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紙の本
どこか物悲しいお話
2003/02/23 20:52
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エリック@ - この投稿者のレビュー一覧を見る
冬目景氏のエニックス初作品。
冬目氏は、先日完結した「羊のうた」に代表されるように、主に青年誌において有名な漫画家であるが、少年誌での連載はこのガンガンコミックスが初めて。
元々作柄が対象年齢高めに設定されているので、連載作品としては少年漫画に適していないという印象が強い。本作についても、その例に漏れず、少年誌に載せるには少し難しいのではないかと感じた。
作品のキーワードは「不死」。蘇生の技を持つ一族の末裔である少女と平凡な少年である主人公との交流を通じて、生命とその死についてが描かれている。その性質上、物語の詳細についての評は省くが、テーマが難しい反面、これまでの冬目作品に比べると、普通に読む分には比較的読みやすい。これには主人公が少年ということも関係しているだろうが、少年誌ならではの配慮とも取れる。
また、画力が際立って高い同氏なので、ハードカバーの表紙とカラーイラストだけで買う価値はあるといえる。実際、著者本人が驚くほどに豪華な装丁がなされており、900円という破格の値段も頷けよう。
ただし、著者の思惑がどこにあるにせよ、それでもやはり少年誌に載せるには扱いが難しすぎるとも感じた。「時代も国も定めない。リアルでもファンタジーでもない」という世界観が本作の作品像らしいが、少年ガンガンで連載されている他の作品の中では明らかに浮いているし、連載にあたって物語の対象年齢を「何とか、無理やり」落としたのではないか、という印象もそこかしこで受ける。演出的に勿体無いと感じる場面もかなり目に付く。
これはあくまで私見ではあるが、冬目景の虚無的で、どこか物悲しい風のある物語を少年漫画の枠で納めることに対して無理を感じた一作でもあった。良作ではあるが、できれば他の雑誌で読みたかったというのが、評者の本音である。
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