。
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落ちたー。大好きな大崎さん、またノンストップで
読めました。
これは、好きとか愛するとかそういうレベルじゃない。
ソウルレベルの話な気がする。
あそこまで、誰かのことを想えて、例え不幸な結果に
終わったとしても、それはすっごい尊いことだと思う。
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切ないな〜けっこうきついお話。
この人の物語は容赦ないです。
長野の冬のピュアな感じが美しくて、壮絶すぎるラブストーリーが心を打ちます。
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『スワンソング』(大崎善生、2010年、角川文庫)
恋愛のもつれからドロドロになった人間関係と、それを乗り越えようとする愛の葛藤を描いた小説。悲しい恋愛小説となっている。
3年間付き合った同じ職場の女性と別れて、同じ職場の年下の女の子に恋をしてしまったことによる恋愛のもつれ。その恋愛のもつれがもたらした悲惨な結果。それにもかかわらず、それを乗り越えようとする愛。そして愛の限界。愛は万能ではない、愛にも別れは訪れる。。。小説の中での疑似体験にとどめておきたい。。
(2010年10月28日 大学院生)
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可もなく、不可もなく、な評価。
特に過去に読んだ本と類似していたわけではなく、
強い強い感情を持つ登場人物の愛の物語で
イタイとさえ思うくらいだった。
はまることができなかったせいかスローペースでしか
読めなかった。
この主人公は、幸せな人生だと
自分の人生を後で振り返ることができるのだろうか。
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とてもよくまとまってる。収束する。収束する。収束する。それはきっとストーリーの求心力。
どこか遠くへ向かうわけではない、毎日の循環が、自分を違う場所へ連れていく。それって無意識の日常なんだろうな。
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所詮、恋愛は「エゴ」である。
3年社内恋愛していた彼女と別れ、アルバイトではいった女の子と付き合い始めた主人公。が、アルバイトの女の子は、精神を病んでいって…。
救いは、主人公が自分を卑下したり、言い訳したり、誤魔化したりはしてないことだろう。
が、結局は、この主人公の優柔不断さや頑なさが、二人の女性を不幸にしたとしか思えない。
人間が生きて行くには、自分の人生を立て直すには、「嘘」だって必要なのだ。が、主人公にはそういう優しさがない。
病んだ恋人に尽くす優しさはある。
が、だからこそ、結婚するという決断はできない。いや、せめて同棲しただけでも、彼女の気持ちは安定したんじゃないかと思うんだが。
まぁ、ああすればよかったんじゃない、と思うのは、所詮第三者が外から見てるからであって、当事者はどんどん視野が狭くなってにっちもさっちもいかなくなるのだろう。
うむ。案外、これは恋愛の反面教師的な作品なのかもしれない。
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(引用)
「山手線と同じことだよ。満員電車のね」
「なにも恐れることなんかない。簡単なこと。降りる人がいるから、誰かが乗ることができる」